水戸泉町の中央ビル。昭和45年に火災が発生し、人が数人焼け死んだ。
幼い頃に家族からよく聞かされた怪異談。それは焼け死んだ人の幽霊が出るというものだった。
火災後にビルを再建工事中。工事作業者が何人も「熱いよー」「助けてー」という声を耳にし、甚だしいケースだとノイローゼになる人がたくさん出たとか。死んだのは女性従業員。なので出る幽霊は女性というものだった。
中央ビルの再建が終わって再度テナントが入った後も怪異談は続く。浄霊なんか何もしなかったのだろう。霊感の強い人にはたまらなく怖い中央ビル。折につけて幽霊の目撃談や声を聞いたなどの怪異談が聞かれる陰気な中央ビル。
怪異談は私の身近にもあった。高校時代、私の姉の一人が中央ビルの地下のBARでチーママをしていた。BARは飲み屋で夜の仕事。閉店後は真夜中。お客が皆帰ってしまい、従業員が所要で出掛けている時、姉は一人店に残っていた。その時、唐突に下駄を履く人の足音が地下街に響いた。姉のBAR以外はすべてのテナントが閉まっている状況で、しかも、外部から人が出入り出来ない方向からその下駄の足音は聞こえてきたそうだ。段々と近づいてくるその足音の、その主を見つけようと店の外に出たものの、人の姿はどこにも見えない。なのに足音だけはドンドン大きくなってくる。
「怖い。やられる」
そんな風に感じた姉は地下の階段を登って外に出た。そこにいた従業員をつかまえて一緒にBARに戻り、急ぎ帰り支度をして地下を出たそうだ。
そんな話しがふいに頭に浮かんで、ついさっきネットで検索してみた。そうしたらあった。1件の記事が。中央ビルの火災は法令を変える契機となった、消防法令の世界では有名な火災だったそうだ。出火場所は地下の飲食店! そうだったのだ。死者を出した有名な中央ビル火災。中央ビルの因縁の場所は地下だったのだ。姉の聞いた無人の地下街に鳴り響く不可思議な下駄の音。それは人の命を奪った因縁の出火場所だったのだ。
水戸の街にまつわるいくつかのおどろおどろしい話し。中央ビルもその一つなのだろう。
余談だが「千波湖バラバラ殺人事件」というものがある。時代は戦前もしくは戦後すぐの頃。とある看護婦が付き合っていた男に殺された。男は死んだ彼女の死体をバラバラに解体して千波湖岸のコンクリート造りの便所に捨てた。不衛生な昔の事とて、便所の汚物は千波湖に流れ込んでバラバラ死体の捜索は困難を極めたとか。実話である。だが、2009年の今、その千波湖のおどろおどろしい話しなど、知っている人は稀であろうか。いつか調べてみたいと思う。
追記:画像は「max speed」さん(→ http://blogs.yahoo.co.jp/maxspeed1000km)
から頂きました。有難う御座います。