国立大学出たからって仕事が出来るとは・・・ | Re-SILVERFLEURET PROJECT

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YAHOOブログから引っ越してきました。駄文小説等を投稿していこうと思います。

 その昔、T・K(実名は無論出せず)という女性の新入社員が入ってきた。当時、自分は別の店にぺーぺーとして在籍していた。

 TKは長野県で1、2位の進学高校を出て国立新潟大学を卒業。何を考えたかウチみたいなパチンコ業界に入社してきたのだ。

 今時のホール大手では大卒社員は当たり前のように入社している。TKはパチンコスロットが三度のメシより好きなのだ。だから入社してきた。好きでなけりゃ勤まらない。

 たまに一緒にスロ打ちに行った。そして負けると、毎度のように金を貸してくれと頼まれたものだった。次に会った時には必ず返済してくれるのだが、女だてらに人から金借りてスロット打つのはどうだかねえ・・・。しかし、彼女の豪快さが笑ってそれを許させた。妙なキャラクターだった。性格も悪くなかった。

 自分はTKに対してまるで出来の悪い男の後輩みたく思っていた。見ていて飽きないのだ。行動がアフォだった。朝一、スロ打とうと約束してパチ屋で待ち合わせ。TKの格好を見て驚いた。サングラスに変な帽子を被り、冬だと言うのにサンダル履き。聞けば「変装のつもり」だと言う。「ウチのお客に見つかりたくない」というのが理由だと。どう見ても女に見えず、ただの怪しい奴ってオーラをプンプンさせていた。

 玉還元機(玉の供給を行う機械)が壊れた。調子を見ようとTKは島の上に登った。キュロット穿きとは言え、下の客からは丸見えだった。それでも恥じらいが無い。

 スロットコーナーで目押しを頼まれたTK。何を考えたか両脚を八の字に踏ん張って、腰を低く落として「フンッ」とか言って押していた。その格好たるや、「コイツやばいんじゃないの?!」と思わせた。とても女には見えない。みな大笑いだった。

 スロットの好きな機種。そのリーチ目の話しになるとTKはがぜん燃えた!目を輝かせて一気にまくしたてるその様は、「情熱の結晶」とでも呼べるものだった。仕事も前向きだった。

 そんなTKにも春が来た。大学生のアルバイト IKを好きになったのだ。ヤツはモーレツに体を張ってアピールした。見事付き合う事になった!パチパチ!IKは背の高い、足の長い細身。言葉は茨城弁丸出し。田舎丸出しだが幼な顔。性格も良く、客ウケも良かった。自分もIKを気に入っていた。ホールで使える奴だった。おめでとう!TKは大の年下好みだった。

 TKは退職した。入社一年経っていなかった。理由は父君の大事故。半身不随になってしまった。その看護と家族を支える事。感情の量が多いTKにしてみれば、実家から遠く離れた場所で一人奮闘するあたわず。当然だろう。しかし惜しかった。そのままいけばストレートで幹部になれたであろうに。仕事はアフォだが頭は良かった。強気の性格とやる気旺盛。

 TKは地元に帰り就職した。似つかわしくないOLだ。IKとは今でも仲良くやっていると風の噂に聞いた。たまにIKからパチ代を借りているとも聞いた。オイオイ!