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Prayer

祈り

昨夜は、一昨日俺が自分の本籍の住所がわからず完了しなかった、
君と彼の離婚届の証人欄を今日中に完成させて明日出したいと言われ、
君の地元に首都高をリミッター作動させながら飛んでいった。

玄関でチャイムを鳴らす。
君が出迎えてくれた奥に、君の3歳の息子が見えた。
息子は、1階にいたのに、驚いたことに2階にひっこんだ。
昔は、俺を見るなり俺に抱きついてきたのに。

もう、わかっているんだね。

君の毎晩の電話の相手は、前は俺だった。
よく、息子が代わって欲しいとせがんでくれて、話した。
今は、君の電話の相手は俺じゃないことを、知っているんだね。

もう、俺が、君の大切な人でないことを知ってるんだね。
君の心がもう、息子も知っているあいつや、夜の電話の相手、
つまりあの人に完全に行ってしまっていることを。
君の中にもう、俺の居場所は無いことを。

3歳なのにね。

そんなことを、君の息子からあらためて教えられる。
思い知らされる。
なんて、残酷な現実。


君の家の玄関で、住所書いて署名捺印、数分で完了。
君はもちろん、感謝してくれたけど、いつまでもつか。
用事が済んだので、さっさと帰ろうと車に乗るとき電話。

2歳の娘の方が、俺が来たことを知って、
俺にバイバイするって泣き出したとのことで、
一度玄関を離れた俺に、君と一緒に会いに出てきてくれた。
娘の方は、なんだかまだ俺のことが大好き。
満面の笑みで俺に手を振る。
本当に、うれしそうな顔。

息子の態度でとても傷付いたので、少しだけ救われた.

帰って、すぐアリの店へ。
すごく傷ついていたので、顔に出まくっていたのか、
アリが席にやってきた時最初「どうしたの?」と心配された。
東京と○○を短時間、一歩間違えば即死の運転で往復して、
死ぬほど疲れてるんだと、意味がわからない言い訳をする。

アリと話していると、すぐに元気になれた。
いろんな話をするけど、とても相性がいい。
ある話をしたら、感動して泣きそうになったと言ってくれたり、
ドラマの話とかで、女の子の友だちと話しているより楽しいと言われた。
アリの本業は、イタリアンレストランの従業員。
夜の12時頃お店が終わってからなら、会えるという。
本当かな?とりあえず、期待はすることにした。

正直、アリに逃げたい俺。
君と比較できる人間なんていないけど、
少なくとも君のことを、俺が今思い出さない唯一の存在。
過去何度かあったこの箱の奇跡と感じられる容姿に、
あまり知性を感じられないのに、何故かひかれる精神(こころ)。
もう、ろくに愛させてもらえない君の代わりに、
そのせいで、莫大に余っている俺の愛情を、
この子、アリに注ぎたいと思った。
昨夜、俺は、アリを愛したいと思った。

9月、君の今月末の用事が終わり、
そして君は用事から、彼から、完全に自由になる。
その時、君はどうするのだろう?
そして、俺は、どうするのだろう?

離婚届を見ながら、君はおととい、俺に言った。
彼には、幸せな結婚して欲しい。
元彼のT君の、彼女出来たって話聞いて嬉しかったって。
彼にも、同じ気持ちだって。

俺は、君に聞いた。
「じゃあ、俺が彼女出来たって言ったら、同じように思ってくれる?」
君は、とても怪訝な顔をして、言った。
「同じじゃないと思う」
「どう違うの?」
「だって、言ってたことと違う」
「俺はなんて言ってたの?」
「彼女つくらないって」
これは、喜ぶべきこと?
それとも、ひどすぎる話?

彼の父親との対決の日の昼食の時から、
君は、俺の前で平気で爪楊枝を使うようになった。
この日は、平気でかなり長いことやっていた。
もう、俺のことを全く大切に思わない君。

どんどん死んでいく、俺と君の関係。
どんどん滅んでいく、君の中の俺への想い。
どちらも、ほとんど終着点に近い。
もう少しで、死ぬ。
もう少しで、完全に滅んでしまう。

もう、止まらない逆流。
逆らっても逆らっても、流されてしまってきた俺。
後ろは、もう滝。
もう少しで、地獄の底まで落ちる。

昨日行った甲斐あって今日君は、離婚成立のメールをくれた。
そんな君に、今月の生活費の足しに、振込で10万円貸した。
これがもしかしたら、君にしてあげた最後のことになるかもしれない。
金曜以降、君は俺と来月まで会おうとしないだろう。
そして、9月が来る。

9月、君と俺に、何らかの形での結論が出るだろう。
決別するのか。
それとも、一定の距離で、一緒にいれるのか。
俺とアリが、その時どうなっているのか。

毎日を絶望に包まれて生きる俺。
きっと9月は、どんな結論でさえ、俺は本物の地獄を見る。

神様。

俺はどうすればいいですか。
昨日の朝突然電話が来て、君の地元で夕食。

でもそれは、用事。

離婚届の証人に俺がなるんで、その署名と捺印のため。


昨日の精神状態では、笑顔さえつくれない。

とりあえず、疲れているとか言ってごまかす。

そんな俺に、君はひどい言葉を浴びせかける。


私が悪いんじゃないよね。

それなら、はじめからそうと言って欲しい。

そんなに元気ないと、私が悪いのかと思っちゃう。

もう面倒だから、会えばいいんだ、って思う。

○○○○が元気ないの、トラウマだから。


そのトラウマって全部、君の隠し事を俺がわかっちゃって、

俺が耐えきれずになって、君に話しちゃった話でしょ?

あいつについては、君も全部認めたことだよね。

それをトラウマって、それは俺が悪いの?


その後、多少は落ち着いて、会話が成立する。

俺は、少しだけ、本音をもらす。

「さびしかったんだ」

すると君は、「無理してでも会えばよかった」


無理してでも。


無理してでも。


無理しなきゃ、会えない奴なんだ、俺は。


先週金曜、君はあいつと食事行った後ホテル行って、

でも寝ちゃって何もしなかったって、翌朝メールで教えてくれた。

あいつとは、それで、俺は、無理しなきゃ会えない奴なのね。

ちなみに、もちろん何もしなかったなんて信じてないしね。


なんかもう、耐えられないほどに、酷い。


その、「無理してでも」で、今週金曜に会えるよう。


でももう、本当に、全てやめたくなっている俺。
今までで一番、状況は悪い。

なんせ、仕事に集中している時ですら、胸が激しく痛む。

絶望を認識しながら、希望の残骸にすがりつく意識。

両立しないはずの苦痛を、両立させてしまう。

もう、これ以上ないってほど、最悪な精神状態。

恐怖と苦しみと痛みと悲しみが、俺の心を総攻撃し続けている。

もはや、何をしていようと、体からの信号が君を意識させる。


3月から5月が、今と比べれば充分幸せだったことに気がついたり。

あの最悪な日6月12日を過ぎて数日でさえ、今よりマシだったり。

ずっと、死にたいって思い続けている。


もしかしたら、このまま8月は一度も会えないんじゃないか、

そんな悪夢が頭をよぎる。

いや、悪夢いうのは内容であって、可能性が低いわけではない。

今月末の君の予定のことを考えれば、むしろ可能性はとても高い。

同じ予定があった1月も、結局会えなかったから。


1月も、充分辛かったけど、あの頃は寂しかっただけ。

今は、物理的な痛みと激しい不安と苦しみの中。

いや、人生で一番、最悪な精神状態の中。


多分、君は、その間もあいつとは、会うだろう。


もたないよ。


俺は、神様に問われてるの?

君と、決別することが出来るのか。

むしろ、しろって言われてるの?

それが、俺にとって、君にとって正しいことなの?

今までの俺の考えが、間違っていたの?

間違っていたから、こんなにも、辛くさせられてるの?


ふいに襲う悲しみ。

オフィスでは、ごまかすのが大変。


もたないよ。



もたないよ、神様。



わからないよ。



何度書いたかわからないけど、本当に思うんだ。

俺は、どうすればいいの?