散る桜乃花びらを背景に花筏を刺繍した訪問着など、四年も前に仕立てたのに、今年もきる時期を逃してしまい、着物に申し訳ない気持ちになりますが、これはやはり桜の蕾が膨らみだした頃におろしたいと考えると、また一年、出番を待たなくてはいけません。
写真はアンティークの訪問着です。丁寧なお手入れをされて仕立て直した姿で縁あって私のところにやってきたものですが、これも一度も袖を通していません。
今の着物には見かけなくなった膨れ織のような地に舫舟(もやいぶね)が描かれたこの着物。染められた時には色鮮やかな紫だったとおもうのですが、全体に色がくすみ、過ぎた時の長さを感じさせます。
これを着ようと思うなら、この着物と等しく時を重ねた帯を合わせなければ無理そうです。いえ、着物ほどの経年でなくても良いのですが、真新しい帯では質感がそぐわないのです。
わざわざ仕立て直されたものですから、いつかは袖を通すものと決めているのですが、似合いの帯を見つけられるまで、まだまだ時間がかかりそうです。

