たぶん、三船主任=青木義朗、が関わった放送回について述べることが多いと思いますので、先に高倉主任=里見浩太朗、の方を(捜査班、個人も併せ)抜き出してみました。

(1) 高倉班単独***全28作

(2) 三船班に高倉主任が協力***全2作

(3) 高倉班に三船主任が協力***全1作

初登場が1971年8月25日、最終話が1974年3月20日、足掛け約3年半の放送でありましたが、東映chでの【第3回再放送】では週2回分の特捜隊再放送でしたので、約1年3か月のお付き合いをしたわけであります。

 

期間が長いと、高倉班の設定について、脚本、監督、プロデューサーなど現場スタッフも忘れがちになり、視聴者自身もそこまで細かく観ないのも実情でしょう。しかし、再放送となると期間が短いうえ、近年はDVDなどに録画する視聴者も増えてきており、それが目立つと視聴者の印象も変わってきます。自分自身も、高倉班だけでなく特捜隊で「駄作」と感じる作品に出合うことがありますが、それがゆえ、次回に期待を持つことが多いのです。

これは粗探しというより、特捜隊という作品自体に愛着を持っているからこそ、細かく観てしまうところであります。ですので、それを踏まえての、設定の違い、変更、目立つ点の指摘ということで、以下に挙げていきます。

 

 

*田中係長(山田禅二)の態度の変化

初回は、外国帰りのエリート主任ということで持ち上げていました。ところが、次回以降は若手・若造という意識が強いのか、やたら捜査方針に横槍を入れるようになります。山田禅二の表情・素振りが180度変わるともいえる名演技もあり、とかく目につきます。

また、田中係長が自ら現場に赴く場面は三船班よりも多い印象があり、どうも高倉班の良し悪しは、田中係長に握られてるような気もします。

 

*部下との衝突の構図

初回は捜査方針を巡って、岩井田刑事(滝川潤)、笠原刑事(伊達正三郎)と衝突しますが、次回以降はそんなことはなかったような展開に。また、畑野刑事(宗方勝巳)とは同期の設定で、刑事という職業への思想上の対立もありましたが、これまた共演していても会話の無い場面が多くなり、有耶無耶のまま高倉班の終焉となります。

 

*高倉班のメンバーの変遷

初回は、関根部長刑事(伊沢一郎)以下、岩井田、笠原、松山(松原光二)、森田(北原隆)の4人の刑事の設定。その後、三船班の主要刑事メンバーの、関根、畑野、石原(吉田豊明)、水木(水木襄)、白石(白石鈴雄)との混成の回が続きます。そして、最終的には松木部長刑事(早川雄三)、笠原、森田を固定、プラスアルファとして、鷲見(柴田昌宏)、浜田(矢吹渡)、片桐(笠達也)、日高(日高吾郎)の刑事が加わっているかな? という印象です。

個人的には、三船班メンバーとの相性は悪いのではと考えます。なお最終話は、松木部長刑事以下、笠原、鷲見、片桐、日高のメンバーでした。

 

*ゲストの特徴

三船主任とキャラが違うということで、女性が主役となるゲストが多いところ。題名から観ましても、「女性」を連想する放送回が目立ちます。特捜隊というスタンスなら、硬派路線のほうが妥当なのでしょうが、飽きのこないようにソフト路線の設定、里見浩太朗のキャラという意味でこのようにしたと思われます。個人的には、女性を主に見せたキャスティングでも実質硬派路線だった、#595 人間標的 が面白かったこともあり、「女性」に拘らずとも良かった気も・・・。

 

*捜査方針の変遷

高倉班の序盤までは、直接証拠の重視、疑わしきは罰せずを地で行く路線でした。ところが、先に触れた畑野との思想上の違いが出た以降からか、特捜隊だけでない刑事ドラマの伝統(?)でもある、聞きこみ重視路線にチェンジしていきます。序盤の設定が、当時の視聴者に受け入れなかったのか、脚本家が失念したのか、そこいらへんはわかりません。

ただ、それが如実に出たのが、#553 悪魔の囁くとき で横山保朗脚本の異常さ(?)もあり、とにかく流れ優先で論証を省略しすぎな高倉主任に出会うことなります。

 

 

自分自身は、三船班、高倉班の並行展開ということもあり、足の捜査の三船主任、緻密な捜査の高倉主任を前面に出し、「女性」を表に出す頻度を低くしたほうが面白かったような気がします。さらに、三船班との完全共演を無くして、三船班から1人2人を単独出演させるほうが、違いというか個性が出て、旨味を見出せたのではないかと考えます。もしかしたら、三船班を超える支持も得られたのでは・・・?

なぜこういう考えになるかというと、里見浩太朗は、どうしても時代劇俳優のイメージが出てしまいます。そこで、特捜隊でのイメージいかんでは、現代劇にもインパクトある作品が、今よりも残せたという、自分自身の願望もあるからです。

後日になりますが、刑事ドラマ、警視庁捜査一課9係での警視総監の役名が、「神田川」ではなく「高倉」であったらなあと、ふと思います。

 

長くなりましたので、個々の作品については次回にて。