当該記事は、特別機動捜査隊のエピソードについて、すべてでは無いものの真相に触れていますので、内容については他言無用、引用も不可です。

守らないときは、アメンバーを削除することもありますので、注意してください。

なお、評価は、

◎=傑作、秀作、

○=佳作、

▲=敢闘したが佳作に届かず惜しい作品、

△=不出来だがなんとか視聴に耐えうる作品、

×=駄作

と判断。公開済みの各エピソード(多少の追加有り)と併せ読んでください。

なお、文中で「ある人物」というのは、不特定の人物を指しています。

 

 

#464  玄海灘の夕焼け      【捜査班】三船班(三船主任・青木義朗)

 

 

(事件の形態)

*杉並区善福寺の路上で、午後1時、主婦が倒れた背広の男を発見した。男は既に死亡しており三船班が出動、後頭部の打撲傷から数時間前に殴られたと推定(翌日の鑑察医の解剖報告で、頭蓋内出血による死亡、動いているうちに出血が拡大、脳を圧迫したものとされた)。

*さらに、凶器は幅2mmほどの角張った棒であり、被害者の身元は東都大学学生・片桐明男(伊東昭雄)と判明、飛行機切符の本日付半券(大村~東京までの直通便)を所持、片桐の下宿先への聞きこみから九州に出かけていたことも明らかになる。

*その頃、佐賀県の御船山観光ホテルでは、社長と思しき男(清水一郎)に、その娘(神鳥ひろ子)が片桐変死記事の載る新聞を手渡す。驚く父に、娘は「弟のしんいちろうが殺したのかもしれない、だとすると私たちの責任よ」と呟く(註・後に、父の名は塚本、娘の名は織江ということがわかる)。

*三船班は東都大学を訪れ、三船主任、山口は学生官・熊倉(山田甲一)に聞きこむも、大学の外で起こったことには関係無い発言に辟易する。そこに荒牧が駆けつけ、片桐が持っていたカメラフィルムの現像写真を見せ、佐賀県あたりの海岸と見込みをつける。

*さらに、関根の学内聞きこみで、片桐は剣道部の会長であったが、経理上の背任行為(部費・運営費の使い込み)で辞めさせられたことが明らかになる。その剣道部は、秋の大会を目指し九州へ合宿中との話に、三船主任、荒牧は顔を合わせる。

*三船主任は荒牧、山口と九州へ出張捜査へ。写真と思しき佐賀県の海岸・七つ釜に到着、所轄刑事・志村(里木佐甫良)、もう1人の所轄刑事(未詳)とともに捜査を始める。

*荒牧は消して間もない焚き火の跡を発見、所轄刑事は地元者の仕業ではないと見立てる。並行して捜査中の山口、所轄刑事は織江に声をかけられる。織江は山口の高校時代の後輩であり、山口は三船主任に紹介するが、三船主任はすぐに志村と捜査に戻る。

*織江と別れた山口に、いくら後輩の女性だからとはいえ、目撃情報や宿泊先も聞かない姿勢に、三船主任は詰問する。急ぎ、山口は織江の後を追う。

*三船主任は所轄刑事と、七つ釜の川棚近くの売店・見晴亭の店主(未詳)に、焚き火の線から、昨日の朝、フーテン風の長髪の男(小野進也)、金髪の女(伊原静江)、ギターの男(未詳)が海岸の方から上ってきた目撃情報を得る。女性従業員(箕輪律子?)は、一昨日、川棚で姉がフーテン風に絡まれたが、背広を着た学生に助けられ、その姉は呼子にいるという。

*織江を見失い、戻った山口に、三船主任は帰京命令を出す。荒牧も、主任の性格から、一時帰京を受け入れるよう促し、山口は一旦帰京する。

*御船山観光ホテルで、塚本は織江からの警察の進捗情報に目を瞑る。織江はすべてを警察に話すよう促すが、塚本は拒否。どうやら、息子のしんいちろうはフーテンであり、事件に関わりを持っていそうな雰囲気であった。

*三船主任は荒牧、所轄刑事2人と呼子に到着。祭りのさなか、神輿に乗る頭領(松本朝夫)から聞いた、従業員の姉・かわなみマキ(筑紫あけみ)の居場所に向かう。

*聞きこむと、一昨日、川棚の特攻隊記念碑に花束を供えていたマキは、フーテン3人組の傍若無人な振舞い困惑していたところ、片桐が現われ救出したという。さらに、片桐は傘を持つ長髪男を知っていた。長髪男はしんいちろう、別名・善麻呂という名で、その善麻呂は「暴力を振るう人間は、碌な死に方をしないよ」と言い残し去ったという。

*聞き終えると、荒牧からは片桐が使い込みをするようには見えない発言が出る。また志村からは善麻呂が仕返しで傘で犯行をした考えが出るが、幅2mmの凶器を巡り荒牧と意見を異にする。三船主任は、むしろ、片桐がなぜ九州に来たのか、貧しい学生が高価な飛行機にまで乗ってこなければならない理由に、考えを張り巡らす。

*一方、呼子港ではマキが回想する、踏みにじられた花束の代わりを片桐から受け取っていた。片桐は、両親を早くに亡くし、姉が水商売をしてまで大学に行かせていたが、その姉も昨年病気で亡くなったことを話す。マキも、漁師の夫を海難事故で亡くしていたのだが、片桐はマキに姉の面影を見ているようでもあった。

*気がつくと、呼子港で魚を捌く漁師から、金髪女が魚を盗む姿をマキが目撃。追いかけ金髪女を捕まえると、片桐のことを聞き出そうとする。そこに、善麻呂、ギター男が現われ、傘をマキの目の前に突き出し、威嚇して去る。

*その後、名護屋城跡で、盗んだ魚を焼いて食べる3人組を観光ガイド・熊本(熊本スミオ)が目撃、三船班に通報するが一歩遅く3人組を捕獲できなかった。そこで、三船班を二手に分け、三船主任は波戸岬にある剣道部合宿所へ、荒牧は片桐の姉が勤めていた佐世保のバーへ向かい、3人組の行方は所轄刑事2人に一任することにした。

*しかし、剣道部合宿所へ向かう三船主任を見咎めた部員たちは、三船主任の立ち入りを許さず力ずくで止める。三船主任はこれに応戦、合宿所まで案内させる。剣道部の主将・高松陽介(浅沼創一)は部員の非礼さに平手打ち、三船主任に頭を下げる。高松に片桐のことを聞きこむと、片桐の死は知らず、片桐は酒と女で相当な使い込みをしており、使い込んだ半分の金額を合宿所まで届ける約束だったが、とうとう現れなかったという。

*荒牧は、片桐の姉が勤めていたバー・リスボンで、ホステス(中村恭子?)から、だいぶ前に、片桐が姉を訪ね、高松と来店したとき、片桐が高松と言い争いをした情報を得る。

*情報を持ち寄る三船主任と荒牧、辻褄が合わない状況もあり、荒牧は志村のいう善麻呂犯行説に分があると考え、三船主任は黙りこくる。そこに、東京から応援の関根、笠原、内藤が到着するが、警察に干渉されたくない大学の姿勢から、東京での新たな情報は得られなかった。ただ、剣道部にあった日本刀が一振り(三代 陸奥守忠吉)が盗まれた事件のことを関根が話すと、三船主任は興味を示す。

*東京では、山口が片桐の周辺を捜査。片桐の下宿先を訪ね、大家(春江ふかみ)から聞きこむとともに、部屋の中を捜索する。そして、山口は手に入れた証言、物証から再聞きこみ、ある人物の裏の顔を暴き出し、西本捜一係長の了承を受け、再び佐賀へと向かうのだった。

・・・・・・・・以上、開始約32分まで・・・・・・・・・

 

 

(真相追及の決め手)

*山口が片桐の下宿先を訪れたときの、部屋からの物証、大家からの証言。

*それに基づいての、2か所での聞き込み証言。

*ある人物からの、海岸で起こった目撃証言。

*三船主任と犯人との対決。

 

 

(ツッコミどころ)

*織江が高校時代の山口の後輩であるなら、その経歴を辿り、行方を捜すこともできたはずであり、父・塚本が著名な御船山観光ホテルの社長ならなおさらである。

*塚本、織江と、善麻呂、あるいは片桐との関係描写が希薄。特に、波戸岬から東京都杉並区善福寺までの、当時のルート時間・交通網を考えると、関係描写は必要と考える。

*結局、フーテン3人組を所轄の志村たちが捕らえたのかどうか説明不足のままラスト近くを迎え、塚本、織江から結論だけ語られる。

 

 

(評価) △=不出来だがなんとか視聴に耐えうる作品

当作は、ブログ本篇で書いた通り「ストーリー分散破綻型」の典型であり、さらに視聴している側からは、ストーリーのツボ「凶器と死因の追及」「片桐が佐賀に来た理由」がなかなか展開されず、面白味に欠ける作品です。

ただ、三船主任と山口との関係が気まずくなりそうなところを、山口の東京での捜査で挽回、再度の佐賀出張となるところは、ドラマ的には面白いです。まあ、この点にしても、東京にいた関根、笠原、内藤がなぜ掴めなかったのかという疑問にもなるのですが。

さらに、塚本、織江の場面挿入が唐突すぎであり、あれだけ三船主任が責めた山口の失態(?)を、あっさり笠原が辿り着くというのも不可解。その点でいえば、思いついたように戦争の傷跡を強調するのも不自然。もしかして、当作と次作の「絶望の詩」は、そもそもロケの第一人者でもある龍伸之介監督が演出する予定だったのではと思うくらいに、バランスが悪いのです。もし龍伸之介監督だったら、上手くツボを押さえていたような気もします。

これらから、まあ欠点ばかり挙げて申し訳ないのですが、当作は×=駄作の評価もあるでしょう。しかし、三船主任に帰京命令を出された山口の巻き返し、もし龍伸之介監督だったらの期待感、さらには個人的には懐かしい新東宝出身女優・筑紫あけみの出演から、△=不出来だがなんとか視聴に耐えうる作品、としました。

ちなみに、「筑紫」は自分のような関東圏の人間は「ツクシ」と発音しますが、西日本、特に九州では「チクシ」と発音するようです。これは、「大宰府」「太宰府」の違いにも繋がるようです。

 

 

(ブログ本篇で書けなかった、意外な脇の出演者-エンディング表記より)

フーテン3人組の金髪娘に、伊原静江(のちに大和撫子に改名)が出演していますが、その後も特捜隊に脇役出演。また、片桐の下宿先大家を春江ふかみが演じています、

そして、所轄刑事の役名は最後までわからないため不明。たぶんエンディング表記から、葉室=杉幸彦、平岩=島田太郎とは思うのですが、顔と名前が一致しずらい男優・女優が特捜隊に出ている場合が多いため確信は持てません。

なお、椎名=河原裕昌は、のちの河原さぶと思われますが、それらしい姿は見当たりませんでした。