※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#577  十八才の女】

 

(本放送)1972年11月22日

(再放送)2016年6月9日

(脚本)豊田総治、柳節也

(監督)伊賀山正光

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

田中係長(山田禅二)、鑑察医(仲原新二)、鑑識員(田川恒夫)、

鑑識員(西郷昭二)、関根部長刑事(伊沢一郎)、白石刑事(白石鈴雄)、

村井刑事(北村晃一)、石原刑事(吉田豊明)、畑野刑事(宗方勝巳)、

三船主任(青木義朗)

 

(出演者)

松村良子、泉洋子、本田圭子、石川アンリ、中川三穂子、藤山竜一、花岡菊子、

松風はる美、見明凡太郎

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

親の愛のない生活に、自分の心の鏡にまで反発を感じ、

自分の感情を抑える術(スベ)も知らない1人の美しい少女が、

母親からの手紙を残して絞殺されていた。

その捜査に乗り出した、特捜隊・三船班・・・。

非行少女の保護施設・聖星女子学園で、

互いに傷を持つ仲間によって、

平和な生活を送られるようになっていた里美が、

忘れかけた過去への憎しみによって、加代と脱走する。

それは、自分の癒されない傷口をより深くするかのように、

自分を棄てた昔の恋人の結婚式場へ殴り込みをかけた。

この、誰からも見放された、哀れな十八才の女の青春・・・、

次回、特別機動捜査隊、「十八才の女」に御期待ください。

 

 

(備考)

・劇中の「感化院」とは、非行その他少年少女を保護・教育のもと更生させる施設で、呼称も感化院→少年救護院→救護院→児童自立支援施設と変遷、1972年時点では救護院が正しいのだが、まだ感化院という呼称が一般的だったようである(ただ、予告篇では感化院という呼称を避け、保護施設としている)。

 

 

(視聴録)

 

東青梅の聖星女子学園は竹村良子(花岡菊子)が園長を務める、いわゆる感化院であり雑誌記者(山口千枝)から取材を受けるなど有名な存在である。しかし、気持ちが不安定な者はいるもので、生徒の倉田里美(松村良子)、加代(泉洋子)、葉子(中川三穂子)は揃って脱走、その他11名も後に続いた。

 

里美は母・美子(ヨシコ、松風はる美)に会いたい気持ちもあり、八王子新田の倉田家に戻るも義父・達之輔(見明凡太郎)にすげなく追い返される。里美の感化院送致の理由は、恋人の海老原ひろゆき(永尾秀彦)に妊娠・流産させられ棄てられたことで刺傷に及んだためで、それを達之輔は不快に思っていたからだった。このこともあり、里美は加代とともに海老原の結婚式場に乱入、式自体を滅茶苦茶にしてしまう。

 

だが翌日、里美は西多摩町で絞殺死体で発見される。三船班は所轄・南多摩署の吉田刑事(小沢忠臣)の協力を受けるが、死亡推定時刻は前日午後5-6時、遺留品は母・美子からの手紙のみの情報しかなく、捜査の困難さを予感する。

しかし、感化院、倉田家、脱走経路の捜査、新たな遺留品の発見、さらに保護された加代の証言などにより、キャンプにやってきた大塚(杉山元)・森谷(田村孝司)・他1人(未詳)、工事作業員・後藤(川野耕司)、魚の行商人・松下(堀部隆一)など、容疑者を挙げていく・・・。

 

 

当作は、特捜隊初期の脚本家・豊田総治、ナレーション・島宇志夫の登場もあり、リメイク作かなと思いましたが、【第1回再放送】、【第2回再放送】を見ていないので断定することはできません。しかし、流れるようなストーリーというより、聞きこみ、証拠集めに重きを置いたストーリーは立石班(#451以降)で見られていたので、懐かしさを感じる作品です。特に、事件の真相のヒントを回想場面に求めるところなどは、顕著に思えるところであります。

 

ただ、具体的に事件の真相追及になるのが開始後32分してからで、前提となる出来事、聞きこみで時間をとりすぎた感が強いですね。それで解決まで10分前後ですから、時間のバランスは良いのかどうか・・・。個人的には、加代が聖星女子学園に戻った場面から所轄署の場面への数分間、そして無駄に終わってしまった前半の聞きこみ場面の数分間を削って、少しでも真相追及場面に回せばなあとは感じました。

また、途中から姿を消し、ラストの里美の葬式場面には登場している「とある人物」について、説明がなかったのが中途半端でもあります。自分は、この人物が事件の真相に関わっていると思い込んだところもあるのですが、それにしても説明不足です。

 

これらの点からも、懐かしさのある作品であるけれど、足りないところが目立ち、佳作へ今一歩の作品かなと感じました。また犯人指摘についても、いくらドラマといえども、あの真相結末は賛否両論あるのでは? 何かしらの伏線が序盤に張っていたら、印象はまた変わっていたかもしれないと、これまた残念なところです。

冒頭にリメイク作かなと書きましたのは、こういう足りないところが目立つからで、ベースとなる豊田総治脚本に柳節也が手を加えたのが、却ってストーリーをぎくしゃくさせたのではとも感じたからでもあります。こういう点からも、第1回再放送、第2回再放送での未見の作品群を見てみたいと思う次第です。

 

(追加)

さらに、結婚式場を混乱させた後、里美、加代が別行動をとった(里美の)「やらなければならない」理由とは何だったのか? この点も不明瞭であり、リメイク作であるなら、その前提となるオリジナル脚本にはその理由があったのではとも感じます。

 

(2018年1月12日 全面追加)