※ 特別機動捜査隊 まえがき
捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。
また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。
【#538 愚かなる暴走】
(本放送)1972年2月23日
(再放送)2016年1月28日
(脚本)吉川一義
(監督)吉川一義
(協力)伊東観光協会、伊東温泉・秀水園
(協賛)無し
(捜査担当)三船班
鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(田川恒夫)、鑑識課員(西郷昭二)
その他三船班は(備考)を参照。
(出演者)
渚健二、堀井永子、松尾悦子、小田まり、大原百代、三浦リコ、山口千枝、
榎本英一、大阪憲、山口譲、西野礼子、白鳥勝、根岸美恵子、岡本幸子、
小玉しお、宮田羊容、布地由起江、里木左甫良、山村晋平、直木みつ男、
笹川恵三、丸山修、白石奈緒美
(あらすじ・予告篇から)
※当時のナレーション(=青木義朗)をそのまま聞き写しています
警官を殺し拳銃を略奪、その拳銃で金融会社社長を射殺、
伊東にひょっこり姿を現わした凶悪犯人、橋本二郎!
6万2千の伊東市民を守るため、移動捜査本部を置き、
直ちにホテル・旅館150軒をしらみつぶしに当たるべく、
極秘捜査を指令した。
わが身の危険を感じた犯人は、凶暴な本性を現わし、
1人の女性を人質にして三船班に立ち向かった。
非常線の罠にかかった犯人の情婦、狂乱する人質の母親、
特捜隊・三船班は犯人と情婦の落ち合う競輪場に、
すべてを賭けて待ち構える・・・!
次回、特捜隊、「愚かなる暴走」に御期待ください。
(備考)
・劇中に、特捜隊メンバー(男優名)、畑野刑事(宗方勝巳)、関根部長刑事(伊沢一郎)、三船主任(青木義朗)、石原刑事(吉田豊明)、水木刑事(水木襄)、白石刑事(白石鈴雄)、田中係長(山田禅二)、の表記がされている。
・当作のような配線を手動で切り替える電話交換手は、1979年・電話自動化~1984年・電話交換取扱者資格廃止を境に無くなったもよう。今では、交換手を通じて外線通話することは稀になり、外部からの電話を各部屋・部署に繋ぐインフォメーションセンターが主流。
(視聴録)
警官を殺害、奪った拳銃で金融会社社長を射殺した橋本二郎(渚健二)、伊東に逃亡したことに確信を持った三船主任は、所轄署の坂井刑事(山村晋平)、山本刑事(丸山修)と協力。さらに極秘捜査に徹するため、特捜隊から関根部長刑事、畑野刑事を少数選抜、伊東のホテル・旅館を当たることにした。
ホテル・秀水園に泊まった橋本は、番頭(榎本英一)、事務長(宮田羊容)の目はかいくぐったが、女中・八重(布地由起江)は目ざとく見破り警察に通報する。しかし、ホテル内に橋本は見当たらず途方に暮れる捜査陣だったが、宿泊部屋303号室の内線電話に注目した三船主任は、交換手(小田まり)の証言から橋本が恋人・ながい陽子(堀井永子)に電話していたことを突き止める。また、やまだ早苗(松尾悦子)が泊まる302号室から不審な電話がかけられていたこと、早苗の母親が有名デザイナー・新谷由美子(白石奈緒美)であることも明らかになる。
そして、ここが勝負処と踏んだ三船主任は、東京から特捜隊本隊を呼び寄せ、橋本逮捕に向かうのだった・・・。
当作は吉川一義監督が脚本も兼ねており、こういうスタイルは#451以降は初めてだと思います。吉川一義監督は小川記正脚本を担当するイメージが強いのですが、その中からアクション部分を抽出、場面チェンジを効果的に行ない流れるような作品に仕上げた印象です。
そして、悪い者は悪い、橋本二郎を悪人の中の悪人と描いたことで、ストーリーの進行も三船班寄りにスムーズに動いたものと感じました。マッサージ師(三浦リコ)を按摩と蔑み、銃口を向ける場面などは、最たるものです。これがあるから、三船主任が乱暴な言葉を遣いながらも、ある人をホテルで説き伏せる場面が引き立ったともいえそうです。
引き立ったといえば、ラストでの競輪場の場面は、警官は何のために銃を使うのかを訴えているところもあり、これもまた橋本二郎の凶悪さとの対比が隠し味になっているようでした。また、犯人は明らかだから謎らしいものは無いというわけではなく、犯人の炙り出しに、交換手のさり気ない言葉が、無意識でしょうがヒントになっているなど面白いところです。
粗というわけではないですが、由美子と早苗の母子関係が文章的で軽かったこと、早苗の口調が常に喧嘩っぽいところなどが気にかかりました。まあ、当作はアクションに重点を置いたということとスルーしても大勢に影響は無いので、目をつぶってもいいのかな(笑)
あと調べて改めてわかったのですが、監督の吉川一義は1935年生まれ、天野利彦、田中秀夫は1933年生まれというのに驚きました。正直、自分の御贔屓両監督よりも年上だとずっと思っていたのです。特に、時代劇演出も手掛けることが多く(例えば天地茂主演の江戸の牙など)、なおさらベテランぽく思っていました。
ただ仕事に厳しいところは両監督と共通らしく、中山忍officialツイッター2016.11.8では、その様子が報告されています。それでも、まだ現役で作品を撮られており、一緒に写った写真をみても御年82歳には見えない、エネルギッシュな感じでした。
(2017年12月18日 全面追加)