※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#532  裏町の女】

 

(本放送)1972年1月12日

(再放送)2016年1月7日

(脚本)佐々木武観

(監督)北村秀敏

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

鑑識課員(田川恒夫)、鑑識課員(西郷昭二)、

その他三船班は(備考)を参照。

 

(出演者)

久保田民栄、松川純子、坂田勝、篠由紀、灰地順、川部修詩、若山みち子、小池栄、

木下静子、佐竹一夫、大下真司、美船洋子、翠準子、津村秀祐、大原譲二、

蓮川久美、瀬良明、永井柳太郎、清水一郎、小笠原弘、星美智子

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

ゴミ戦争で始まる1972年、

庶民の生活も戦いで始まったのである。

ある夜、指名手配中の男が殺害された。

下町の密集地帯を聞きこむ刑事たち。

ふみ代は女手ひとつで

子供を育て上げた女丈夫(ジョジョウフ)ではあるが、

そのために計り知れない悲しみを味わうのである。

母の苦労に感謝しながらも、青春の潔癖さゆえに苦しむ啓子・・・。

次回の特別機動捜査隊、「裏町の女」に御期待ください。

 

 

(備考)

・劇中に、特捜隊メンバー(男優名)の表記、森田刑事(北原隆)、岩井田刑事(滝川潤)、荒木部長刑事(金井大)、三船主任(青木義朗)、笠原刑事(伊達正三郎)、、田中係長(山田禅二)、がされている。

・星美智子の微妙なセミヌードが、銭湯の場面で見られます。

・看板、標識から、舞台は吉祥寺駅北口の、ハモニカ横丁と思われます。

・拐帯とは、預かった金品を持ち逃げすることをいう。

・啓子役の久保田民栄の近影は、やぶ北ブレンドのCMで母親役を演じているのが、動画で見ることができます。

 

 

(視聴録)

 

夢の小路飲食街では。小料理ふみの女将・ふみ代(星美智子)と、バーみちのママ・久仁子(松川純子)とのいざこざが絶えない。お互いの情夫・小田島浩(津村秀祐)巡ってのものだが、ふみ代の娘・啓子(久保田民栄)はそんな状況に辟易して、隣室の詩人・墨水(小笠原弘)に通いつめ、バーみちのホステス・宮子(篠由紀)も頭を抱えている。

 

実は、小田島は、山形県で望月浩二(坂田勝)と強盗殺人事件を犯し逃走中であるのだが、平太郎(瀬良明)が営むおでん屋台の前でふみ代と喧嘩となった後、近くの神社の池で死体となって発見された。三船班は前頭部の傷は打撲のみで、死因は心臓麻痺と断定、小田島の立ち寄りそうな場所への聞きこみと、強盗殺人事件の共犯者・望月の捜索も行なう。

ゴミ回収の職員2人(未詳)や靴屋の主人(永井柳太郎)への聞きこみから、だんだんと捜査の網は狭められていくが、その周辺には常に帽子の男(清水一郎)の影があった・・・。

 

 

事件の背景に、母子の思いのすれ違い、信頼と裏切り、そういった問題に直面する娘・啓子の出来事を綴った作品であります。

事件は単純明快なものですので、ここは以前触れた、人間を描く新生・特捜隊のスタンスに沿ったものなのでしょう。母子の暮らす市井の人たち~ゴミ回収職員、屋台、飲食店、食堂、靴屋、労務者、買い物の主婦など、こちらの描き方に重点を置いており、それはそれで奏功しています。自分自身の感じ方では、言っていることとやっていることと違う人たちは信任が得られないのであり、自分にできないことを人に強いてもついてきませんよ、ということを表現したかったのかなと思いました。

 

しかし、刑事ドラマというカテゴリーからみると、捜査場面はあるものの物足りなさを覚えます。望月の捜索に、思った以上に時間がかり間延びしてしまったこともあるのかもしれません。犯人の特定も、他力本願みたいなこともあったのも・・・。

ですので、当作は、刑事(事件)ドラマと人間ドラマが好きな人と意見が分かれると思います。個人的には、このようなテーマでも器用な北村秀敏監督なら、人間のほうに重点を置きすぎず、もう少し事件のほうにバランスをとれたのではとも思います。

 

また、泥中の蓮をイメージした作品であれば、ラストの夢の島一帯の場面はどうなのかなという疑問もありました。ただし、現在の夢の島は公園となっており、夢の島大橋を渡ったところは当作のイメージが放送当時よりは一変されています。

 

(2017年12月2日 全面追加)