※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#530  懐しのメロディー 殺し屋】

 

(本放送)1971年12月29日

(再放送)2015年12月31日

(脚本)小川記正

(監督)伊賀山正光

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(田川恒夫)、鑑識課員(西郷昭二)、

その他三船班は(備考)を参照。

 

(出演者)

嵐寛寿郎、佐藤耀子、大門正明、美弥たか子、笹川恵三、河合絃司、植田灯孝、

田中りゑ、小川亜矢子、沢田清、花岡菊子、林寛、明石潮、水村泰三、田中春男

 

 

(あらすじ・予告篇から)

 ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

双葉会の組長から、刑務所(ムショ)帰りの疾風の長吉は、

殺しを依頼された。

・・・・・・・・(自動車傍の男女に襲いかかろうとする長吉)

短刀を持つ長吉 「死んでもらいます、藤代さん!」

揉み合う長吉と藤代、叫びながら止めに入る女

・・・・・・・・(以下、ナレーション)

組長は、何者かに殺害された。

不可解な行動をとる、たった1人の組員・小山田・・・。

殺人依頼者、藤代と名乗る謎の男・・・。

厳しい的屋(テキヤ)の掟を、

頑(カタク)なに守り通す老いの身に、

殺人者の汚名が課せられようとしていた・・・。

次回、「殺し屋」に御期待ください。

 

 

(備考)

・劇中に、特捜隊メンバー(男優名)の表記、三船主任(青木義朗)、荒木部長刑事(金井大)、石原刑事(吉田豊明)、笠原刑事(伊達正三郎)、森田刑事(北原隆)、田中係長(山田禅二)がされている。

・検証本、リスト特捜隊、東映ch第3回再放送時での「懐かしのメロディー  殺し屋」の題名表記、予告篇告知題名「殺し屋」とあるが、「懐しのメロディー 殺し屋」が正しい。

 

 

(視聴録)

"疾風の長吉"と異名をとった川添長吉(嵐寛寿郎)は妻や娘に先立たれながらも、孫・邦子(佐藤耀子)、ぜんや(大門正明)、遠藤(沢田清)と映画館・ぎんなん座を切り盛り、陰ながら小料理屋女将・冬子(花岡菊子)、兄弟分・佐々木(明石潮)にも応援されている。しかし、とあることで刑務所の厄介になり、出所後、恩義のある双葉会組長・平山(林寛)に挨拶に行くと射殺されていた。川添は組員・小山田(田中春男)の帰宅の気配に驚き、思わず逃げてしまう。

冬子の小料理屋に辿り着いた川添は、夕刊のバレリーナ・島村ゆかり(田中りゑ)と青年実業家・藤代武弘(水村泰三)の婚約発表記事を目にするが、何か心に引っかかるものがあった。

捜査担当の三船班は遺留品の現金85万円とバレー公演のチケットに着目、小山田の尾行には笠原刑事、バレー教室への聞きこみを荒木部長刑事、森田刑事にあたらせる。

その聞きこみの最中、バレー教室から出た藤代に川添が短刀で襲いかかり、ゆかりの叫び声に両刑事が向かうも、襲撃者を確認できず取り逃がす。

そして、自宅に戻った藤代をかつての恋人・順子(美弥たか子)が待っていたが、そこに脅迫電話がかかってきた・・・。

 

#501 勝負」では村田英雄ワンマンショーと評しましたが、当作はさらにそれを大きく超えていて、嵐寛寿郎オンステージと評した方がいい作品でした。なにしろ、嵐寛寿郎と三船班の接点はあるものの、顔と顔を合わせたのがラスト5分前で、出演場面も嵐寛寿郎の方が多い。

さらに、沢田清、花岡菊子、林寛、明石潮、田中春男と時代劇でも撮るかのようなキャスティングも、それに輪をかけています。

 

ストーリーも三船班主体話と川添主体話とに意図的に分けており、それがラスト5分前にならないと完全合流しない。そして、その合流のきっかけが、前半のとある小道具によるものであり、(あらすじ・予告篇から)にいう殺しの依頼が過去の因縁に結びついたり、さらには現代版・ねずみ小僧にも深い意味があったりと、様々な趣向がこらされています。

小川記正脚本は内容が膨大で、監督の手腕が問われるというのが自分の見方です。しかし、当作については嵐寛寿郎という戦前からのスターが主演ということもあり、小川記正もたぶんに遠慮した脚本づくりだったのではないでしょうか。ですので、上記の趣向も、流れるように、さり気なく展開しているのだと感じました。

 

また、「何か心に引っかかる」ものについても、終盤に、「裁判所事務菅(河合絃司)→遠藤→佐々木→磯部(清水正)→藤代」と主体が変わる中で明かされるところも、なかなか考えたものだと思いました。特捜隊の出番を期待しすぎると少し気落ちするかもしれませんが、ストーリー重視派なら面白く見れる一篇だと思います。

 

あと、ストーリーと直接な関係は無いものの、ぎんなん座の映画題名はポルノとはいえなかなか面白いですね。「未亡人ブルース・悦楽の情事」「トリプルプレー・女男女」「夜になったら殺して」など、よくもまあ思いつくなと(笑)そういう意味でも、新東宝の石井輝男監督作品を彷彿とさせる内容でした。

 

(追加)

劇中に出てくるぎんなん座は、北区上十条に実在した映画館で埼京線(当時は赤羽線)・十条駅南口を出たところにありました。自分の記憶だと、ポルノではなくアクション映画中心の上映館で、1982年ごろには無くなっていたと思っていました(ぴあで調べて、イーストウッドのダーティーハリーシリーズ3本立てを観に行ったら、休館?だったため)。

wikiの公的資料の引用だと、1985年に閉館したようで、そちらのほうが正しいと思います。なおYouTubeで検索すると、2015年現在の様子がわかります。

 

(2017年12月1日 全面追加)