ユタは現在では占い師のような存在と考えられていますが、本来の姿は呪術師です。
ユタは呪詞(クチ)を用いて、苦しんでいる人々を救済します。
ユタの世界の呪術は以下に大別されます。
①好ましい目的のために祈る(白魔術)
②他人に危害を与えるために祈る(黒魔術)
そのほとんどは①ですが、わずかながら②も存在します。
悪を罰することで、世を正しく導く神様の力なのですね。
近代までの奄美では、警察機構や法治社会が十分に構築されていなかったため、呪術に頼ることが日常的にありました。
これは「悪いことをしたら神様に呪われるぞ」という脅しにもなり、社会を安定させる機能を果たしていました。
現代においては、「証拠がない、時効が完成している」といった事案が多数あります。
ユタは、これら人の法では裁けないことを神様に繋げ、神の法にて裁いていただく。
これが呪術師としての本来のユタの姿です。