ユタの世界には教団や組合といった組織はありません。

 

よって免許や任命状等が無く、現状誰でも「自分はユタ」と名乗ることが可能になっています。

 

これが原因で金銭を詐取されるという被害が出ており、私にも何度も相談が来ました。

 

ユタの世界には、親神ー子神という師弟関係からなる一門はありますが、親神が亡くなると一門は解散し、子神はそれぞれの道を歩みます。「山下欣一『奄美のシャーマニズム』」

 

この理由は、「自分を指導できるのは自分の神と親神だけである」という自負から、他のユタと徒党を組むことはしないためだと思います。(もちろん単に面倒くさいからという理由も考えられますが)

 

ここにユタの世界が抱える問題が含まれていると思います。

組織がないことで「本物のユタ」が一般の方はわからないことが通常です。姿形は簡単に真似できますし、知識は本なりwikipediaから学べます。

 

こうしてユタマンチャー(ユタまがいの者、偽ユタ)やユタ崩れ(戒めを破り神様に見放されたユタ)に騙され、多額の金銭を詐取されてしまうのです。

 

今後被害者を生まないための何かしらの手立てを考えているのですが、まずは他のユタと緩い連帯をすることから始めています。

 

組織はなくとも情報を共有し、相談者を本物のユタへと繋ぐためです。

 

私どもは専門能力がそれぞれあります。全ての判示ができるわけではありません。

 

そこで自分には対応できない相談を他のユタに繋いでゆけば、相談者は「相談したが自分の悩みとは合わなかった」という事態は避けられます。

 

これを継続すればユタの世界に対する誤解が解け、神の世界が守られ、琉球のシャーマニズムは存続し、より多くの人を助けることができると思うのです。