イギリスのプログレバンド、ルネッサンスが、1975年6/20-22の3日間、オーケストラを配して
行ったライブアルバムだ。オケはニューヨーク・フィルハーモニック。
指揮は、 シェラザード夜話のオケアレンジを担当したTony Coxが行った。
え、ニューヨーク・フィル ?
バーンスタインが69年に退任後、ブーレーズが音楽監督を務めていた時代だ。
(ちなみに、ブーレーズのあとは、メータだぞ)
全米最高のオケではないか。
そうだ。
しかも、アナログレコードのクレジットには、単にオーケストラと書かれている
だけで、ニューヨーク・フィルハーモニックと書かれていなかった。
組合のプライドとか、レコードとして発売する際の追加ロイヤリティ
とか、大人の理由があったらしい。
確かに、アルバムでは、収録されたステージ上でメンバーの発言は多々収録されているけど、
聴き返してみても、メンバーが「オーケストラ」に直接言及したり、紹介する場面は見当たらない。
これは、公式には「ニューヨーク・フィルのメンバーを中心に特別に編成された臨時のオーケストラ」という体裁(実際はフルメンバー)をとることで、この共演を成立させた経緯によるものらしい。
Tony Coxの人脈で成立させた奇跡的なペアリングに違いない。
トニー・コックスは1960年代末から、イエス、キャラヴァンなど、名だたる英国プログレの名盤のストリングスを手がけ、ロンドン交響楽団などの超一流オケとも仕事を重ねていたんだよ。
リックウェイクマンがLSOと共演し名ライブ盤を残した地底探検と並ぶ、奇跡の一枚といえる。
プログレのライブ盤は、いや、スタジオ版を含めても、録音が良いものは少ない。
マルチトラックで収録したものをベースに、コピーを繰り返しながら
ミキシング、マスタリングするからだ。
その段階で、いろいろな音が失われてしまう。
時代的に、デジタル録音ではないから、最終的に、2chのマスターテープを作る
段階までの過程は、すべてアナログコピーを繰り返すからね。
この1975年のライブ盤も、もともとは、音はめっちゃ悪い。
せっかくのNYフィルの音も、あまり聞こえないのだ。
ライブでは演奏したキエフも、LPや普通のCD版では割愛されているし、
LPに至っては、少なくとも僕がもっているLPは、オートチェンジャー対応
の1面の裏が3面で、曲順がめちゃくちゃだ。
実際の演奏曲を演奏順に再現するとこうなる。
1. Prologue(プロローグ)
2. Ocean Gypsy(お嬢さん)
3. Can You Understand?(キャン・ユー・アンダースタンド)
4. Carpet of the Sun(太陽の絨毯)
5. Running Hard(ランニング・ハード)
6. Mother Russia(マザー・ロシア)
7. Song of Scheherazade(シェラザード夜話)
8. Kiev(キエフ) ※アンコール1
9. Ashes Are Burning(燃ゆる灰) ※アンコール2
ステージでは、 Mother Russiaのあとにブレイクがあることが
MCのアナウンスでわかるが観客の休憩は挟まれていかった。
アナウンスは、ベーシストのジョンキャンプだと思う.
Thank you, thank you... We're going to take a short break for a few minutes. See you soon
といっているから、数分だ。
曲をみると、150分くらいはステージが続いたはずだ。
よく、オケのメンバーは耐えたと思う。
(観客も)
しかも、アンコールで、1曲20分ある作品を、2曲もやったんだぜ。
そうか、ブーレーズに鍛えられていたから、だね。
リマスターCDは、3枚組で、全曲 135分収録された。
(3枚目はオマケで、BBCライブ)
リマスターされたCDは、オケはバンドと同じ音量にリミックスされ、
解像度は圧倒的に上がっている。低音の音量感もロックっぽく十分ある。
残念ながら2chではあるけれど、プログレのライブとしての作品として、僕は最も評価している。
なお、リマスターは、英国Esoteric Recordingsが行っているが、偶然名前が同じである
日本のESOTERICが持つ高音質へのこだわりを公式にリスペクトしていて、それがつながり
で日英エソテリックの共同プロジェクトもあるのだ。
英国に住む日本人としても誇りに思う。