グールドの、バッハ全集の中から、特に
55年版と、81年版を聞き比べてみた。
どちらも、SACD、2chステレオだ。
ゴールドベルクは、テーマと30の変奏があるので、32トラックある。
当然に、CDもSACDも、1枚に収まっている。
でも、55年版の時代のレコードは、まだSPがあったはずだ。
SPレコードだと、5枚セットくらいにはなると思う。
SPレコードは、樹脂に硫酸バリウムなどの粉末を混ぜてコチコチに
固めたもので、ガラスのように割れる。
硫酸バリウムは、重く固いが、これ、エクスクルーシブのP3という
プレーヤーでターンテーブルやアームを支える内部筐体として採用されている。
あまり乱暴に扱ったり、手が滑って筐体を落とすと、確実に割れる。
そうなると、もう、プレーヤーはおじゃん、だ。
僕の愛機だ。気を付けて扱わねば。
SP5枚がLPでは1枚に入るのだから、大変な密度upである。
LPが登場したのは米国で1948年、日本では1951年らしいが、
まぁとにかく、この録音時には、最先端の設備で録音していた。
ノイマンのU47とM49など、この時代の最高のマイクのはずだ。
低域は図太く、とてつもなく迫力が出る。
ミクサーは、コロンビアのエンジニアが作り出した真空管式ミキサーだった。
市販のまともなものなど、なかった時代なのでね。
テープレコーダーは、アンペックスmodel350(1/4インチ)で、これを39cm/sで
回す。1本のテープでは、最大30分しか収録できない。
この時代は、まだ76cm/sは出ていなかったが、75cm/sだとたった15分でテープを
交換しないといけない。
録音した4日間もの間、真空管を酷使し、レコーダーを回し続けていたんだね。
苦労した音だけど、テープはさすがに傷んでいて、磁気粉同士が影響しあい、高域の情報は消えている。
そもそも、ピアノだから、5Khz以上の基音は出ないが、とにかく、ノイズフロアが高い。
55年版を、81年版の録音を比較してみる。
参考までに、トラック2の冒頭をスペアナで比較してみた。
SACD層を再生、スペアナを写真にとった。
ボリウムはいじっていないし、スケールも変えていない。

あまり違わないように見えるけど、音は全くちがう。
55年版は、モノラルなのだが、低域がぶかぶかして、とにかく、ひたすら
大変に音が悪い。高域は詰まっており、ピアノが風邪をひいたような感じに聞こえる。
低域はもごもごしていて、しかもレベルは高く録音されているので、ズンドコ節なのだ。
81年版は、低域の解像度がぐっと上がり、高域もすんでいる。
SNも明らかに高い。
ただ、かなりデッドだ。
収録は、55年版と同じコロンビア30番街スタジオでの収録である。
録音の方針や、機材の違いで、これだけ違うということだろう。
もちろん、ピアニストの弾き方も相当違うのだけど。
1981年であれば、デジタル録音をしているはずなのだが、SACDになっている音源は、
アナログマスターを使っている。しっかり、空気録音されているね。
初期の81年版は、デジタルマスターを使ってCDをリリースしている。
ものすごく固い音で、たぶん、アナログフィルタを多用した音だと思う。
初期CDは、むかしのCDプレーヤーで聞くと、もしかするとよいのかもしれない。
ただ、55年版の方が、明らかに音楽として面白さがあると思う。
エソテリックから名盤復刻シリーズとしてゴールドベルクは出ていているけれど、
レオンハルトのチェンバロだ。グールドのピアノは出ていない。