本日、サントリーホールのコンサートを観た。

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
フルシャ/都響、Vn 五明佳廉

という、素晴らしいプログラム。

この曲は、個人的に思い入れがあり、あちこちで良く聞いたが、

本日聞いた演奏は、突出して素晴らしかった。

指揮するフルシャは,出身地でもある地元のチェコフィルの
首席客演指揮者だが、来シーズンから英ロイヤルオペラの
音楽監督に就任するから、現代最高の指揮者の一人である。

そして、都響。日本ではN響と並ぶ最高のオケだろう。
コンマスは久しぶりの矢部くんで、いう事なし。

一糸乱れぬオケ、力の入った素晴らしい指揮。
五明佳廉の、愛用の1703年製のストッド「Ex Foulis」による圧巻の演奏。

日本で,こんなレベルの高い、素晴らしい演奏を聴けるとは。

感動して涙が出た。

でも、ここでの主題はそれではない。

サントリーホールだ。

このホールは、永穂先生が手掛けた最高傑作だ。

ワインヤード形式の名ホールであり、

これほど音響が良いホールは、世界でもそう多くはない。

そのホールをあらためて観察すると、音響が3階建てになっている。

おぅ、これは、Auro-3Dと同じではないか。

1Fは、人工大理石のような材質で、直線的な塀のように平面性が高い。

だから特に拡散や吸収することはないはずだ。

鏡のように音は反射する。


高さでいうと、演奏者の頭から下くらいの高さが1Fとなっている。

そこから上の2Fは、木材で構成されており、三角錐のヒダで拡散される。


この木材は、ウィスキーの樽につかわれるホワイトオーク。

さすがサントリー。


3Fは天井であり、白い色の材質。

内側に凸にわん曲していて、音を拡散させる。

材質はたぶん軽量発砲コンクリートだと思う。
吸音も期待で、音響的にも良いから。

0Fに相当するグランドフロアと椅子はオークが使われ、響きが
コントロールされている。

サントリーホールは、

0F 1F 2F 3Fの素材は、すべて異なるわけだ。

高さ方向(z軸)だけではなくy軸に相当する列 
正面のステージと、背面の入口の形態も素材も異なる。

唯一、ホールの座席行だけは、左右対象性があるから、

Sbとか、Fhとか、それぞれ対となるSP 2chが同じSPであればよい事になる。

これを見て、僕はAuro-3Dに用いるSPは、

「全ch同一である必要はない、1Fと2Fは似た音である必要もない」

のではないかと思った。

この世に、どの面も同じ材質で同じ響きで拡散させるホールなんてあるのか?

あるはずはない。

どのみち、録音するホールでさえ、面によって音が異なるのだ。

いや、武道館とか、国技館とか、プラネタリウムであれば、
どの面も同じ響きかもしれないが、例外的だろう。

ならば、再生するSPだって、それぞれに設置面によって、
SPが異なったところで、問題ないはずだ。

そう思った次第である。

ところで、全SPを同じものでそろえるのは、小型SPを
使えば簡単だ。

実際、NHKに行けば必ず体験できる22chのデモとか、
Auro-3Dであれば、Genelic Japanでも
小型SPの環境が構築しており、誰でも視聴できる。

僕も体験したが、小型SPでの再生は、リアリティがなく、
ダイナミクスにだいぶ劣る。

再生スケールが小さく,せいぜい、50インチTVまでが限界で、
スクリーンが大きいと画像に負ける。

はっきり言って音がしょぼいのだ。

sonyの360°リアリティを使ったヘッドホン再生の方が
「遥かに」優れているように思う。

僕が、部屋に設置する17chものSPを、同じSPで
そろえることができない言い訳でもある。

しかし、同じSPでそろえることがどれだけ意味があるか
に対する反論でもあるのだ。