ホテルで荷物を預けてバスに乗る。
乗り換えてあと少しで着くところで雨が降ってきた。

ちょっとー雨降ったら参拝しないんだからなんとかしてよって言ったら「自然の摂理だ」とそっけない返事。
そりゃそうだけどさ…。

こうなったら先に腹ごしらえしてやるんだい。
いつも行く食堂は年に一度のバイキングだった。
お土産にはお米、それも一合のところ二合もらったよ。

もう店の回りは片付け中って所にお邪魔していたら、10人グループが来て満員御礼。
呼び水になっていたなら嬉しいね。

ここなら食べ過ぎても次の日に響かない。
体が喜ぶから熊野に来たら必ず…というか、店の営業日に合わせて神社に来ることにしている。

いや、でもまさかバイキングの日とは知らなかったよ。
たらふく食べてお店を出ると、無事に雨をやり過ごせたらしい。

ここに来ると深い呼吸ができる。
本来のリズムが戻ってくるような気もする。
のんびりしすぎて、写真を撮る気にもなれなくなるけど。

大しめ縄が新しくなっていて、心なしか浮き足立つ。
出雲も好きだけど今はいかんせん人が多いから、思い思いに参拝しているのを見るとホッとする。
出雲と同じく由緒あるお社。
「日本火出初社」(ひのもとひでぞめのやしろ)
火の発祥の地。
でも、どことなくおおらかな雰囲気で今日は一段と落ち着いていた。


七五三のご祈祷、てててと足が忙しない犬の散歩、グループの参拝…意味を考えるより景色として流すくらいがいいらしい。

どこにでもある当たり前の営みと非日常のよそ行きは地続きで、一つ所を行き交っているだけで、なにも特別なことなどありはしないんだな。
 

歩きながら、キリキリと集中して、重箱の隅をつついたり、厳しい目を向けていたのがやわらぐのがわかる。


多少失敗したって神さまは気にしないし、それで見捨てることってないんだよなぁ。
むしろ背を向けられるって、よほどじゃないと無理よね。

雨上がりの社は香ばしい森の匂い。
出雲と同じだ…あれ、ひょっとして雨はそのために?

「…フン」

ツンデレか。

なんにせよ、雨に打たれずに済んだのはありがたい限り。
こっちの香りは出雲よりほんのり甘い。
「こっちの方が香り高い」って言いたかったのかな。

意外にスサノオさんも意識していたのかしら?

この時期はお天気が不安定。
だから偶然って片付けても不思議じゃない。
でも、ま、神さまの歓迎って思ってた方がめでたいじゃないの、ね。


結局、予定より長く滞在していた。
出雲の喧騒を離れても神さまはついてくる。
いつでも、どこでも。

神さまの姿、再確認。



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