12月の終わりが近づくと、
特別な出来事がなくても、
なんとなく「年末だな」と感じる瞬間があります。

 

カレンダーを見たわけでもなく、
大きな予定が入ったわけでもないのに、
空気だけが先に年末を名乗り始める。

 

街に流れる音楽が変わり、
ニュースの言葉遣いが変わり、
お店の売り場が少しだけ慌ただしくなる。

 

気づけば、
こちらが意識する前に、
「年末感」はもう準備されている。

 

昔は、
年末は自然と「やってくるもの」だったのかもしれません。


仕事がひと段落して、
行事があって、
気づいたら一年を振り返っている。

 

でも今は、
年末は「感じさせられるもの」に
少しずつ変わってきたように思います。

 

まだ終わっていない仕事があっても、
片付いていないことがあっても、
「そろそろ締めですね」という空気だけは先に届く。

 

それは、
決して悪いことではありません。

 

むしろ、
「ここで一度、区切っていいですよ」と
環境のほうが先に教えてくれているようにも感じます。

 

年末感は、
感情というより、
空間や情報によって編集された「状況」なのかもしれません。

 

音、色、言葉、売り場、ニュース。
それらが同時に動くことで、
「一年が終わりに向かっている」という物語が
自然に立ち上がる。

 

だから、
強く意識しなくても、
私たちはちゃんと年末を感じてしまう。

 

ただし、
それをどう受け取るかは、
それぞれに委ねられています。

 

焦ってもいいし、
流されてもいい。
何も変えずに過ごしてもいい。

 

年末感は、
感じてもいいし、
感じなくても成立する。

 

ここまで丁寧に用意された空気なのだから、
無理に逆らう必要もない。

 

でも、
すべてに乗らなければいけない理由もない。

よくできているな、と一度眺めて、
「ああ、年末だな」と理解したところで、
あとは静かにスルーしてもいい。

 

それが、
この時期との、ちょうどいい距離感なのだと思います。

肯定して、スルーする。

 

それだけで、
年末は、ちゃんと通過していきます。