軽井沢バス事故の原因を解明しました。検察の主張と比較してどちらが合理的か判断して下さい① | 鑑定士のブログ

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とにかく長いですから、飽きないようにお願いします

最初に、事故現場の説明を致しますと、国道18号線の下りで、群馬県の横川から40ヶ所以上のカーブを登り続けて、10数Km走り、峠の頂上に出ます。そこから2km弱の下り坂を長野県軽井沢市街に向けて下ります。カーブは6ヶ所。難所と言われる碓氷バイパスですが、それは逆方向の上り線、軽井沢から横川方向への事で、『難所と言われる軽井沢から横川間』の反対側を登り切って、楽な下り坂で何故事故は起きたのか?と報道する事が、マスメディアの責任だと私は考えています。
事実、この軽井沢バス事故の現場の下り坂(上り坂)では、この事故以外は大きな事故はありません!
大きな事故は全て、逆方向の難所と言われている長い坂で起こっているのです。
それを如何にも難所であるかのように報道する。これは明らかな偏向報道であり、印象操作が目的だと思われます。
それを先ずは認識して頂きたいと思います。

では、事故とそれに至る真実をお知らせします。

代々木公園から上里SAまでの運転は、勝原だとのお客様の証言がありますが、出発時の立ち会い員の証言から、やはり土屋だ。と私は考えています。これは検察と同じです。
上里からは、藤岡ICで下道に降りて、その後国道17号から18号を走行し、事故現場に至りました。
道中の松井田バイパスから碓氷バイパスに至る分岐まで、事故現場よりも運転の難易度が高い場所は、数ヶ所はあります。が、事故の1キロ前の映像で判るように、非常に安定した走行をしています。
殆んどのお客様が、安心して寝ていた事が、その証明になります。

この映像の直後から、事故現場までは連続したカーブがある下り坂です。
最初の疑問として、何速のギアで下ったか?
私が土屋と同行した時に、道の駅で土屋が質問しました。
『4速でブレーキだけで降りて来たけど排気(ブレーキ)は使わないの?』
『排気は(ブレーキ)は、入れた時にショックがあるから俺は使わないよ。』
『(坂を)登る時は主に3速だから、3速が良いと思うけど違うのかなぁ。俺は排気を使うけど、ダメかなぁ?』
『間違いでは無いけど、[3速だとショックがあるから、やはり4速が良いと思う]』と私は答えました。[内は調書に書かれている内容です]
ですから私は、4速で下り始めたと考えています。

事故現場手前 250米の映像では、ブレーキランプを2回ほど点灯させ、センターラインをオーバーしながら左カーブを曲がって行き、その先の右カーブも、赤く光って見えますから、ブレーキを踏みながら走行していた。と、判断できます。
この映像地点から、事故原因を私なりに解明したいと思います。解明のヒントは、事故調査委員会の報告書に有りましたから、その内容に沿って説明していきます。

尚、報告書では、事故の原因として、加速する程度に軽くブレーキを踏んでいた。としているのに対し、裁判では事故原因は、技量未熟な為に全然ブレーキを踏んでいなかった。としています。
何故調査委員会と検察の見解が異なるのか?それは、加速する程度にブレーキは踏めないからです。私は報告書の後の取り調べで、それを指摘しました。多分調書にも残っていると思います。ですから、検察は事故原因を変更したのだと思います。調査委員会の報告書では、裁判には耐えられなかったと思います。
下り坂で数十秒も加速する程度にブレーキを踏んでみて下さい。私が言う意味が判ります!
但し、危険を感じたにも拘わらずブレーキを踏まない。この事故原因の設定は、従来のブレーキとアクセル踏み間違い事故の、数多い判例と矛盾します。事後、これを逆手に取ってブレーキを踏めなかった。という被告が増えたら…
私はそれを危惧します。

では、報告書からの引用と、それに対する見解を書いていきます。

A・エアタンクの残量は、破損した前が3.35kg正常な後ろが7.0kg(私が最初に見た時には、正常な後ろは6.35kgでした。)このどちらの数値でも警告ブザーは鳴りません。

①この数値は、正常に走行している時の数値8.8kg~9.0kg
に対してかなり低いです。
登り坂では殆んどブレーキは踏みませんから、下り始めて事故現場までの1km強の距離で、減った=エアを使ったという事になります。

②中央道の上り小仏トンネルの出口からの下り坂で、私は何回も実験を行いました。
ポンピングブレーキを連続して10回踏む。距離は500m
速度は95km~85kmで平均速度は90km。これは計算がし易い事と、事故発生時の速度に近い事が有ります。

③実験の結果のエアタンクの残量は、最大で1.2kg減、最小で0.8kg減でした。回数は合計6回です。

④速度が90kmですと、秒速は25m。100m走行は4秒ですから、20秒間に10回ブレーキを踏んだ事になります。

⑤普通に走行した状況でブレーキを踏んだ場合には、0.15kg~0.2kgだけエアは減りますが、これは踏む強さの差ですから、直後にエアが回復していても連続してブレーキを踏む事で、最大では0.12kg最小で0.08kg不足していく事が判ります。

⑥ポンピングではなく、連続してブレーキを踏んだ場合、実験では2秒で5回、5秒だと10回で、10秒だと15回が平均した踏む回数でした。
これは、足は、このような連続して踏む訓練はした事が無く、直ぐに疲れてしまうからです。そしてこの数値は、最大値です。

⑦あの映像地点は250mですから、多分事故現場までは平均時速90kmより遅く、実験より多少は時間がかかりますから、2秒足して12秒だと考えますと、ブレーキを踏む回数は17回が上限で、1回にエアは0.2kg減り(最大値)17回の合計では3.4kgのマイナスとなります。そして回復する分の最小値を当て嵌めると、0.08kg×17で1.36kg回復しますから、その差は2.04kg減る事になります。
通常時からこれを減らしますと、6.96kgから6.76kgがエアタンクの残量となります。
ただこれは、ブレーキを連続して踏み続けるのが前提であり、あの映像のようにハンドルを操作している時には、一時だけブレーキは踏んでいません。それは、手足を同時に連続して別々に動かす訓練はしていませんから、ブレーキを連続して踏む回数は減り、エアタンクの残量は、回復する時間が伸びる分だけは大きくなります。

⑧以上の事から、実際に踏めた回数は15回以下で、前記した数値よりも残量は大きいと考えられます。

結論
残量の7.0kgは、ブレーキを何回か連続して踏んでいないと、有り得ない少ない数値だという事が判ります。
フィンガーシフトでギアチェンジの為に、何回もクラッチを踏んだとしても、エアの消費は、ブレーキ使用時よりは少ないのですから、ブレーキの回数として、一括で考えて計算しましたが、前述したように、訓練しないと別々には連続動作は出来ませんから、問題は無い。と思います。
検察が言うブレーキを踏んでいない。事故調査委員会のブレーキが効かない程度に踏んでいた。という結論は、この数値からは、絶対に成り立たない事が判ります。

B・調査報告書には、制御コンピューターのエラー履歴が記録されていた。と書かれています。
それはABSのエラー履歴だと記載されていました。報告書では、メーカーに問い合わせをしたところ、事故には関係無い。との返事でした。と書かれています。

①検察はこれを信用して、独自に調査はしていません。

②ABSはアンチブレーキロックシステムの事で、ブレーキがロックしてスリップをしないように、スリップしたらブレーキを効かなくし、スリップが解消したら、再びブレーキを効かせる。という事を繰り返すシステムなのです。

③制御コンピューターは、車齢が古くなると、どうしてもバグの確率が高くなります。が、このバグは、PCのフリーズと同じでいきなり起こります。そして解消された後は何事も無かったかのように作動します。
車の場合は、バグで不具合が発生し、整備工場に持ち込んでも、解除した後は、故障は無しで処理されて、直さずに戻されます。

④システムのエラーかバグかは判明しませんが、ABSのエラー履歴が、スリップしている。と誤判断をしていた場合には、ブレーキを踏んでも、システムがブレーキを効かなくします。

結論
何故、事故調査委員会も検察も、メーカーの返事を鵜呑みにしたのでしょうか?
このABSのシステムを知っていたなら、Aのエアタンクの残量の問題と合わせて、故障か不具合かに考え至らなかったのか?それが私には理解できません。
そして私には、この調査委員会の報告書に書かれたAとBとは、何等かの忖度に対する、調査員の良心ではないかと思われてなりません。
以上が、運転技量未熟とされた、この事故の、原因に関する私の見解で、これらは事故調査委員会も検察も、明確な説明はありません。

C・最後で最大の事故原因。それは事故現場のガードレールの脆さです。

①事故現場の100m手前の右カーブでは、事故車両の後部がガードレールに接触した。と説明されています。
しかし、ガードレールには擦り傷だけで、全体的な変形はありませんでした。

②このガードレールは、直径が14cm程の、通常使われているガードレールよりも太い柱が使われています。
その分だけガードレールの厚さも厚くなり、柱は道路から見える部分の倍の長さが、土の中に埋められていて、強度はかなり違い、強化されています。
そして柱は、道路より横断歩道分程も高いコンクリートで固められています。
そして、この固められたコンクリートは、ガードレールより15cmほど道路に張り出しています。

③この張り出したコンクリートの部分に、バスのタイヤが接触した痕があり、路面にもタイヤ痕が認められた。と報告書には書かれています。
検察の見解は判りませんが、報告書と同じだと私は思います。調書を取られる時に、それとなく検事に尋ねましたけど、判りませんでした。

④道路は、左側が高く、俗に言うバンクの形態になっていますから、速度が速くて大きな遠心力が働いたとしても、このコンクリートの張り出しで、ガードレールには強く当たらなかった。と考えられ、この張り出しが役に立っているわけです。要はガードレールプラス張り出しの強度という事になります。

⑤事故現場も同じガードレールが設置されていて、道路の形態は、逆バンクになっています。ですから、遠心力は前の右カーブよりはかなり強まると考えられます。

⑥ガードレールに対して、バスは10度の角度で衝突しています。これも報告書に書かれています。
この角度は、ガードレールに接触させる事で、速度を低下させ、このカーブをクリアしようという意志を感じます。が、この浅い角度でも、ガードレールは耐えられずに、バスは転落しました。

⑦事故後の写真で確認しますと、ガードレールの柱が抜けて浮いています。私は、この写真に違和感を感じていました。この違和感は、ある方と出会い、教えて頂く事で解消を致しました。
出会う前の私は、登りの車線ですから、こちらは下り坂よりも強度が少ない。と考えていました。それが違和感の原因だったのですが、教えて頂いた方は、手前の右カーブと同じ仕様で、柱の埋めてある深さが違うのだと指摘して頂きました。

⑧この、元碓氷バイパスを造る時には、窪地を埋め、下に石を入れてしっかりした土台を造り、それから土を盛り上げて道を造ったのです。
手前の右カーブは、山の稜線をそのまま利用したから、なだらかなバンク状の道路になり、事故現場は、谷の部分だから盛り上げる必要が有り、石を下に入れて、しっかりと土台にしたのです。

⑨石が下に土台として入っている為に、ガードレールの柱は、規定通りの深さに埋められず、工費の関係も有り、柱を切って短くして埋め、ガードレールを設置したのです。
この為に、手前の右カーブに比べると強度が足りないのですが、ガードレールは、耐用年数が決まっていて、取り替え工事をするのですが、工費の関係で、この柱を切断し、強度を落とす方法が、継続して行われていたわけです。