【ロボットパイロット】
巨大ロボットのコックピットに座る犬。
犬「これが巨大人型ロボット・ハッピーエンドメーカー(HEM)のコックピットかぁ! 子供の頃からの憧れだったんだよな!」
鳥「犬塚さん、聞こえますか?」
犬「あ、鳥井さん、聞こえています!」
鳥「私が犬塚さんをサポートしていきますのでよろしくお願いします。それではまず初めにメインスイッチを入れてください。操作パネルに右手を当て『ハッピーセットオーダー』と叫んでください。指紋認証と音声認証で起動します」
犬「なんだかハンバーガー屋を思い出す掛け声だな。まあ、いいけど、えっとこれに手を当てて『ハッピーセットオーダー!』」
KU「起動。認証を確認しました」
犬「おお! 起動した!」
鳥「ロボットの方は高性能AI『KURO』がサポートしてくれます」
犬「なるほど、作戦とか周囲の状況とかは鳥井さんがサポートしてくれて、実際に行動する時のロボットのサポートはAIがしてくれるってわけか! すごいな、本当にアニメの主人公みたいじゃないか! よーしやる気が出てきたぞ!」
鳥「では、訓練を開始します。まずは立ち上がってください」
犬「OK! 立ち上がればいいんだな!」
鳥「ハッピーエンドメーカーは、全長30メートルを超える二足歩行型の機動兵器です。そのため、バランスを取るのが難しいので、立ち上がる時のバランスはAIで制御されます」
KU「オートバランスをONにします。立ち上がります」
犬「すごい! スムーズに立ち上がっていく!」
鳥「次に歩行を訓練を行います」
犬「OK! 今度は歩くんだな! えっと、歩く操作は……」
鳥「歩行は立ち上がる以上にバランスを取るのが難しいので、AIによって制御されます」
KU「オートバランス歩行モードONにします」
犬「そ、そうなんだ、うん、まあ確かに歩くのを常に手動で操作するわけないよね!」
鳥「射撃訓練を行います。右手側にあるライフルを手にとってください」
犬「なるほど、ハッピーエンドメーカー専用のライフルか! あれを取ればいいんだな!」
鳥「全長30メートルを超えるハッピーエンドメーカーの手は人間の形と同じですが、目視では距離感を掴むことが困難ですからAIで制御されます」
KU「オートアジャストメントをONにします」
犬「ああ、うん、そうだよね。確かに、距離感とかわからないし、上手くつかめないと困るしね」
鳥「射撃訓練をします。ライフルを構えてください」
犬「いよいよ僕の出番だな! センスのよさを見せつけてやるぜ!」
鳥「射撃フォームは現状に最適なものをAIが選択し実行します」
KU「射撃フォームの最適化を行います」
犬「って、おいおーい!」
鳥「どうしました犬塚さん!?」
犬「いやいや! っていうか、さっきから僕何もしてないんですけど!? 全部AIがやってますけど!? AI高性能過ぎません!?」
鳥「いえ、今までの部分は調整が微妙な部分でもあるので仕方がないんですよ」
KU「そうです。犬塚、気を落とさないで」
犬「AIにも気を使われてる!? 本当にAIなの!? 後ろに人がいるんじゃないの?」
鳥「そんなわけありません。さあ、訓練を続けましょう! 標的が出てきますのでそれをライフルで打ってください」
犬「よし、今度こそ」
鳥「標的を的確に捉えるのは困難なので、AIで制御します」
KU「ターゲットロックオンします」
犬「ちょ、ちょっと……!」
鳥「さらにAIにより最適なタイミングかつターゲット破壊に対して最高効率でトリガーを引きます」
KU「オート射撃モードONします」
犬「オート射撃モード!? だから! 僕何もしてないんですけど!」
鳥「訓練中ですよ! お静かに!」
KU「犬塚、真剣にやれ」
犬「ちょ、AIお前! っていうか、何かさせろよ!?」
突然サイレンが鳴り響く。
犬「なんだ!?」
鳥「巨大怪獣が現れました! 訓練の最中ですが、出動をお願いします!」
犬「なんだって!? こんな状況なのにもう実戦かよ! こうなったらやるしかないな!」
鳥「最高効率かつ最短で安全に怪獣を対抗できるようAIが制御を行います!」
KU「オートバトルモードONします」
犬「そこもオートになるかーい! もういいよ!」
了