君の手






握っていたはずの君の手を放したのは僕


君を置き去りにしたのも僕


君を傷つけて、壊したのも僕


だけどね、


後悔なんて全くしていないよ


僕は醜い野獣そのものだから


本能のままに進むだけ


それが、この世界での生き方、生き残り方


正直に言うと、君のおびえた顔で


僕は絶頂だったんだ



だから、だから



僕に微笑まないでくれ


憐みの目で見ないでくれ



だから、だから



僕も壊して……


ぐちゃぐちゃになって


めちゃくちゃになって


この世界から消してくれ






君の手で、どうか……


そう思った








グロッグを飲んでる君の顔は、とてもやさしい


まだ、瞳が赤いのは僕のせいだけど、罪悪感は薄れていくよ


テレビから流れてくる雪の便りに


君のまばゆいばかりの、白い肌を重ね合わせる


白い君は、奇麗 


白い君は、奇麗


僕の視線に気づいて居るのに、気づかないふりをする君


蒼い君も、奇麗


蒼い君も、奇麗


チロと戯れていると、いつの間にか横でキスをねだる君


唇から、かすかにラムの香がした


赤い君も、奇麗


赤い君も、奇麗

キョウ



キョウは苦手だ


でも、アシタはもっと苦手


それから逃げるようにキノウに想いを馳せるよ


ああ、もっと空が青ければいいのに……


それだけで僕は安心する


ギターの音は今夜もうるさい


そんな雑音、そんな騒音


それだけで僕は、ほっとする


12時が来て、キョウが終わって


過去の僕の緊張はほぐれた


そんな僕を横目に、緊張した顔のアシタの僕を見る


緊張するなよ、お前はできるさ


なんて、ね