【経済】 「技術のホンダ」正念場=品質問題で傷ついた信頼-反転攻勢へ挑戦の年 [転載禁止] | 国際そのほか速

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戦後日本を代表するものづくり企業、ホンダが揺れている。
主力小型車「フィット」の相次ぐリコール(回収・無償修理)とタカタ製エアバッグの欠陥という二つの品質問題が響き、2015年3月期は3年ぶりの営業減益に陥る見通しだ。
苦境のさなか、今年は自動車レースの最高峰F1への復帰をはじめ、企業理念の「挑戦」を象徴する事業が本格始動する。
「技術のホンダ」は正念場を迎えている。

 ◇5度のリコール
 13年9月に発売したフィットのハイブリッド車(HV)。
満を持して投入したはずが、直ちに不具合が見つかり、翌10月から1年で5度のリコールに追われた。
 今年度(15年3月期)は6車種の新型車発売を予定していたが、品質管理を徹底するため計画が遅れ、結局4車種にとどまる。
当初は過去最高の103万台を見込んだ国内販売計画も2度見直し、82万5000台に下方修正した。
 「開発現場には相当負荷があったのは間違いない」。
伊東孝紳社長は一連の品質問題をこう総括。
責任を取り、伊東社長らは役員報酬を一部返上した。
 立て直しに向けホンダは、四輪事業本部に品質改革担当を新設し、開発工程の大幅な見直しに着手した。
担当に就いた福尾幸一専務執行役員は「現場のコミュニケーションが不足していた」と問題点を分析する。

 ◇タカタ問題が直撃
 追い打ちをかけたのがタカタ製エアバッグの欠陥問題だ。
エアバッグが作動時に異常に強い圧力で膨らみ、金属部品が飛び散る恐れがあり、タカタ製品を採用している完成車メーカーが日米を中心にリコールに追い込まれた。
 タカタとの取引関係が深いホンダは、リコール台数が他社に比べ突出。
原因解明前の段階で自主的に回収する調査リコールを含めると、全世界で1430万台に上る。
エアバッグの調達先をタカタ1社に集中していたリスク管理の甘さもさらけ出した。
米国ではホンダ車の死傷事故の当局への報告漏れも重なり、ホンダブランドの信頼は大きく傷ついた。

 ◇創業者の夢
 ホンダにとって今年は、信頼回復とともに、技術への挑戦に取り組む年になる。
7年ぶりのF1復帰について伊東社長は、「間違いなく将来、車をもっともっと楽しくすることにつながる」と意義を強調する。F1で培った技術を応用し、市販車の魅力を高める考えだ。
 米国で開発を進めてきた小型ジェット機(最大7人乗り)は、今年前半に納入を始める。
将来の日本への投入も視野に、4月下旬には国内で関係者を対象とした初飛行を計画している。
 F1と航空機参入は、創業者の本田宗一郎氏が強い思い入れを持っていた事業で、ホンダの「チャレンジの象徴」(伊東社長)だ。
世界中のファンがホンダの反転攻勢を待っている。

◇ホンダの品質問題の経緯
2013年9月   新型「フィット」発売
    10月   フィットのハイブリッド車(HV)でリコール
    12月   フィットHV、2度目リコール
  14年2月   フィットHV、3度目リコール。出荷を一時停止
     6月以降 日米などでタカタ製エアバッグの欠陥を原因としたリコール拡大
     7月   フィットHV、4度目リコール
    10月   フィットHV、5度目リコール。伊東孝紳社長ら役員報酬一部返上
          14年度の国内販売計画を下方修正
    11月   米当局への死傷事故報告漏れ発覚
          米当局がタカタ問題でリコール対象を全米に広げるようタカタや自
          動車メーカーに要求
    12月   タカタ問題で全米へのリコール拡大を表明
  15年1月   事故報告漏れで米当局への民事制裁金支払いに同意
          国内販売計画を再度下方修正