◆男子プロテニス メンフィス・オープン最終日 ▽シングルス決勝 錦織2(6―4、6―4)0アンダーソン(15日・米テネシー州メンフィス)
世界ランク5位で第1シードの錦織圭(25)=日清食品=が、同15位で第2シードのケビン・アンダーソン(28)=南アフリカ=を6―4、6―4で下し、前身の全米室内選手権を含めて自身初の3連覇を達成。日本人選手では女子のクルム伊達公子(44)=エステティックTBC=に並ぶ、シングルスのツアー最多記録となる通算8つ目のタイトルで賞金10万6565ドル(約1270万円)を手にした。次戦は23日開幕のメキシコ・オープン(アカプルコ)で、結果次第では世界ランク3位に浮上する可能性も出てくる。
1976年からスタートした大会で、史上初の3連覇をわずか1時間15分で手にした。相性のいい大会だけに錦織も「ここに引っ越したい」と、ちゃめっ気たっぷりに笑った。
躍進した昨季終了後には、自己最高の世界ランク5位に「来年は重圧があると思う」と覚悟していたように「予想通りもいいところで、こんなに大変とは思わなかった。半年ぐらい戦った疲れが出ている」と本音。上位を追いつつ下からの突き上げも受ける、苦しく難しい立場と折り合いをつけながら、また一つタイトルを手にした。
2年連続の第1シードで、世界ランク1ケタは一人だけ。勝って当たり前と見られた。第5シードだった2013年、世界ランクは16位だった昨年とは違った。「もがきながらの優勝だし、今までで最も充実している」。準決勝までは、格下選手の突き上げに常に第1セットを奪われる苦しい展開だった。頼れる師匠のマイケル・チャン・コーチ(42)から「プレーが悪くても勝ち方を見いだす必要がある。こういうときもある」と言葉をかけられ活路を見いだしてきた。
“世界3強”にも近づくV3ともなった。この優勝で女子のクルム伊達に並ぶ日本人ツアー最多のシングルス8勝目。通算勝利数も199勝とした。23日に開幕するメキシコ・オープン(アカプルコ)の結果次第では、16日発表の世界5位から、3位のラファエル・ナダル(スペイン)、4位のアンディ・マリー(英国)を追い越し、男女を通じて日本勢最高の3位に浮上する可能性が出てきた。
現状ではナダルと540点差、A・マリーと255点差があるが、ナダルは今週のリオ・オープンをもって500点、A・マリーは次週の大会終了後に180点を失う。2選手とも、この2週間で試合に出場する予定だが、ポイントを稼げず、錦織がメキシコで優勝すれば失われるポイントを差し引いても410点を一気に加算できる。
メキシコでも第1シードが濃厚な錦織は「自分はそこにいられる選手だと感じている面もあるし、強い気持ちでもっと上を目指したい」と決意。アカプルコで歴史を塗り替えてみせる。