【カイロ=大内清】エジプト軍は16日、隣国リビアにあるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の訓練キャンプや武器庫をリビア軍と連携して空爆したと発表した。これに先立つ15日、同組織に忠誠を誓う武装勢力が、リビア国内で出稼ぎのエジプト人キリスト教徒21人を殺害したとする映像をネット上で公開したことへの報復。シリア・イラクでのイスラム国本体のほかにも、中東・北アフリカ各地で傘下組織の脅威が高まっていることが改めて裏付けられた形だ。
エジプトがイスラム国系への空爆で他国に介入したのは初めて。今後、エジプトも参加する対イスラム国有志連合の戦線拡大につながる可能性もある。
アラブ・メディアは東部デルナが空爆対象になったと報道、リビア軍も16日、中部シルトなどを空爆したと発表した。エジプト国営放送は、一連の空爆でイスラム国側戦闘員40~50人が死亡したとしている。
イスラム国は今月発行のオンライン機関誌で、キリスト教の一派、コプト教徒のエジプト人21人をシルトで拘束したと公表していた。全員殺害されたかはただちに確認できないが、映像には人質らが並んでひざまずかされ、首を切断される様子が写っている。