25日に就任2年となる朴槿恵大統領は最近、支持率の急落、対日、対北朝鮮政策の手詰まりなど、内憂外患の状態にある。任期5年の折り返し点に向かう朴政権が、直面している課題を探る。
「対面報告がもっと必要だと思いますか?」
1月12日、青瓦台(大統領府)での新年記者会見で、記者からコミュニケーション不足を指摘された朴槿恵大統領が、横に控える閣僚らを見やりながら尋ねた。だが相づちを打つかのような笑いしか返ってこない。記者に反論するかのようなその姿は、国民の支持離れを加速させることになった。
2013年2月の就任後、朴大統領は安定した高支持率を誇ってきた。高度経済成長を成し遂げた父、朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領への郷愁や「選挙の女王」といわれた政治力などから、一定の期待感を集めていた。
しかし、時間がたつにつれ、上意下達の政策決定方式や、書類での報告を好む政治スタイルが「(軍事独裁と呼ばれた朴正熙政権の)1970年代に戻ったようだ」などと、問題視されるようになった。
特に人事は最大のアキレスけんになった。昨年4月の客船セウォル号沈没事故で、鄭ホン原(チョン・ホンウォン)首相は引責辞任を表明。ところが、後任候補者2人に相次いで問題が発覚し、鄭首相が辞めるに辞められなくなってしまったのだ。「まるでコメディーだ」「恥ずかしい」。国民の間からこんな声さえ上がるようになった。
「背水の陣」で臨む朴大統領は、国会運営を担う院内代表を務め、野党側からも好意的に見られていた李完九(イ・ワング)氏を1月に指名。無難に乗り切れるかと見られていたが、国会での人事聴聞会直前に李氏の兵役免除問題や、記者との会食の際の録音テープが流出し、野党が態度を硬化させた。
16日の国会採決では、与党セヌリ党から少なくとも7人の造反を出す展開となり、出席議員の過半数をわずか7票超えるだけのぎりぎりの可決だった。さらに、国民生活に直結する問題が、朴大統領を悩ませる。今年に入り、新制度の導入に伴い1月の年末精算(日本の年末調整に該当)では、いつも返ってきた税金が、一部では徴収されることが明らかになった。このため「増税なき福祉」の公約を掲げた朴大統領への信頼が、揺らぐことになった。
与党セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表は9日、ソウル駐在の外国人記者との会見で「福祉財源に問題がある」と、増税も検討すべきだとの立場を表明。与党も「脱朴槿恵」を図り始めたとの指摘が出ている。最大野党・新政治民主連合の支持率は30%台に上昇。8日に同党の新代表に就任した文在寅(ムン・ジェイン)氏は、12年大統領選で朴大統領と激しく争い、17年大統領選の野党候補者としても最多の支持を集めている。
ソウル大の康元澤(カンウォンテク)教授(韓国政治)は「国民が様子を見守っていたのを、朴大統領は自分が支持されていると信じすぎたのではないか」と指摘。「今は大統領も相当、危機感を感じているのではないか」と見る。【ソウル大貫智子】