「家族のあり方」慎重議論進む 最高裁の憲法判断に注目 | 国際そのほか速

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 家族のあり方をめぐる明治以来の2つの民法規定について、最高裁が大法廷で憲法判断する見込みとなった。時代に応じて、夫婦別姓導入や再婚禁止180日規定の見直しを求める声がある一方、これまでの家族のあり方に影響を及ぼす可能性もあり、その判断の行方が注目される。

 大法廷回付を受けて東京・霞が関の司法記者クラブで会見した夫婦別姓訴訟の原告の加山恵美さん(43)は、「夫婦がどうするか、名前をどうするかは2人で決めることだ。結婚で名字が変わることや通称で生活することはつらい」と訴える。また、代理人の榊原富士子弁護士は「ようやく憲法判断をしてもらえる。最高裁の積極的姿勢を感じた」と評価。「社会は変化しており、機は熟している」と期待を込めた。

 ただ、2つの規定改正についてはいずれも、国で慎重な議論が進んでいる。

 法相の諮問機関「法制審議会」は平成8年2月、選択的夫婦別姓の導入と再婚禁止期間短縮を答申に盛り込んだ。

 しかし、夫婦や親子関係の根本に関わりかねない問題でもあるため、「家族のあり方が崩れる」などと導入に慎重な意見もあり、民法の改正は見送られてきた経緯がある。

 双方の言い分を聞く弁論を経て、最高裁が判決で示す司法サイドからの判断。日本が培ってきた伝統的価値観と、社会情勢の変化を受けた多様な価値観のはざまで、どのようにバランスを取るのか。法改正論議にも一石を投じることになる。