東京都港区のマンションで平成18年、都立高2年の市川大輔さん=当時(16)=がエレベーターに挟まれ死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われたシンドラーエレベータの点検責任者、原田隆一被告(46)ら4人の公判が19日、東京地裁(杉山慎治裁判長)で開かれた。いずれの弁護側も「予見可能性もなく、過失はなかった」などと改めて無罪を訴え、事故から8年以上を経て結審した。判決は9月29日。
最終弁論で原田被告の弁護側は、「被告らが点検をした時点で、事故の原因となったブレーキ部品の異常は発生していなかった」と主張。原田被告も最終意見陳述で「落ち度はなく、事故の責任はないと考えている」と述べた。
事故ではエレベーターのドアが開いたまま上昇したため、降りようとしていた市川さんがかごの床と外枠に挟まれ死亡した。原田被告と保守点検業務を担当していた会社の幹部ら3人が保守管理を怠ったとして起訴され、弁護側は全員の無罪を主張している。
検察側が鑑定をやり直すなど公判前整理手続きが長期化し、25年3月にようやく公判が開始。昨年12月に検察側は原田被告に禁錮1年6月、点検会社幹部ら3人に禁錮1年6月~1年2月を求刑した。