加奈桜 綾部署正面に | 国際そのほか速

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加奈桜 綾部署正面に ◇市民に届け 交通死署員の思い

  ◇ゆかりの木 移植

  • 庁舎正面に移植された「加奈桜」。命名の由来などを記したプレートも設置された(綾部市で)
  •   1995年に交通事故で亡くなった元綾部署の交通巡視員、豊田加奈さん(当時28歳)を悼んで同署の裏庭に植えられていた枝垂れ桜「加奈桜」が、庁舎正面に移し植えられた。同署は「これまで署員の交通安全の象徴だったが、今後は市民の安全意識向上のシンボルになってほしい」と願っている。(大島渉)

      同署によると、豊田さんは94年3月~95年7月に同署で勤務し、交通違反の取り締まりなどにあたっていた。だが、五条署(現・下京署)へ異動後の同9月、八幡市内の国道で、府警機動隊員だった夫が運転する乗用車に乗っていたところ、大型トラックに追突されて対向車線に押し出され、大型タンクローリーと衝突。2人とも亡くなった。

      生前、豊田さんから「綾部の街が大好き」と聞いていた実母が事故から10年の2005年5月、綾部署に桜の木を寄贈。豊田さんの名前にちなみ「加奈桜」と命名され署員が大切に育ててきた。現在は、幹回りが約25センチまで成長し、春には美しい花を咲かせている。

      桜の木は昨年2月から始まった同署庁舎の耐震工事に伴い、いったん引き抜かれ、今年が事故から20年を迎えることもあり、市民の目に触れる場所に移植することにした。

      9日には命名の経緯などを記したプレートの設置式があり、署員ら約50人が出席。黙とうをささげた後、桜の前にプレートを固定した。仙川恵正署長は「事故は、署員が決して忘れてはならない事件事故の一つ。今後は多くの市民の皆さんにも桜を見てもらい、交通安全の大切さを考えるきっかけになれば」と話した。