
山梨学院大学学長の古屋忠彦さんは1980年の学長就任時、大学作りの哲学の中核に「個性派」を据えた。その結果、オリンピック選手が多数輩出するなど、約35年でカレッジスポーツを全国トップクラスに育て上げた。また、今年4月には、国際リベラルアーツ学部の開設を予定し、大学の国際化に真正面から挑む。地域が誇る「個性派私学」ブランドの確立を目指している。
国際リベラルアーツ学部は英語授業
新設する国際リベラルアーツ学部は教員の8割以上が外国人で、授業のほとんどを英語で行い、人文教養、社会科学、自然科学など幅広い領域について学びます。実施するのは「グローバル・リーダー」育成のための国際標準の教育です。大学の世界でも国際化が叫ばれて久しい中、本学は本気で国際化に挑戦します。
私自身、20代後半に3年間、米サンフランシスコに留学し、それまで知っていた大学の文化とアメリカの大学文化との違い、多くの個性的な大学の存在を知りました。
37歳で学長に就任した時、大学作りの哲学としてその中核に据えたのが「個性派」です。以来35年間一貫して、大学のオリジナリティーを作る、他大学にはないものを創り出すという信念に基づいて大学を運営してきました。その中で「日本一」を作ることも目標にし、スポーツ分野をはじめ、いくつかの種が花を開きました。国際リベラルアーツ学部も含めて今後もさまざまな種を育てていきます。
伝説の私学めざし 地域も誇る存在に
- 美しさを誇るキャンパス
「個性派の旗手」から「個性派の雄」を旗印にブランド力の強化に努めてきましたが、ここに来て、社会が大学に対し、多様性や強い個性を望むようになっています。大学の個性化について真剣に考えることができる時代がきたと感じています。
大学作りは30年、40年で完成形にいたるような世界ではありません。この世にまたとない圧倒的に個性的な学園、「伝説の私学」となることが私の究極の夢です。一人の人間がつくるのではなくて、駅伝のようにたすきをつないで、ゴールを目指します。
大学のキャンパスは若者の夢を育むステージです。学生生活ではキャンパスに深く熱い思い出を刻んでほしい。思い出が存在しない大学に社会的な存在意義はありません。
卒業後も、楽しいにつけ、悲しいにつけ、さまざまな機会に足を運んでほしい。かつての友は卒業していていないけれども、思い出とともにキャンパスがあるからです。独自の哲学をもって美しいキャンパス作りにも力を入れ、地域の方にも親しんでいただこうと、あえてキャンパスの周囲に塀を設けていません。
地域社会でも国際社会でも活躍できる人材を育てようという大学の気持ちは、必ず人々が感じ取ってくれると思っています。卒業生もふるさとの人も誇らしく思ってくれる学園文化を育てていきます。(談)
ふるや ただひこ 1942年生まれ。山梨県出身。1967年、早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了。1975年、サンフランシスコ州立大学大学院教育行政学専攻修了。1980年、学校法人山梨学院理事長・大学長に就任。主な著書に「大学進化革命」。趣味は旅行、特に建築物や庭園鑑賞。