
-
◇新年度案1084億円
◇支出抑制事業終了 3年ぶり減、膨張歯止め
大津市は9日、1084億2200万円の2015年度一般会計当初予算案を発表した。税収の落ち込みを見越した支出抑制や大規模事業終了に伴い、過去最大となった前年度比で4・2%減。減少は3年ぶりで、越直美市長は「予算の膨張に一定の歯止めはかけられた。人口減少に備え、次世代に投資し、負担を残さない予算を目指した」と説明している。16日開会の2月市議会通常会議に提案する。(池内亜希)
■歳入
消費増税などの影響で、市税は前年度比0・9%減の486億700万円。うち法人市民税は9・5%減の30億5300万円。
市債は大田廃棄物最終処分場の整備終了などで24・5%減の93億7150万円。市債残高は、ほぼ横ばいの1168億3300万円を見込む。財政調整基金の取り崩しは免れた。
■歳出
今後のゴミ焼却施設2か所の整備などを考慮し、昨年10月に中期財政フレームを策定。今後5年で見込まれた319億円の不足を解消するため、1078億4700万円を目指して編成した。
人件費は204億637万円で1・2%増。扶助費は増加した民間保育所の運営費などで2・5%増の289億7605万円。投資的経費は最終処分場や道の駅などの大規模事業が終了し、31・6%減の100億3469万円。
◇保育士確保やいじめ対策
予算案では、越市長が重点を置く「子育て・教育」を柱に各分野に配分した。
子育て支援では、賃金改善補助など保育士確保事業に9661万円、民間児童クラブの参入推進に1473万円。預かり時間を午後6時半までから同7時までに延長するなどの児童クラブ運営事業には1億1474万円。男性の不妊治療費助成に50万円を組んだ。
教育施策では、2020年の東京五輪などを見据え、大学生が中学校の部活を指導する事業に154万円を充てた。情報通信技術を使った小学1年からの英語教育の実施など国際理解推進事業は1億6024万円。
小中学校のいじめ対策は計2億7980万円。いじめ対策担当教員の配置を生徒数などに応じた振り分けに見直すほか、ネットによる被害防止にも努める。
高齢者福祉関連では、介護職の人材確保に向け、研修受講の補助費200万円を計上した。
JR大津駅周辺の活性化には9億700万円。JR西日本と進める駅舎刷新工事費など、県都の窓口としてふさわしい姿を目指す。
17年度完成予定のJR膳所駅と周辺整備費には8億3757万円を充てた。
◇全中学で給食 18年度にも 最大級センター新設
大津市教委は、全ての市立中学校で学校給食を始める方針を固めた。国内最大級の給食センターを新築し、早ければ2018年度中にも実施される見通し。
中学校の学校給食は、県内では13年に近江八幡市が始め、8市5町が全校で実施している。
大津市立中学校では葛川、志賀の2校で行い、他の16校は生徒が弁当を持参。12年度に市教委が行ったアンケートによると、生徒の55%が「弁当がよい」と答えている。
ただ、市教委のアンケートでは、保護者の73%が弁当を持たせることが負担と回答。保護者の負担軽減のほか、栄養に配慮した給食による生徒の健全育成を目的に、全校に拡大させることにした。
計画では、東部の小学校約7000食を担う同市大将軍の東部学校給食共同調理場を、大規模な給食センターに刷新。中学校分も含めた約1万8000食をまかなうとしている。
建設予定地は、同市栗林町の約1万2000平方メートルを検討。整備費は51億6200万円を見込む。
新年度は当初予算案に694万円を盛り込み、民間の活用を含め、効率的な事業手法を探る。
センターの新設について、市教委は「自校施設や民間委託よりコストは少ない」と試算。「十分な準備や調整をし、生徒にとって望ましい給食を目指す」としている。