県連幹部「JAから何か言ってこいと言われ…」 | 国際そのほか速

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 政府・自民党が示した農協改革案を全国農業協同組合中央会(JA全中)が受け入れたことで、安倍首相は、業界団体の抵抗が強い「岩盤規制」打破の試金石となった農協改革で、一定の成果を収めることに成功した。

  首相はまた、4月の統一地方選への影響を最小限に抑えるため、都道府県単位の中央会や地域農協への配慮も示した。

  岩盤規制の打破をテコに成長戦略を推進することを目指す首相は、今国会を「改革断行国会」と位置付けている。その象徴が農協改革だ。

  これまでの交渉過程で、政府が狙いを定めたのはJA全中だった。JA全中が地域農協を一律的に指導・監査する現体制が、地域農協の創意工夫を妨げているとの認識からだ。首相は「JA全中には脇役に徹していただきたい」と繰り返し迫った。

  これに対し、JA全中や農水族議員は「全中が地域農協を妨げている実例はない」などと猛反発した。

  農協組織のトップのJA全中は、下部組織の地域農協などから賦課金として年約80億円もの「上納金」を集め、政治団体を通じて大きな政治力も持つ。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉でも、東京に農家を集めて何度も反対集会を開いていた。

  そうした中、政府は、地域農協にとって切実な「准組合員」問題を巡って早々と妥協する戦術をとった。さらに、都道府県単位の中央会も、農協法上の連合会に位置付けて残すことを決めた。「国会議員が実際の選挙で付き合いがあるのは、全中ではなく都道府県の中央会だ」(自民党農水族)。農協内だけでなく、自民党内の農水族からの批判も次第にトーンダウンした。

  政府は、アメとムチを使い分け、JA組織内の「分断」を図った。農水族議員は「准組合員問題の見送りを持ち出され、揺さぶりをかけられたのが響いた」と振り返る。

  農協改革を巡っては、統一地方選への影響を懸念する声は根強い。7日に行われた自民党の全国幹事長会議では、「地方崩壊につながりかねず、統一地方選は厳しい戦いになる」(北海道連)など農協改革への不満が相次いだ。

  ただ、幹事長会議後の懇親会では、党幹部のもとへ県連幹部が歩み寄り、「JAから何か言ってこいと言われて……」と釈明する姿が見られた。党幹部に「会議では色々言うが、困らせるつもりはない」と事前に釈明する県連幹部までいたという。このため、「影響は限定的ではないか」(自民党幹部)との見方もある。