目標設定し一歩一歩…佐藤真海さん | 国際そのほか速

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目標設定し一歩一歩…佐藤真海さん 

陸上選手

 

  • 佐藤真海さん(沼田光太郎撮影)
  •   大学時代、骨肉腫という診断を受けた時の衝撃。今も忘れることはできません。

      手術で右脚のひざから下を失い、その後治療が長く続きました。それでも、絶望はしなかったのです。

      ゼロからのスタートと割り切って、パラリンピックに挑戦することができたのも、子どもの頃、特に、宮城県気仙沼市立気仙沼中学校に通っていた頃の積み重ねが大きかったと実感しています。

      あの頃、1500メートル走を中心に、練習に打ち込んでいました。少しでも自己ベスト(記録)を伸ばしたくて、眠くても寒くても、毎朝、登校前に海のそばにあった自宅から、標高239メートルの安波山の頂上まで往復40分かけて山道を走り続けました。

      自主トレーニングを続けた結果、1年後には県大会の決勝に進めました。先頭集団に食らいつくのが精いっぱいでしたが、最後の直線、不思議と振り絞るパワーが残っていて、3、4人抜くことができたんです。結果は8位に入賞。積み重ねた分だけ、自分に返ってくるんだと感じた瞬間でしたね。

      世界大会でも、全国大会でもない。客観的にみれば、大した成績ではないかもしれないけれど、ほかの人との比較ではなくて、自分自身が成長できたかどうかが大事なんです。

      目標を設定し、一歩一歩それに近づいていく。その日々の積み重ねの中で、気持ちで負けないことの大切さを学んだと思います。今やっていることが5年後、10年後、必ず自分の成長につながる。その信念は揺らぎません。(聞き手・広中正則)

    プロフィルさとう・まみ 1982年、宮城県生まれ。パラリンピックで3大会連続、陸上女子走り幅跳び日本代表。

     

      (2014年4月10日付読売新聞朝刊掲載)