
独自候補擁立を目指してきた自民党県連が推す鉢村氏が出馬を表明したことで、進退を明らかにしていない佐藤知事が3選を目指して立候補するかどうかに注目が集まっている。
鉢村氏は、福島市のホテルで17日午前に開かれた県内女性有志約50人の「福島の未来を創る女性の会」に出席し、出馬を表明した。鉢村氏は、日銀入行後の福島勤務経験や、東日本大震災後、政府に出向し、審議官として福島の復興を担当した経歴を説明。「職業人としての原点は福島」「震災後、私はともに闘った」と述べ、福島とのつながりを強調した。
鉢村氏は同日午後、自民党県連を訪れ、杉山純一幹事長から「県民が今求める知事は、強いリーダーシップを発揮し、政府に県民の声をしっかり伝える発信力の強い知事だ」との要請書を渡された。要請を受諾し、杉山幹事長と記者会見した鉢村氏は「県民のあらゆる層から復興を加速させてほしいと言われて決意した」と出馬理由を語った。
鉢村氏は日銀に、13日付で退職届を提出して受理され、15日付で神戸支店長から総務人事局付となった。
まだ知事選に向けての進退を明らかにしていない佐藤知事の県政運営について鉢村氏は「立派に、一生懸命頑張ってきた」と評価しながらも、「福島、宮城、岩手の3県で大きな復興格差が生まれている。今、手を加えないと、福島は大変なことになる」との懸念を語った。
鉢村氏は震災後、内閣官房審議官や復興庁政策参与兼統括官付審議官に出向していた当時、佐藤知事と何度もやりとりしたという。報道陣から佐藤知事が出馬しても立候補するか問われ、「不退転の決意で臨まなければいけない。決断した事実があるので、どういう環境になってもやらなければならない」と強調した。
鉢村氏は自民党色を出さず、幅広く県民の支持を得る考えも明らかにした。自民党県連幹部は、佐藤知事が出馬しない場合、鉢村氏への各党相乗りが可能とみているが、佐藤知事を支える民主党県連は、自民党県連が主導して擁立した候補の推薦に難色を示している。公明党県本部の甚野源次郎代表は「佐藤知事や自民党本部の対応を注視し、慎重に検討する」と述べるにとどめた。