- 修理前の旧本館 (奈良国立博物館提供)
奈良市の奈良国立博物館は3月4、5日、修理中の重要文化財・旧本館(なら仏像館)で、工事用の仮設足場(高さ10メートル)から屋根や外壁の装飾を間近に鑑賞できる特別見学会を開催する。完成時には景観論争も起こした明治の洋館で、湯山賢一館長は「年月をかけて古都・奈良の風情に溶け込んだ近代建築をじっくり見てほしい」と話している。
旧本館は、明治の代表的建築家・片山東熊(とうくま)の設計で、ルネサンス、バロック様式などを基調としたレンガ造り(約1500平方メートル、高さ約18メートル)。1895年に帝国奈良博物館として開館し、文豪・森鴎外も帝室博物館総長として執務した。奈良市最古の洋風建築で、第1回(1946年)~第25回(72年)の正倉院展も開かれた。新館の完成に伴い、2010年になら仏像館として刷新されたが、外壁の汚れや雨漏りが目立つようになり、昨年9月に休館し、来年3月までの予定で修理が進められている。
旧本館は奈良公園の一角に立ち、興福寺や若草山などに近い。建設当時は、奈良県議会で「洋風建築はふさわしくない」と景観論争も起こったが、1969年に明治の優れた洋風建築として重文指定された。
- 工事用の足場が組まれた旧本館。特別見学会では屋根やレリーフが間近に見られる(奈良市で)
工事用足場から装飾間近に
特別見学会は計12回を予定し、無料。1回30分で、参加者8人が工事用の仮設足場に上がり、果実や植物のレリーフ、修理中の屋根などを見学できる。申し込みは往復はがきで23日必着。計96人を募集し、定員を超えると抽選になる。問い合わせは奈良国立博物館総務課企画推進係(平日午前9時~午後5時、0742・22・4450)。
- 工事用の足場が組まれた旧本館。特別見学会では屋根やレリーフが間近に見られる(奈良市で)