大島隆明裁判長は1審の審理について、「女子生徒の画像をインターネットに投稿した行為を、起訴されていないのに処罰対象として量刑で考慮した疑いがあり、違法な訴訟手続きだ」と述べた。
池永被告は、元交際相手の女子生徒に恨みを抱いて自宅に侵入し、首をナイフで刺すなどして殺害した。
1審判決は、池永被告が犯行後、以前撮影した女子生徒の画像や動画をネット上で公開したことに言及。「社会的にも手ひどく傷つけたのは極めて卑劣」として、無期懲役の求刑に対して懲役22年を選択。弁護側が控訴していた。
この日の高裁判決は、被告の行為が名誉毀損(きそん)罪で起訴されていないことを指摘。検察側が画像の拡散状況や削除の困難さまで立証した1審の審理について、「殺人に関する立証として許される範囲を超えており、実質的に名誉毀損罪も処罰するものだ」と批判した。
その上で、適正な審理の下で改めて裁判員も参加して量刑を行うべきだと判断。高裁判決が確定した場合、差し戻し審を行う地裁は別の裁判員を選任する。
判決後、女子生徒の両親は、「重く処罰されすぎているとは考えられない。まだ裁判が続くと思うと、とてもつらい」とのコメントを出した。堺徹・東京高検次席検事は「予想外の判決に驚いている。適切に対応したい」、池永被告の弁護人は「法令に従った妥当な判決」とコメントした。
この事件後、元交際相手の画像や動画をネット上に公開する「リベンジ(復讐(ふくしゅう))ポルノ」が社会問題化。昨年11月には加害者への罰則規定を設けた「リベンジポルノ被害防止法」が成立している。