
AI開発が課題
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政府は23日、2020年までのロボット開発・普及計画となる「ロボット新戦略」を正式に決めた。
人口が減る中で、可能な限りロボットに人間の代わりをしてもらう狙いだ。ロボットの頭脳にあたる人工知能(AI)の開発強化が課題になる。
新戦略を決めた「ロボット革命実現会議」で、安倍首相は「介護や農業、中小企業まで普及する世界一のロボット活用社会を目指す」と強調した。戦略に沿って、開発に取り組む企業などに補助金を出したり、規制を緩和したりする。
ロボット普及を目指すのは重労働や単純作業などにロボットを活用し、人口減に伴う労働力不足を補うためだ。例えば、25年度に約30万人の介護職員が不足すると政府は推計する。高齢化が進む農業でも将来の人手不足が懸念されている。
新戦略は、介護分野で高齢者をベッドから抱え上げるなどの力仕事が楽になる「アシストスーツ」の開発などを明記した。これまでは、高性能でも価格が約2000万円もする介護ロボットもあった。政府は機能を絞り込んだロボットの開発を支援し、価格を10万円台まで下げることも目指す。
欧米や中国を含め、世界的にロボットを巡る競争は激しくなっている。米国では、情報技術(IT)企業のグーグルがロボット関連企業を相次いで買収した。日本は、産業用ロボット稼働台数で世界一だが、海外勢が追い上げている。
海外勢は特に、ロボットを動かすためのAIの開発を急いでいる。AIで国際標準を勝ち取れば、世界の市場の覇権を握ることができるとされるからだ。日本が先行するにはAIの開発強化が欠かせない。
ロボットを活用するための法整備も必要だ。例えば、無人飛行ロボットの安全性などを定めた明確なルールがなく、新戦略ではロボットに関係する10の法制度を見直すことも盛り込んだ。
ロボット開発に詳しい本田幸夫・大阪工業大教授は、新戦略について、「ロボットを実際に使っていく方針を示した意義は大きい。実際に使う中で製品を改善し、ビジネスにつなげていけるかがカギになる」と話す。