復職あるある…働くママの支援セミナー | 国際そのほか速

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復職あるある…働くママの支援セミナー 
  • 9月1日の復職セミナーの様子
  •   「女性の活躍」は、いまや企業を成長に導く経営戦略のひとつ。

      積極的に女性の活躍を進めて業績をアップさせる企業もある一方、子どもがいる女性の受け入れに不安を持つ経営者や上司も少なくない…、というのがまだまだ現状のよう。

      そんな中、「NPO法人子連れスタイル推進協会」では、働くママを支え、企業で活躍できるためのポイントを学べる「復職支援セミナー」を、茨城県からの受託事業として行っています。今回は、こちらの復職支援事業についてお話しします。

    茨城県と協働で、目指せ「M字カーブ」解消!

     

      女性の就業率は10代から20代後半にかけて上昇し、子育て期の30歳代前半には一時的に下降して後半に再び上昇、50歳代に減少する――。グラフにすると、まるで「M」の文字の形のように。通称「M字カーブ」。耳にしたことのある方も多くいらっしゃるかもしれません。

      茨城県では、この「M字カーブの解消につなげたい!」と、女性が育児休暇後も継続して働ける職場環境づくりを推進する「働くママの復職支援事業」を昨年から行っています。

      もともと私たちは、モーハウスのオフィスで「子連れ出勤見学会」を行っていました(「“ノイズ”~ざらっとした違和感で考える多様性」)。そんな中、茨城県の公募に応じ、私たちのNPOが「働くママ復職支援事業」を実施することになりました。

      受け入れ側の企業、そして復職する女性の両方に、“復職の心得”をレクチャーするテキストを作成したり、それをもとにした復職支援セミナーを運営したりしています。

    “大事なプレゼン直前に子どもが発熱”、どうする?!

     

      では、復職支援セミナーではどんなことをやっているのか、というと…。

      管理職の方や人事担当の方を対象に、育休後の復職者を迎えるときの心構えを、ケーススタディ形式でレクチャーしています。

      例えば、「大事なプレゼンを控えている状況で、子どもが発熱!」という設定で、あるスタッフの対応が、同僚を怒らせた。何がいけなかったのか…を皆で考えたり。

      仕事を抱え込みすぎて家庭が疎(おろそ)かになってしまう“自己犠牲タイプ”、仕事は適当に片付けて子どものためにさっさと帰る“責任放棄タイプ”。いくつかの人物像を“カン違い復職者”として用意。こんな、“復職あるある”を具体的なケーススタディにして考えていきます。

    企業側も「どこまでOKすればいいか、わからない」

     

      参加された方々の話を聞いてみると、企業が復職女性を受け入れようとするときは、「何をどこまでOKしてよいのか、厳しすぎてもよくないし、すべて許すのも…」と、その判断基準を不安に思うことが多いようです。

      見えない、わからないから怖いのであって、わかってしまえば、怖くない。ケーススタディを通して「こういう場合は、こう考えればいいんだな」というのがわかるだけで先に進める。

      実際、県のセミナーをきっかけに「自分の会社でも社員セミナーをやってほしい」と子連れスタイル推進協会の方に依頼をいただき、先日その企業で研修をしてきました。

      また、県のモデル事業としても、地元の大手銀行などで導入を予定しているとのこと。現場への浸透もじわじわと進んできています。

    ゲスト招いたシンポに100人以上参加し大好評

     

    • 10月7日のシンポジウムの様子

        セミナーに加えて行っているのが、著名な特別ゲストの方を招いた復職支援シンポジウム。

        10月には、仕事と育児の両立支援に取り組む、株式会社wiwiw社長執行役員の山極清子さんをお迎えしてシンポジウムを開催。山極さんの「育児はキャリア」「働く女性を活(い)かすことは、グローバル化の中で生き残っていく『企業戦略』」などの心強いお話に、会場も熱心に耳を傾けていました。

        当日は、企業や行政の関係者の方、子連れのママたちを含めて約100名にご参加いただいたのですが、「データをもとに現状から具体策まで、お話しいただき分かりやすかった」(総合職)、「企業事例、講師の話で女性を活かすという本当の意味が分かった」(一般職)など、役に立ったという感想を多くいただきました。

        ちなみに、会場には10人を超えるお子さんがいたのですが、2時間のシンポジウム中、泣き声はほとんど上がりませんでした。会場の後方に託児スペースを用意しており、お子さんが慣れるまではお母さんもそこにいて講演を聴けるようにしていたため、その安心感からではなかったかと感想をいただきました。講演もそうですが、「子連れスタイル」を体験する場にもなったようです。

        さて、これまではNPO×行政の取り組みをご紹介してきました。次回はNPO×企業の取り組みとして、ショッピングモールと行っている活動をご紹介したいと思います。

        (次回は12月24日掲載の予定です)