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セントの最新映画・小演劇・ミステリー

gooから移転しました。最近はクラシック鑑賞が多く、少しさぼり気味です。

 

お気に入り三宅唱の新作。今度は2つのお話。一つ目はなんだか掴みどころのないお話で、少々眠くなってしまう。(まあ、最近私は老化のせいかこの状態が多い)確か、河合優実が出ていたなあと思いつつ、瞼は重くなっていた、、。

ふと目覚めると、宿を探すシナリオライターの話。ホテルが満員で案内されたのが民宿ともいえないような昔風の古民家風宿。なんと、焚火があるような平屋の民家で、彼女はそこの宿主と同じ部屋で少し長らえることになる。男は堤真一。全然枯れていない。いわくありげの男。だから少々もわもわする。でも何も起こらない、、。

何か、つげ義春の世界みたいだなあと思っていたら、まさに終わってからそうだったことを知る。

この話がいいんだよなあ、、。白い雪と川、埋もれ雪。宿主と別れたその家族。ありそうで決してないのがつげの世界だ。人間が探すものはどこにあるか、ひとは言葉に頼っていないか、言葉がなくとも生きていけるのか、シナリオライターの女性はふと切り取られた時間空間で自分を見つめ、考え続ける、、。それは即そのまま観客に帰ってくる。

 

つげ義春の映画だと言ってもいいぐらい現代の桃源郷だ。心が荒ぶらない、安定する。まさに水墨画の世界なんだ。やはり三宅はすごい!

 

今年で25年目の一人芝居フェス。僕は毎年これを見てる。7時間ほどの鑑賞時間だが、いつもなんとか苦痛なく見ている。特に今年は秀作、力作が多く、ホント見ごたえがあり、感動した。

11作鑑賞したが、全部30分にまとめ上げてしかもこれ以上ないぐらい無駄がなく、まさに全作沸騰している感じ。すごかった。11作の通常演劇を一日で見た感じで、ホントすごくお得です。

 

「ポタリポタポタ」「停電」「Aさんの故郷、野田村を訪ねて」「4畳半に電車が走る」「屋久島の女」「シャバダバにドロップキック」「パの弁証」など、すごかった。

 

特に「停電」。最初から最後までろうそくの火程度の真っ暗闇の演技空間、単なる停電かなあと思っていたら、なんと太陽がなくなった後の宇宙の終わりをじいちゃんと青年の話で、人間の最後を語る凄すぎる脚本で、うなりました。石畑達哉さん成長したね。とてもよかった!

 

 

前に見た2作品が驚くほど秀作で、この劇団は大阪でも相当秀でたところにいると僕は思っている。そんな劇団は珍しいので、即予約。そして今日鑑賞。

今回のテーマは「生と死」、そのうちの安楽死である。古くは森鴎外の「高瀬川」でもこの問題が取り上げられている。人間にとって、特に現代人にとっては卑近なテーマである。

母親とその息子。そして再婚した義父、息子の妻との4角形のトライアングルである。こういうテーマは自分自身の問題と捉えるにはまだ我々は余裕があるが、目前で展開されている家族は苦悩・葛藤が続く。そして母は最期に笑みをたたえて死んでゆく。そのため動揺する息子。しかし彼らなりの到達点に達してこのドラマは終わる。

今回はシンプルなテーマで、最後は結局観客のそれぞれが抱え持つ残滓と向き合うことになる。重いテーマだが、不思議と明るさも感じ取る。

 

 

ホン・サンスの相変わらず私小説風の映像風景。あるカフェで遭遇する人々。それを盗み聞きして物書きする女。世の中を流れ、生きるさすらい人がそこに浮かび上がってくる。

ある時間帯を切り取った作品なのだが、盗み聞きして書いているのか、女が書いている光景が映像に具現化しているのか、観客はわからなくなる。サンスの非凡で何とも映画愛に満ちた作品です。

 

ギリシャの鬼才ランティモスの風変りで突飛な、ヘンテコな、不思議な映画です。まあ、世の中に人が多いと言えど、こんなことを考えるのは彼ぐらいではないかい、と思わせるようなけったいな映画です。

何といっても誰かの代役になるおかしなグループがいて、そのうちの女性一人がだんだんおかしくなっていくお話です。もうこれは見ていてだんだん画面から距離を離し始めていく自分を感じ取り、何回見るのをやめようと思ったが、そのうち変な欲望に突き動かされ、見てしまっている自分を発見する。このこと自体も実にけったいな現象であった。

 

まあ、自分が普通の人間でないと感じている人にはとても思い入れのある作品ではないでしょうか、、。

 

 

年2回公演をずっとやっていらっしゃる大阪の老舗演劇です。出し物は心に訴えかける世にいうハートフルものです。ずっと同じテーマなんだけど、これがいいんだなあ、、。ということで今回も常連さんが客席を占めている。私ももう20年近く通っています。

今回は題名から推察される宮沢賢治を意識した「風の又三郎」あり、「銀河鉄道の夜」ありでしっかり泣かせてくれます。俳優陣も客演が豪華でそれぞれ主役近くに設定しており、いつもとまた違った味わいを見せている。

その中、小池裕之氏は私がもう20年ほど通っていた「空晴」の人気役者で、今年確か移籍したと聞く。もう縁起達者な方で、「空晴」ではいつも同じような役柄でそれはそれでいいのだが、客演の他劇団を見ているととても素晴らしい演技で、劇団を飛び出してよかったのではと私は実は思っていた。

 

女剣劇の十代花蝶さん 、前田英利さん、小安展子さん、楠川絢子さんといい、所属俳優顔負けの演技合戦となり、舞台は極まり、いい演劇でした。

 

豪華俳優がわんさか揃うエンタメと言えるだろう。刑事二人が日本全国を旅して坂口の生きざまを追う設定がどうもあの名作「砂の器」を意識したので少々苦笑するが、まあ期待度からも十分合格でした。坂口は演技的に随分と成長したと実感。

演技と言えば父親役の音尾琢真もなんともうまい、もちろん重要役の渡辺謙もさすがの力演、柄本明はいつも同様の怪演ぶり、そして何より子供時代を演じた小野桜介がなんとも素晴らしい。この映画は演技合戦とでもいうべき見ごたえがありました。

そしてストーリーはというと、時代をさかのぼって説明していくわけだが、まあ敢えて斬新なものではない。でも2時間は長くは感じなく、まさしくエンタメの世界です。

 

ただ一点、渡辺謙が死期も近いのに敢えて坂口に殺させようとするのがちと意味不明。あの渡辺の演技からも分からずじまいだった。でも全体的にまとまっているし、映画館で十分楽しめました。

 

 

ふとこの年になってもあることから日常的に気持ちが揺らぐことが多く、この本を半世紀ぶりに読む。この本を最初手に取ったときは高校1年生の時。その時の感覚とまた違うものを感じ取り、ブログに書き留めることにする。

忘れていたことでとても大切なことがすべてこの本に散らばっている。そしてその一言一言が心にしみる。こういうこともあるのだなあ、思わず驚いてしまう。随分と私も鎧を何重にも着被っていたのだなあとこの本を読んで知ることとなる。

王子様と花(バラ)との出会い。別離は痛切な痛みを伴う。だが、真上に広がるどこか星の一つに花はいる。信じよう。

 

ものごとは心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは目に見えない。

 

 

 

いやあ、今回もすごいわ。もうこれだけ長く書いていると筆の力も落ちてくるものなのだが、ますます冴えわたっている。長岡氏、こりゃあ凄いぜ。

と、この本を前にして読んでいると、気持がしゃきっとするのだ。眠気なんて吹っ飛んでしまう。こんな書物は数少ないだろう。

 

6編の短編集。みんな警察学校で学ぶ若者たち。そして優秀だからこそ。堕ちてゆく人間たち、自然に戻って素人間になる学生もいる。全編、夢中で読んでいたら、あっという間に終わってしまった。

 

すべての作品が愛おしい。素晴らしい人間へのまなざしである。

 

 

山田裕貴のポスターを見て、彼が爆弾を製造している犯人だと思ってしまい、とても気に入り、公開を待っていました。原作はその年のミステリーベスト1だとは知っていたので、とてもワクワクしながら見る。ところが犯人役は佐藤二郎で山田は刑事役だった。う~ん、なるほど、そうか、と思いつつ、映画はどんどん異様に面白く進んでいく。

取調室と外界の爆発シーンが交互する画面が続くのだが、その間、巡査の男女が地味な捜査を続けるシーンが入り込み(これがなかなか彩りが変わって切なく愛らしくていい)、かなり広がりのある面白い映画となっている。

佐藤ががぜん一人芝居のような緊張感と重圧な演技を見せつけ、対する刑事の渡部と山田がそれを受ける演技で対峙させ、とても充実みなぎる演技合戦が見られる仕掛けだ。染谷もよく見ないと彼と分からない風貌になり切っていて、俄然頑張ってる感じ。

と、俳優・スタッフが息もできないほどの緊密な映画空間がそこにあると感じる。そして話はどんどんエスカレートし、観客も目が画面から外せない。

 

ただ、原作未読なので何とも言えないが、ミステリーとしての意外な真犯人を用意しているのでちょっと空々しい感もある。やり過ぎ感が少し漂う。とかあるけど、エンタメ作品としては一級の映画に仕上がった。今年の注目すべき秀作である。