セントの最新映画・小演劇・ミステリー

セントの最新映画・小演劇・ミステリー

gooから移転しました。最近はクラシック鑑賞が多く、少しさぼり気味です。

女の映画である。オムニバスっぽい展開だったけど、そうではなく。だんだん見事それらが一つに収束してゆく。女性の体に流れる生理の音が静かに、めくるめく、おどろおどろしく響き渡る、、。そんな作品だった。

男の僕には何かわからない部分もあったが、女性の人たちは言わずもがなの作品なのだろうと思う。ほとんどがポエムのようにセリフが流れわたり、だが妙に心地よい。それが罠なのだ。この劇の神髄に入り出す。人間は、こんな泥の水の中に生きているのだなあと分かる。抜けられなくなる。

 

終演後、アフタートークでゲストの演劇者が言っていたが、この作品は「女性のま・み・む・め・も」を謳っていると。まさに僕もそう思う。「産まない・産みたくない・産む・産めない・産もう」まさにそんなテーマでした。

 

でもほのぼのとした希望は確かに見えた。秀作です。

アイルランドのアメリカへの移民時代。まさに選択のときであり、その人たちの人生を決するときでもあった。アメリカに移住した兄弟たちが戻ってきて、成功を夢見た家族たちは船に乗りアメリカへ旅立つ。しかし、その船は歴史上名高いあの船だった、、。

力強いアイリッシュダンスからこの劇は始まる。地味で、しかし先祖代々続く農夫の生活である。若い人たちはでも飽き足らずに新天地へと向かうことになる。そんな市井の貧しい生活とアメリカ帰りの垢ぬけた人たちの対比が綿密に描かれる。

 

人生って、そういうことなのだろう、毎日を生きるしかないのだ。でもひょっとして違う生き方もできるのかもしれない。人間はふと考える。しかし、彼らを待っていたのは人生の終焉ともいえるむごい事故だった。

 

ふと、黒木和雄監督の「TOMORROW 明日」を思い浮かべる。普通に日常を過ごしてきた家族が一発の原爆で消滅してしまうまでの日常を描いた作品である。けなげに市井の人達は人生を生きる。けれど、なぜ不幸は人々に襲いかかるのか?

 

余韻が残る作品である。秀作!

お気に入り劇団。なんと45周年。すごいわ。終演後、劇団員との対話が面白かったが、入団後3年、8年、10年、20年、30年、、、と幅があり、妖しく輝く鈴女さんは45年でした。

さて劇の方は、いつもとはちと違う展開、結構むずいのだ。内藤の脳裏の中身をそのまま舞台化したかのような不思議な空間がそこにありました。掘りごたつをうまく使って、自由自在に空間化する。才能ですなあ。面白かった。

「ノアの箱舟」が出てきたと思ったら、阿部公房の「砂の女」ありで、とにかく自由に内藤の思考が爆発する。いままでの作品群(特に最近)とは一線を画したかのような驚くべき変貌です。内調の決意がみなぎっている。でもちょっとむずく、ついていけない感もあり。

 

俳優陣が14人ほど相変わらず多数で、それぞれが達者。いい劇団である。これからもオリジナルだけを目指してやっていくという。拍手!

 

このシリーズ全部見てきたが、またも想像以上に魅せられる。CGばっかりの映画散乱の中、映画ファンの愉しみを最大のターゲットにしたトム君の映画造りは今回もホントすごかった。

途中終盤の海中撮影が今回の目玉かなと思いきや(なぜかキューブリックの「2001年 宇宙の旅」を思い起こす映像群にはびっくり)、ラストに果たして待っていたのはなんとまあものすごい飛行中どうしの格闘シーン。これがやりたかったんだなあと一瞬思うが、それでもドキドキハラハラいやはや画面に入り込んでしまいました。トム君すごい、あっぱれ。なんと気づいたら、涙が出て止まらない。アクション映画でこんな風体はひょっとして初めてかも。

 

いやあ、映画ってものの楽しませ方をとことん追求したトム君の作品にはもう乾杯するしかないやろ。女優さんはみんないいが、僕はパリス役のポム・クレメンティエフがたまらなく好き!

いやあ、こんなガキっぽい映画評でごめんなさい。それほど浮かれてます。

文芸映画で、中原中也の詩編は少なかったけれど、まあ日常的なセリフで中原と小林の文学性を増補する脚本は優れています。前半の中也と泰子の出会い、同棲生活、そして小林と巡り合い、出て行くまでがとても秀逸でした。二人の愛の葛藤がなかなかいい。

でも小林と同居してからの不思議な三角関係がどうも世間市井によくある普通の、男と女のよくある愛欲関係に思え、それほど新鮮なものは感じませんでした。こういう男女の極限状態で中也の詩が極められていたとは描かれていず、この段階で中也は普通の男に成り下がっていると思う。私にとっては特に見るべきものはない。

 

俳優陣では、 木戸大聖は中也に風貌が似ているものの、やはり内面的演技が物足りない。         言葉で発する詩編の心情が出ていない。広瀬は正攻法的な明瞭美女なので、立派過ぎてはいないだろうか、濡れた感じの情念が足りないかなと思った。漁夫の利で得をしているのが、いつもよりまともに演技付けをしていた岡田。好き心あるあの文人の小林をさらりと演技していた。

 

ということで、中也ファンとしては、期待していた分だけに少々辛い評価になりました。

 

好みの映画作家、ジャ・ジャンクーの最新作。またしても女優はタン・ヤンだが、今回はなんと主役の配置なのだが、ノーセリフだ。言語障害の役柄でもなく、ただセリフを発しないのだ。随分と筋書そのものはジャンク―にとってはステレオタイプで、「男と女の別れとくっつきあい」が延々と続く、、。

新味の部分は、20年間の彼らの中国の世相とともに移り行く心情を細かく描いており、それがなんと、実写なのである。20年間のフィルムを編集したようだ。

だから我々観客は20年前の二人の若い時の風貌と現代の少々老成した中年の様相を目の当たりに見ることになる。これはものすごく辛辣で、ある意味怖い。特に男は20年でかなり容貌が変わっているので、別人のようでもある。

 

そして変わりゆく中国国家の様相とある二人の男と女をリンクさせており、これは今までもジャンク作品の定番であったように思う。20年ぶりに邂逅した男と女。男は路頭に迷っている。女は、男によたれようとするが、ふと群衆のマラソンに入り込んでしまい、まるで男を振り切ったように走り始める。

 

今のジャンク―の想いをドキュメンタリー風で見せた作品である。まだまだ彼の彷徨は続きそうである。この作品は過渡期の作品であろう。

 

お気に入り、逸木裕私立探偵みどりシリーズ。今回はみどりと17歳のクライアントとを交互に描いて、秀逸。昔の誘拐事件を掘り下げるといった展開だが、二人の心境が凄く細やかに描かれていて、ミステリー小説というより、通常の小説を読んでる感がした。

それだけ逸木裕の文章は読みごたえがあるということなのだが、実に楽しく、もったいなくページをめくっている。こんな機会はそうそうないので、いいミステリーだと思う。

みどりの探偵偏傾ぶりはもとより、このシリーズは弱者に対する作者の想いがきっちりと描かれており、それがこの小説のベースとなり、ふくらみを持たせている。

たまたま時間つぶしで見た作品ですが、これが意外と面白い。俳優陣も金をかけ、豪華である。その分、そういう分け与えられた仕事を俳優たちがきちんと仕事をこなし、私にとっては儲けものの映画となった感もあります(伊藤英明、伊藤健太郎はかなりいい出来)。ましてや、片割れ主役の大森はなんと自然体のまま、結構いい演技で驚く。

原作がそもそも面白いだろうか、4つの挿話がすべてどんでん返しもあり、ミステリーの王道を行く感あり。私はもう2時間弱とても楽しんだ。映画って、見てみないとわからないものだね。

ただ、真打のはずのラストの解決編がどうも煮え切らない。4遍が秀逸だっただけに、いかにも感が漂う。これは原作がそうなっているのかどうか、定かではないが、少々残念至極。

 

とはいえ、思いがけない感が全編を覆い、決して、今流行りのアイドル映画ではないと思う。それは俳優陣の意気込みがこちらに伝わってくることからでも明らかだ。

 

観客席に目を向ければ、久々に、ヤングたち、特にカップルに囲まれて、けれど大いにその場の雰囲気になじめたのもよかったと思う。

 

 

 

 

 

 

お気に入り劇団です。もうかれこれ10年以上、見させていただいてる。この劇団は、ホント、自分自身のことより、観客のことを想っていらっしる。それが、舞台に出ています。今日も満席だったが、そんなハートフルなストーリーで、結局最後は泣いてしまう。

この話、何か前にも見た感があるなあと思ったら、実は初演の作品らしく、劇の主催者たる旦那さんがこの初演直前に亡くなられて、特に思い入れのある作品だそうである。なるほど徳田さんらしいなあと思う。そういえば、最後、舞台挨拶の際も、いつもより気持ちが高ぶっていらっしゃたったような気がする。この45年の時間、瞼の奥にはいろんな走馬灯がよぎっていたのだろう、、。

 

舞台は、若くして息子に死なれた家族の物語である。阪神タイガーズファンを前面に出した劇なので、巨人ファンには少々気の毒な気もするが、それでも、ラストの家族たちの逆転満塁ホームランには泣けた。満席の観客、一段となってその思いは募る。

 

ずっと観客とともに成長し続けた劇団、また秋には逢いましょう。

 

 

久々の有栖川。読み始めて、なかなか少し前の推理小説を感じる雰囲気。いいと思う。

でも、文章が饒舌なのと現実との違和感、が気になりだし、ページ数は多いもののあっという間に事件は解決するくだり、なんとも安直の気もしないではない。読ませる部分がミステリーと言えど、少ないように思えるのだ。

犯人も、本格ものでは、読者にすべてのデータを預けるが、それもなしに、あれよあれよという間に真犯人登場。

 

次作に期待。