セントの最新映画・小演劇・ミステリー

ピッコロの演劇、なんと言っても練習十分のプロ集団の集まりで、セリフのトチリなんかは考えられないほど、端役まで重圧な演技を要求していること。これが、あの、いつも素晴らしい演劇を見いだしていると思う。
今回はふとした事故で夫を亡くした女性。その原因となった5歳だった少年が、20年ほどたって、出逢う。事故で新駅建設かわ遅れていたのが、やっと軌道に乗りそうな地域の雰囲気。それぞれの思いが交錯する、、。登場人物が多いが、それぞれ性格づけしているので、見応えがある。重層な群像劇が出現した。

西洋人なら身近な神話なんだろう。7,8の挿話がちゃんと見事再現されていてこれはお子様にも向くエンタメ映画になっております。一つ目巨人キュクロプス、魔女キルケ、おなじみセイレーンなどは日本人にも親しい、中でもトロイの木馬なんかがバーンと出現し、これはこれはとてつもなく巨大お伽話のようでございます。3時間、体調をしっかり整えて観劇したから、見逃すところもなく、それなりに楽しめました。
なんたって、もう見る前からノートン作品だということで、ワクワク状態。自分自身、手をつけられないほど期待しておりました。「ダークナイト」でものすごい衝撃を受け、これは「カラマーゾフの兄弟」に匹敵するわいと思ったり、「インセプション」ではさらに映画の深みを感じるところとなり、BDを何回見たことか。
そんなノートン、でも最近は前作「オッペンハイマー」でもそれほど僕の軟弱な脳裏を刺激してくれず、本作は期待した分、評価も水準は出ているという程度のものでした。でも皆さん、とても評価高いですよね。もう僕は随分と、映画魂まで溶けてしまったのでしょう、、。
俳優陣はそれぞれ見どころあり。でも、ノートン、このフィルム映画の手触り感触、ちょっと驚きました。彼のこだわりなんでしょうが、僕は普通にデジタル映像でガッツリ鑑賞したかったですネ。館内は平日だが、意外と閑散。

江戸川乱歩賞ものでもかなり出来はいい作品です。本格ミステリーではないが、実に人間がよく描かれている。無理がなく、ホント生きている脈々と血の通った小説である。小説とはこうでなきゃ、といったお手本のような作品である。松本清張賞とのダブル受賞というのも読んでみればわかる。いい作品である。
公安物で、当時の全共闘闘争にかなり触れているところが新鮮である。もうこういうようにきちんと書くことが出来るんだね。時代が過ぎてゆくなあ、、。
ラストにかけてのノリノリ経過も面白く、そして正真正銘主人公の夫婦愛を強くエンディングに書き込み感動したなあ、、。これこそミステリ-でよくあるどんでん返しではないだろうか。秀作です。

ミステリー仕立てかなあと思っていたら、実は全くそうではなく、人間が生きてゆく糧となる家族とは何か、をじっくり掘り下げた作品です。ただ、主役陣は探偵たち。何か、少し違和感のあるのも事実。でもその設定をしなければ西島秀俊、満島ひかりお二方の少々過剰演技が自然に見えてこないので、そこは許そう。このお二方の大袈裟な演技が見ものなんですよ。そのうち、宮藤官九郎がものすごい演技をしてくる。この映画は、こういうところも見所です。
さて、テーマは生まれて身障を持ってしまった子供を家族はどうとらえるか、です。僕なんか、何を言ってるの?普通の子と同じように育てるしかないじゃん?と思ってしまうが、映画の家族たちはとても悩み、ものすごいことを考えています。ちょっとこの肝心な部分が、ある意味、僕にはついて行けなかったけど、これは当事者でないとわからないものなのかもしれません、、。
でも、この映画、お意外といい終わりを用意してあり、観客は救われます。
それにしても、俳優陣の豪華なこと。中でも超久々の片岡鶴太郎の出演はさすがの演技で、うれしかったです。佐藤二郎は説明不足気味の役で、少し本領発揮出来得てないい感あり。役所広司は友情出演並みの役でした。他にも、重要な役の黒木華、柴咲コウはやはりトンデモうまい。

8月は暑い。暑い時は戦争が話題になる。本作は特攻基地にタイムスリップしてしまう何ともエンタメを基本に、世界に類を見ないと言われる「特攻」について正面から向き合わざるうを得ない演劇です。
私たちは終戦時期を知っている。まさに8・15直前に彼らは沖縄に旅立っている。主人公の二人が8・15に旅立っていくのはやはり涙なくしては見られない。現代も知りつつ彼らが特攻を志願したものは何だったのか、、。
大切な人を守るために志願した彼ら、、。自分より大事なものと言えば、家族・恋人たちいろいろあるが、でもその行為はすなわち愛である。誰かのために自分が犠牲になることをいとわない行為、それは愛であると思う。現代人が一番忘れているものではないのか、、。そんなことを猛暑にめまいがしそうな帰り道に考える。

またまたザベストミステリー2009版です。この年は秀作ぞろい。もう目がにんやりしました。
法月倫太郎「しらみつぶしの時計」、伊坂幸太郎「検問」、門井慶喜『パラドックス実践』。道尾秀介「獣(ケモノ)」は際立って傑出している。他に乾ルカ「モドル」、そしてラストを飾るにふさわしい連城三紀彦「夜の自画像」、、、もうみんなすごかったです。
長編ものと違い、ある意味、短編は練られている。精密。完成度が高いと思う。

2時間半の長尺だが、内容は!なかなかシリアス、重厚、しかも当時の人生観を否が応でも考えてしまう超マトモ映画なんだけど、エンタメのように見てしまう面白さがあります。今現代人だからこそ何故あんな戦争を起こしてしまったんだろう、という一つの疑問は永遠に人間として問われるところであります。この一点だけをこの映画はリアルに追求してゆく。
このテーマは戦争というものへの希求的な命題であり、かなり本も読み、それなりに思考してきた僕にとってすこぶる興味深いものであった。思ったより、研究所の面々、何より政府の執行者を甘く描かれる部分は少々気になったが(佐藤隆太など。当時の状況はもっと過酷であったはずで、甘い)まあ、でも許そう。
最近わかってきたところだが、戦争を始める原因、終わらせることのできない原因は軍部が情操したとはいえ、国民にも大いに責任があるということだ。それはよく出ていた。
それをこの映画では「空気」というように表現しているが、まあ、そういうものであろう。そして、本当かどうかはわからないが、東條英機の懊悩は新鮮で驚いた。この役誰なのかなあと思っていた。すこぶる内面的演技がうまく、でも誰も連想されなかった。エンドクレジットで佐藤浩市だと知る。うん、スゴイ。また、天皇の気持もちゃんと描いているところが偉い。
テレビドラマの編集作品らしいが、これほど演出、映像、キャスティングが素晴らしいと全くそれは気にならない。映画としても超一流で今年の拾い物です。
いやあ、いい時間でした。

ソウルの街並みを歩く二人、車の中での通常の会話、時間軸の移動など、多少新しい映像を撮ってはいるが、本当の心に思っていることを言葉に出しているわけではない、、。
ま、これも人生、それも人生なんだと会話に意味を持たせて聞いている観客たるわれらは、さりげない人生のひと時をこの映画と共に過ぎ行くことになる。
撮影風景は、特に冒頭からの長丁場は、ソウルの街中、映画撮影だと知らない市井の人の群れの中に、俳優が紛れ込んでいることが面白かった。こういう撮りかたもあるのだなあ、と、、。日本ではこうはいかないだろう。

死期を告げる死神の鳥とそれを受け入れる娘、そしてそれに抗う母親の話です。
いやあ、独特な撮り方で誰にでも来る死というものをなんだか身近なものにしてくれる。とても興味深い映画でした。
映像で教えてくれる人生の最後ですね。どんな難しい哲学書・思想書・宗教書より素晴らしい描き方だと思った。娘の心の空虚、それが少しづつ暖かく湿ってゆく様が素晴らしく哀しい。秀作。

結構アメコミ映画、好きなんだよね。このシリーズ全部見ている。でも見たらすぐ忘れるので、通常のファンとは大違いです。今回、アメコミものにしては珍しく、スパイダーマンの繊細な心情を描くことが大きなテーマのようで、どきどきはらはらゆったりとこの映画に入り込むことが出来た。
もちろん、蜘蛛の糸を武器に動き回るアクションはたまらなくかっこよく、スケールも大きいので、「見て損」感は全くない。むしろお得な映画だと言える。2時間半、まったく退屈なことなく、あっという間に映画は終わります。
ラストシーン、ピーターとネッドとのあの二人の仕草は涙で前が見えなくなった、、。

