昨年のミステリーベスト1をすべて独占したといいういわくつきの期待作です。著者は以前から短編では秀作が多く、とても人間の陰影が書ける作家だと私も認識しておりました。
あっという間の一気読みでとても読みやすい文章、魅力的な登場人物、そして会話のあちこちにエスプリ溢れる面白さ。さすがです。
ただ、私、最近加齢気味で、登場人物を覚えるのにとても四苦八苦するありさまで、この物語も、何回も後戻りしてやっと読み終えたぐらいでした。これがなけりゃあ、もっと面白かったかもしれません、、。
そして一点言わせていただければ、このミステリーの根本中枢であるところのの、〇〇変わりは、ちょっと無理なんではないでしょうか? そのあたりはミステリー界では問題にならなかったのでしょうか、、?
そこだけがずっと気になった次第です。
題名から推察されるテーマにぐっと惹かれる。見ていくとどんどん現代の偏見と差別の現実がクローズアップされる。人間って、生きてゆくうえで、自分が生きてゆくがために、いろんな壁を作ってきたんだなあというのがわかってくる。
でも、この映画では主人公は差別される側の人間であり、だからこそ人の気持ちが否が応でもわかってくる。再仕入れ屋という特殊な仕事に我々が気付かなかった人間としての営みの原点があった、、。
映画では自分はもとより、いろんな事件をスポットすることで、現代に生きてもがく市井の人にやさしいまなざしを送っている。自然と暖かい涙が沸いて来るいい映画だ。この映画を見てよかったと思う。
俳優陣も意外と豪華で、しかもみんな力演で、この作品を充実させている。
素晴らしい映画でした。
話題となった映画で気になっていた。2時間強、とても見やすく、面白く、ある意味エンタメ的かなとも思った。この話を寓話と取るべきか、さらなる人間への探求・追求と考えるべきか、いろいろ思いはあるけれど、まあそれ程深読みする映画ではないとする。
でも、この映画を見ていて、勅使河原宏の「他人の顔」を思い起こしたが、男から女に変貌して、妻が気付かないはずはないだろうと思うんだがねえ、、。それも同居するんだから、やはりこれは???が舞ってしまいます。エミリアが堂々とテレビ出演してたり、やはりヘントコではあります。メキシコって、そんなにおおらかな国情とも思えませんが、、。
でも、急にミュージカルになったり、結構楽しく、全編だれるところはなく、ホント面白かったです。でも、各映画賞総なめというほどの映画ではないと思いました。
最近の映画監督では常に秀作を呈している荒井作品。とても楽しみにしていた。ワクワクしていた。そしていよよ上映が始まった、、。
いままでの作品とはちと違うなあ。吉行淳之介の創作過程を映像化した作品なので、吉行に捉われ過ぎているかなとも思う。例えば、画面にまさに小説の文章が一時づつ読み上げられ印字される。結構時間的にも多い。観客は本を読んでいるように画面から文字を読む努力を迫られる。
登場人物のセリフが昭和初期のようで(まさに小津調ごとく)、当時(1969年)の日常会話風でないこと。まさに小説の文面をそのまま画面に移した感がするが、どうも、もわもわする(決して嫌いではないが、、)。
要するに荒井作品というより吉行作品なのだ。吉行の女性偏向志向がそのまま映像化されているので、彼の独特な女性偏向があまり好きでない人は少し置いてけぼりを食うことになる。
女優もさすが田中麗奈はいいものを出している。久々に見るが、芯のある演技だ。対して、重要役柄の咲耶が(僕的には)それほど魅力的には見えないので、ただ画面を追っている自分に気づく、、。
1969年から僕たちが何を見るべきなのか、実際のところ分かりませんでした。とまあ、今年しょっぱなに見た作品としては凡作と見たが、どうなんでしょうね、、。
次作期待します。
ちょっと前の日本のどこにでもあるような理髪店の風景。あの店頭のサイインボールの渦巻がこの店にもある。日本と一緒だ。ひょっとして、植民地時代の名残かもしれない。
子どもは3人いるがみんなあまり親孝行ではない。まあ、母親が元気だから、そんなものと言えばそうかもしれない。娘と別れた元夫が近くにおり、とてもいい人過ぎて、娘はそのがために別れてしまう。そこに現代の根源を見る思いがする。
特に事件というのも起こらないが、馴染み客の歯医者の家へはるばる出張に行くときに場面は古臭い理髪店から車でカメラは動く。
台湾の田園風景。ここも日本とよく似ている。ちょっと前の日本もみんなこういうものだった。いわば、我々日本人はこの映画を見て、昭和から遠ざかる日々に生きて、なんだかノスタルジーを感じているようになっている。
その歯医者の家に着いたとたん、当人は亡くなっていて、彼女は最後の理髪をしてあげる。自然と涙が込み上げる。散髪までじっと理髪人を親族が待ち受けていた部屋。その親を思う家族の気持ちがどっと観客に押し寄せる。気づくと涙がほほを伝っている、、。
母親はどうにか家に帰る。3人の息子たちはそれでも普通に母親を心配していて、帰りを待っていた。後日、あの気になる娘の元夫は母親の理髪店に来て、再婚するのでしばらく来れなくなるかもしれないと告げる。寂しくなる自分の気持より、相手の幸せを気遣う普通の母親の表情がそこにある。
なぜか、この二人、小津の「東京物語」の笠智衆と亡き息子の妻・原節子の関係を彷彿させる。かつて日本もこういう時代があった。でもそれもそのうち時間が時代を風化させていくのだろう、と思う。
心に沁みるいい映画でした。









