昨日、先月飯田でレコーディングした3曲のミックス音源が届きました。届いてから何度聴いただろう。気持ち良く歌っている自分が嬉しくて嬉しくて。今までは音源制作する度に、確認とは言えど自分の音源を聴くのには若干抵抗がありまして…(笑)だって、レコーディングの時は気持ちよく歌えた!と思っても、日にちを空けてフラットな状態で聴くと、やけに細かい所が気になったり、テンション低っ⤵︎って感じたり…(-_-)下手くそーって思い知らされるのが怖くてたまらなかった。

弾き語りを始めたのは19歳の頃。当初、レコーディングが大の苦手でした。それには様々な理由があるのだけれど。

音源という形にする以上、ある程度のクオリティに仕上げなければいけないというのは十分承知している。譲れない部分はたくさんあるのに、それを押し通せない自分が不甲斐なかった。作業を進めていく上で、中でも特に気に入らなかったのが、歌のピッチ修正。フラットしたりシャープした自分の声がパソコン上で修正されていく度、なんだか周りにも自分にも嘘をついているような、とても後ろめたい気持ちになった。綺麗に修正された歌声には、魂も何も宿っていない気がした。


そして何よりも一番許せなかったのは…
【ピッチ修正をしなくてもいい実力を、自分が持ち合わせていない】
という、事実だった。


ソロ活動し始めて間も無く大きな壁にぶち当たった私は、必死で技術を磨こうとした。もっと上手くならなきゃ。もっと、もっと…!とにかくたくさんの場数を踏んで、経験を積み重ねて、常に試行錯誤しながら手探りでやってきた。

そもそも歌録りというのは、一曲丸々通して歌っていいテイクを選んだり、前半と後半に分けて録ったり、細切れに録ったり、人によって様々なやり方があると思うんだけど、声の艶や、集中力、体力の消耗を考慮すると、経験上いいテイクが録れるのはせいぜい3~5回。変な話、じゃあ声出しのつもりで軽く歌ってみようか~と録った一発目のテイクが採用される事もある。その後はやればやるほど頭で考えてしまったり、上手く歌おうとしたりして、どんどん疲れてつまらなくなっていく。自分の実力はこんなもんじゃない!と何度も録り直す度に、自分がどんどん嫌いになっていく。昔の自分に後ろから肩を叩いて、それが今のお前の実力だ、と一言言ってやりたい(笑)改めてレコーディングというのは、いい意味でも悪い意味でも自分自信と向き合える、大きな鏡だと思う。だからこそ、レコーディングを機に辞めてしまったりするバンドやアーティストの気持ちが、痛いほどよく分かる。その代わり全てを乗り越えた後は、何とも言えない充実感と、新たな目標に立ち向かえる楽しみが増える。これだからやめられないのです(笑)

今回の音源は、とても生々しい歌が録れました。感情が爆発して、綺麗で汚い広い世界を自由に泳ぎ回っているような。流れを大切にするために、敢えてそのままにしてある部分もたくさんある。カッコ悪くたっていい。潔く、いい部分もダメな部分もそのまま残して、等身大の自分をさらけ出す。私がソロ活動を再開してやりたかったのは、正にこれでした。そして、このやり方を私の体に叩き込んで教えてくれたのは、紛れもなくsignaloseです。そして、今回感情ごとパッケージしてくれたエンジニアのTak Miyazawaさんと丹羽ちゃんには、床に頭を擦り付けたいぐらい(笑)本当に本当に感謝しています。

今週末はジャケット撮影、来週はマスタリングで、いよいよ完成間近です。

麻友