棚倉ステークス カントリークラブ | ゴルフ場探訪記 in 福島

ゴルフ場探訪記 in 福島

震災と原発事故で大きな打撃を受けた福島県のゴルフ場、様々な歩みを体験リポートする。

棚倉ステークス カントリークラブ

2014年3月31日

棚倉ステークスカントリークラブに挑戦した。1週間前に挑んだサラブレッドカントリークラブの姉妹コースである。福島県の南部、棚倉町にある自然溢れるゴルフ場である。

ゴルフ場のスタッフによると「コースレイアウトは戦略性に富んでいて、ゴルフの楽しさと難しさを実感できる」という。難しさだけに終始しないよう心を引き締めてティーグランドに向かう。

ベント1グリーンの丘陵コースだ。

高低差はあまり感じないが、ドッグレッグのホールが多い。ドッグレッグの角にはバンカーやハザードが口をあけて待ち構えている。ショートカットを狙うと捕まる。大きくうねるようなコースの中を、いかにポイントを絞って攻めていくかがカギだ。

この日は青空こそ広がるが、強風が吹き荒れている。風に体が揺れる。風の音が体中を包み込んでいくような天気だ。こんな時には、低いボールを打とう、ノックダウンショットが良い、頭の中で理解はしているが、実際にコースに立つとセオリー通りにいかないのがゴルフだ。

風が弱くなる瞬間を見計らって打とうとすると、タイミングがずれる。思い描いているイメージがどんどん風によって吹き飛ばされていくようだ。

巨匠は熟練の業師であるが、距離感が微妙に狂う。それが次のショットにも伝染していく。それに巨匠は初めてのコースに弱い。得意のはずのパットにも乱れがでた。ゴルフは気持ちの切り替えのスポーツだという。ミスを断ち切ることがいかに大事か。風という自然を相手に改めて思い知らされた。


ステークス・巨匠

名人は暴れないゴルフが持ち味、強風の中ではプラスに働く。しかし、風の意識が強くなればなるほどちょっとしたずれが大崩れにつながる。ここでも気持ちの切り替えのスポーツの現実を思い知らされた。



ステークス・名人

バンカーには馬蹄形の形をしたものが5つもある。ゴルフ場の名前がステークス、競走馬になぞらえたものだろう。天馬の足跡という人もいる。


ステークス・馬蹄

印象に残るのが最終の18番。谷越えのショートホールだ。目の前に巨大が谷が口を開けている。グリーのサイドにはバンカーが配置されている。左右のぶれも、前後のミスも許さない光景だ。

それだけに攻略すれば満足感が大きい。

クラブハウスから眺めるとティーグラウンドの前に馬がかけている。経営しているのが西山興業グループ。競走馬のオーナーとしても著名である。そんなところから競走馬にちなんだ仕掛けがあるのだろう


ステークス・馬の図

。ゴルフ場の名前自体がステークスである。クラブハウスも厩舎をデザインしたものだという。

開場は1994年(平成6年)。ハウス内に競争馬に関する展示もあった。



ステークス・クラブハウス

しかし、ゴルフ場のフェアウエーやグリーン周りに土が盛り上がった場所があちこちにあった。フェアウエーにはシートで覆われた場所もあった。


ステークス・イノシシ

犯人はイノシシである。

イノシシが土の中の餌を求めて、フェアウエーの土を掘り起こしている。サラブレッドカントリークラブと同様、ゴルフ場側は頭を痛めていた。修復作業のま只中だった。

原発事故で住処を追われたイノシシが出没するようになったのは昨年からだ。イノシシも生きるために必死だったに違いない。原発事故で住処を追われたイノシシがゴルフ場を荒らす結果となっている。原発事故の影響が動物の行動に大きな影響を与えている。

原発事故が奪ったものの大きさを思わざる得ない。