予告通り月曜に発表されたルール改正案。ツイッターで細切れに要点を流しましたが、こちらの方にも、ほぼ対訳でちょい詳し目に、個人的に興味を引かれた項目をまとめておきます。ツイッターの方では提案に至った「理由」まではご紹介できなかったのですが、これが結構面白い!6月セビリアで開かれる総会の採決結果がどうあれ、これらを読み込んでみるとスケート関係者の思惑に触れることができるし、それは意外とファンの考えに近かったり、逆に「ありえない!」と言いたくなるようなものだったりします。
公表された文書 のP83からがフィギュア関連です。参照用にこちら が現行ルール。
A. SPECIAL REGULATIONS SINGLE & PAIR SKATING and ICE DANCE
提案第194号 オランダ(ルール353)
以下をパラグラフ1として挿入し、既存パラグラフの番号を付け替える。
1. ジャッジングの原則
a. ジャッジはGOEとPCSを採点する。
b. 全ISU競技会および(ユース)冬季五輪においてジャッジパネルを以下のように分割する
i.5名(JrおよびSrのGP)から7名(ISUチャンピオンシップおよび(ユース)冬季五輪)のジャッジはGOEのみを採点する。
ii. 5名(JrおよびSrのGP)から7名(ISUチャンピオンシップおよび(ユース)冬季五輪)のジャッジはPCSのみを採点する。
iii. Jr.GPでジャッジのエントリー数が1カテゴリー(例:アイスダンス)につき10名より少ない場合は、上記よりも少ない人数で是とするが、GOE、PCS共に3名を下回ってはならない。
iv. PCSとGOEそれぞれへのジャッジの振り分けは、各セグメント開始の45分前に行う。
v. 1人のジャッジが両セグメントを担当する。
理由)当スポーツがより複雑化するにつれ、ジャッジングに対する要求も増大している。改正GOE11段階を正確に評価するためにはさらなる精度がジャッジに要求される。それに加えて20以上あるPCSのクリテリアを評価するのは1人のジャッジにとっては過大な負担となる。PCSを別個のジャッジパネルが評価すれば、ジャッジ、選手双方にとってフェアとなるだろう。
また、ISUチャンピオンシップで8名のジャッジが1セグメントのみ、5名のジャッジが両セグメントを担当する現行方式よりも、1人のジャッジが両セグメントを担当する方がより効率的でもある。
費用面の影響:当提案に基づくISUチャンピオンシップにおけるパネル毎の必要追加人数は1名、コスト総額は約1万5000スイスフラン(約165万円)。
訳注:カテゴリーとしているのはアイスダンス、シングル、ペアなど競技分野のことで原文ではdiscipline。セグメントというのはシングルならSPとFSというように各部門のことです。
提案第197号 カナダ(ルール353)
パラグラフ1、h、ivを以下のように改定する。
iv.シングルのSPおよびFSで(中略)… プログラムの難度の均一な配分を評価するため、プログラム後半に実施された全ジャンプの基礎点(GOEは該当しない)に与える1.1倍係数を最大SPで2本、FSで4本とする。
理由:当ルールは難度の均一な配分を目的としており、当改定により均一な配分が保証されバランスの取れたプログラムに評価を与えることができる。
提案第198号 日本(ルール353)
パラグラフ1、h、ivを以下のように改定する。
iv.(略)ただし、SPでは最後の一本およびFSでは最後の3本のジャンプ要素のみ1.1倍が適用される。
理由:ウェルバランスをinvestigate(?)するため。
提案第199号 日本(ルール353)
パラグラフ1、h、v 新
新パラグラフを追加。
「v.シングルFSのプログラム中6種類のクリーンなトリプルおよび/またはクワドジャンプの実施に成功した選手にボーナスポイントを与える。」
理由:プログラム中6種ジャンプを跳び、より幅広い多様性を見せた選手を評価しなくてはならない。
提案第201号 オランダ(ルール353)
パラグラフ1、m)男子の係数について以下のように改定する。
男子:SP:1.2、FS:2.4
理由:男子カテゴリーでGOEとPCSのスコアに不均衡が生まれている。TESスコアが、SPで50点、FSで100点を超えるケースが増える一方、PCSは現行でそれぞれ50点と100点が天井である。PCSのバリューを20%増すことにより、男子カテゴリーにおけるテクニカルとアーティスティックのバランスを回復できる。
提案第203号 オランダ(ルール353)
パラグラフ1、n)違反表内の「転倒」に関する欄を全削除する。
理由:
1.転倒は要素実行時のエラーによるものがほとんどであり、すでにジャッジによりGOEで減点されている。
2.要素実行に関連した、あるいは要素実施外における全ての転倒および要素実行時の重大なエラーは、PCSに一定の影響をもたらす。したがって我々は、転倒あるいは重大なエラーについてはすべてジャッジによりPCSが強制的に減点されねばならないと確信する。
3.転倒に対する絶対的数値(1点、2点など)による減点は、例えばジュニア女子の場合とシニア男子の場合では、与えるインパクトが同等ではない。
4.テクニカルパネルの義務から転倒への減点が無くなるため、要望対象であるレビュー時間の削減に寄与できる。
提案第233号 フィンランド(ルール430)
General、f)/920 General f)
最終項目として新トピックを追加
・オフィシャルは、ジャッジあるいはテクニカルパネルの席上にISUコミュニケーションに明記された以外のいかなる文書も持ち込んではならない。
理由:現行ルールではジャッジ席に持ち込み可能な文書に関しいかなる記述もない。2008年のISUコミュニケーションNo.1540で制限について発表され、その後の総会において引き続き有効と認められているが、同制限はTPには適用されないため、理論上TPは過去のリザルトなど持ち込めるようになっている。当提案の文言は、任務に当たる全オフィシャルが決められた文書の持ち込みしか許可されないことを、ルールレベルで明確化する。許可文書の詳細はコミュニケーションで発表し、随時更新可能とする。この手続きによりジャッジング/コールの透明性がさらに向上し両パネルを同等に扱うことになる(後略)。
提案第234号 オランダ(ルール430)
「2.ジャッジの義務」に以下を2点目として追加。
−転倒、重大なエラー、スケーターによる中断につきPCSで必要な減点を行う。
−PCSはその個別のクリテリアにしたがって評価する。
理由:プログラム中の転倒、重大なエラー、およびスケーター由来の中断があった時のPCSが高すぎる事象が観察される。ジャッジはこれについてより具体的なガイドラインを求めており、我々は技術委員会に対し、ISUコミュニケーションを通じた詳細なガイドラインの公表を求める。2つ目は単に現行ルールで見落とされている点。
提案第236号 ノルウェー(ルール430)
改定:
パネル席にいかなる形の電子通信機器(携帯電話、タブレット、スマートウォッチなど)を持ち込んではならない。
理由:現行ルールを明瞭化する。
追加:
ISUオフィシャルはISUチャンピオンシップ、五輪、シニアGPのチームリーダーになってはならない。
理由:ISUイベントのオフィシャルは常時中立でバイアスがかかっていないことが求められる。オフィシャルが主要大会のチームリーダーを務めることは自国の選手に近すぎるという印象を与える。
提案第237号 ノルウェー(ルール430)
追加:
オフィシャルは、ISUイベントの結果に関する具体的なコメントや選手の写真/ビデオをソーシャルメディアに投稿してはならない。
理由:
ISUイベントのオフィシャルは常時中立でバイアスがかかっていないことが求められる。多くのオフィシャルのソーシャルメディア上のアクティビティからは、これが必ずしも守られていない印象を受ける。採点や選手についての意見や、選手とオフィシャルが一緒に写った写真などが投稿されている。ソーシャルメディアで自分の応援する選手をオープンに表明するオフィシャルもいる。フェイスブックのプロフィール写真に現役選手を載せているISUオフィシャルもいるのだ!これはオフィシャルの義務とは相容れないものであり、このルールはその点を明瞭化する
訳注)オフィシャル(役員)って誰? ISU組織規定の定義によると、普通考えられるジャッジ、テクニカル審判、レフェリーはもちろん、データ/リプレイオペレーター、イベントコーディネーターなど、ISU組織規定により開催されるイベントで特定の役割を果たす人のことのようです。狭義では競技の判定に関わる役員(ジャッジ、テクニカル)でしょう。
提案第243号 オランダ(ルール440)
オフィシャルの評価
パラグラフ2aを次のように改定する。
a)OAC(判定役員評定委員会)は競技会毎にリポートを作成する。このリポートにはジャッジの採点におけるイレギュラー性およびナショナルバイアスの疑いの特定を含む(後略)。
理由:2016年総会での匿名制廃止後、ナショナルバイアスの傾向が再度顕著化しており、我々は、これに対しアクションを取り、ルールに組み入れねばならないと考える。根拠として17、18年の(Jr.)WCと18年五輪における統計を総会前に提出する。「(ナショナル)バイアス」とは、あるジャッジがその所属するISUメンバー国のスケーターに高すぎる採点をしたり、あるジャッジがその所属するISUメンバー国のスケーターを有利にするために、他ISUメンバー国の出場選手(たち)に低すぎる採点をしたりすることを意味する。
訳注)OACの報告で、あるオフィシャルが黒と認められると1から4まで段階がある「査定」が下され、この査定がレベル4(笑)に達すると降格処分になるようです。
今回はここまで〜。