How to Jump/アクセル編 | siennaのブログ 〜羽生君応援ブログ〜

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羽生結弦選手の現役時代をリアルタイムで体験できる幸運に心から感謝しつつ、彼のスケートのここが好きあそこが好きと書き連ね、ついでにフィギュアにも詳しくなろうと頑張る欧州住まいのブログ主です。

 日本勢大活躍のリオですね!しかし、自分は夏季五輪が盛り上がらない国にいるためか、一番注目していた男子体操が終わってしまったためか、実はもうあまり追ってません(追えないw)。やっぱりフィギュアが恋しいわw というわけで、突然地味にジャンプのお勉強などやっています。ふと五輪フィーバーに疲れたら読んでやってください。(あ、でも今日の吉田さんは見たい!)

 さて、やっぱりジャンプはシングルの華!もともと羽生君の芸術的ジャンプに衝撃を受けてフィギュアファンになった私ですが、情けないことに、未だに羽生君以外だと回転数や種類の見分けがあやしい…。このまま表面的に見ていても動体視力に問題アリな自分、いつまでたってもスケオタの階段を登れないないだろうと反省。一度腰を据えてそれぞれのジャンプを徹底研究してみることにしました(新プロ情報待ちくたびれた・汗)。

 しかし、ISUの文書にはジャンプそのものの説明や定義ってないんですよね。当たり前かもですが…

 そこでジャンプ情報を求めてブログさんや海外フォーラムを巡ってみれば…羽生君のジャンプ技術がベスト・オブ・ベストとしてうるさ型の海外スケオタさんたちからも文句無しで認められているのが分かったのは嬉しかったです(ジャンプだけでなくスケーティングスキルもですよ♪)。しかし、「アクセルは空中で3回転すればよし」「エッジジャンプは4分の1回ってれば1回転」「すべてのジャンプは実は前向き踏切り」「あの選手はプレロテ」「この選手もプレロテ」…等々諸説紛々。ちょっとこのカオス、なんとかしてよ、とISUに訴えたい気分になりました。

 ところがISUさん、実はジャンプについての解説DVDを出してくれてるのですよね。どんな内容かしらと思っていたら、その一部がつべに上げられているのを見つけました!これさえ見れば、フィギュア界の本家本元が提唱する正しいジャンプのあり方がわかる!ありがたや〜(…てか、全部上げてほすぃ〜)。



 というわけで、このISU動画のほか、マイケル・ワイスさんの実演解説動画、そしてアメリカのジャッジ資格者さんがスケート関係者向けに運営しているサイトの記事(新採点法黎明期あたりの情報が多いのかな。結構古いので回転不足判定等ルールに変更あった点はアジャストする必要あり)、またはこちらの記事などを参考にして、一つひとつのジャンプの仕組みをお勉強し、それぞれの個性に慣れ親しんで行きたいと思います(根気が続けば)!

アクセル編

 ISU動画の10:00あたり。まずは、すべてのジャンプの基礎として習得するワルツジャンプの実演が興味深い。名前は聞いたことあったけど、見るのは初めて。前向きに踏み切って後ろ向きに降りる半回転のジャンプなんですね。アクセルの踏切りと共通していて、まさにこのワルツジャンプがアクセルの半回転分になると考えるとアクセルが理解しやすい。最初このワルツジャンプのように横っ飛びをして空中で向きを変えてから(半回転)ギュルルルっと2回転なり3回転なりしているように見えます。もちろんスローモーションじゃないと肉眼では判りにくいですが、他のジャンプにくらべ軸作りが一瞬遅れるというか、回り始めにふわっとした感じがあります。

 ワイスさんのシングルアクセルだと、それがよーく分かります。ワルツ部分の半回転が終わってから腕を締めて一回転してますよね(ワイスさん動画1:50より)。



 ISU動画ではワルツを跳んだ女の子が続けてシングルアクセルを跳びますが、ワルツより1回転多く回るために踏切り動作が違ってきます。ワルツの踏切りと並べて比較されているので、違いがよくわかります。回転を意識して振りがコンパクトになっています。

 ちなみに、アクセル踏切り時のブレードの位置についてですが、ワイスさんは踏み切ってからブレードが大体0.25回転ほど回ったところで氷を離れていて、アクセルの踏切りでは標準的です。

 「シングルアクセルは空中で少なくとも1.25回転、ダブルは2.25回転、トリプルは3.25回転しなければならない」(Evaluation of Jumpsより)←バンクーバーまでは4分の1回転不足でDGだった。

 その踏切りの瞬間のブレードがどうなっているのか。それがスーパースローモーションで鮮明に見えるワクワクするような動画があります。



 これ、キャリエールさんですよね。

 彼もほぼ0.25回転ぴったりで飛び上がっています。上から俯瞰する形なので前向きと後ろ向きの真ん中で空中に上がっているのが実によくわかります。これが前向きにまで行っちゃうと空中で3回転しか回らないチートジャンプとしてDGを取られるわけです(着氷時のDGとはまた別物)。

 「アクセルジャンプでよくあるミスは、フォアのアウトエッジのスキッド(横滑り)だ。一部のスケーターは、ブレードが氷上のエッジの軌道(カーブ)に対し90度に近づくあたりでほとんど停止してからスキッドを始める」(Evaluation of Jumpsより)

 で、1:00あたりからのキャリエールさんの足元映像をじっくり見ると、動画の説明にもあるように、踏み切る瞬間は一瞬ストップしてトウから飛び上がっているのがわかります。これは、スケーターは飛び上がり時に足指の付け根に力を入れるためにエッジ前方が氷に押し込まれるからであって、アクセルはやはりあくまでエッジジャンプですが。

 そして、踏切り時に左エッジに力を入れるということは、重心も左足にあるということ。ところがジャンプの着氷は右足なので、安定した着氷をするためには飛び上がったらすぐに重心を右足に移動させ、体の右側を軸として回らなければなりません。具体的にどうすれば重心移動ができるかというと、ISU動画の17:50あたりに説明があります。まず、女性スケーターによる重心移動失敗の例があり、続けて模範例が示されます。これがすごく分かりやすくて感動的なのですが、踏切りで振り上げた右足を下ろして伸ばし、そこに踏み切った左足を軽く曲げた形で添える。これで右軸の出来上がりです!

 この体重移動は、アクセルのほか、左エッジ踏切りのサルコウ、左のトウを突いて跳ぶトウループでも必要になります。

 さて、動画に戻ります。トップスケーターの演技から選んだ模範ジャンプ(13:30)。トリプル編ではプル様が登場!アクセルの踏切りで大事な点は、後ろに引いた両腕とフリーレッグを同時に前方に振り上げて弾みをつけることですが、ダブルに比べてトリプルではその引き具合が控えめになります。それは3回転半するためには踏切り動作もスピードアップしなければいけないから。大きく振り戻していたら回る時間が足りなくなるんですね。

 続くシングル・ダブル・トリプルアクセル、それぞれの飛距離比較も面白い。回転数が増えるにつれ、飛距離が短くなるのは意外でした。てっきり逆だと思ってたので…。シングルは早く回転を始める必要がないので踏切りで得たパワーを殺すことなく吹っ飛んで行くんですね。ハンヤンや羽生君に一度シングルアクセルを跳んでみて欲しくなったなw

 それでは最後に羽生君の3A集を。




動画は感謝してお借りします。