クワドについて。選手の声① パトリック編 | siennaのブログ 〜羽生君応援ブログ〜

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羽生結弦選手の現役時代をリアルタイムで体験できる幸運に心から感謝しつつ、彼のスケートのここが好きあそこが好きと書き連ね、ついでにフィギュアにも詳しくなろうと頑張る欧州住まいのブログ主です。

最近クワド論争再燃?していることもあり、自分の目についた限りで、様々な選手たちの声を書き留めておこうかと思います。

まずはパトリックの「トロント・サン」の記事。カナダ王者に輝いた直後のインタビューです。
著者はスポーツライターとして幾度も賞を受けているという方。

元記事リンクはこちら
パトリック部分のみの抜粋になります。

チャン:今ちょうどいい位置にいる

Steve Buffery

パトリック・チャンは、平昌五輪まで、跳びかかる前に獲物をじっくりと観察する虎のように草むらに潜むつもりだ。

ソチ五輪の優勝候補は、この3度の世界王者だった。トロント出身のチャンは五輪のプレッシャーを一身に背負っていた。平昌では違う成り行きになる、と彼は思っている。この数年で男子 シングルに現れた新顔たちに、ファンは夢中だ。中でも特筆すべきは現五輪王者で世界記録保持者の日本の21歳、羽生結弦、そして現世界王者、スペインのハビエル・フェルナンデスである。二人揃ってトロントのクリケットクラブのブライアン・オーサーの門下生だ。ソチとは違い、平昌でプレッシャーを背負うのはこの二人になるだろう。彼らはクワドの限界を追求している。フリーには3つのクワドを組み込んでいるし、噂によると、ユヅは4本目を加えようとしているらしい。ショートには2本のクワドを入れている。

「だから今、国際ランキングの順位について自分がパニックを感じてないのがとてもありがたい」と、この日曜日、チャンはカナダ選手権の会場であるスコシアバンク・センターで語った。「どうぞやりたまえ、頑張れよって感じだ。ユヅとハビの間でとことん戦えばいい。僕はゆったりと座って自分の戦略と計画に従うのみ。彼らが何を見せてくれるのか見てみよう。怪我もあり得るし、そのうち天井にぶつかるはず。そうなるしかないんだよ。そしたら多分ユヅは(フリーに)4つ目のクワドをいれるだろう。そしたらそこでおしまいだ。でも4本クワドを入れるということは彼にとってリスクが増すということ。リターンとリスクの係数がもっと大きくなる。だから、お互いに競わせておけばいい。僕はそのショーを高みの見物というわけだ」

チャンは競技復帰の理由の一つに2018年の五輪を挙げる。なぜなら、心の奥底では、技術と芸術のバランスを取ると言う意味において、自分が総合力ではまだ世界最高のスケーターだと信じているからだ。これに同意するスケートファンは多い。問題は、特に男子シングルでは競技が、他の大事なエレメンツではなくジャンプ中心になってきたという点だ。チャンはフリーに3Tとのコンボを含め4回転を2本入れているが、まだ3本目を入れるまでにはなっていない。来季4回転サルコウを入れる可能性はあるが。他の総合力で優れた先達がそうだったように、チャンも男子シングルのスケートが…再び…スラムダンクコンテストのようになってしまったと嘆く。凝ったスピン、ステップ等のエレメンツよりも、とにかくクワドだと。

「少々バカらしくなってきたね」と、土曜に8度目のナショナルタイトルを手にしたチャンは言う。「ちょっとなんとかしないと。4回クワドを跳んで、それでもトランジションの質を落とさないことが肉体的に可能なのかどうか。すごく正直に言うとね、僕には経験もあり、信用もされているから言えることだけど、3クワドを跳ぶ男子選手のスケーティングの質は落ちてる。人々はジャンプに騒ぐばかりで、プログラム全体を見て『美しい。まさに芸術作品だ』なんて言わない。その代わり、『ワオ、今の4回転サルコウ見た?まいったね。すごい』。オーケー。でもそのあと、彼は何をやったっけ?」

将来4-4コンボを跳ぶ選手が出てくると思うかという質問が飛んだ。

「ああいうすごく骨盤の狭い男子ならできるだろうね。自分は絶対に現役中に(フリーで)4本のクワドは飛ばない。不可能だ」とチャン。

羽生やフェルナンデス、日本の宇野昌磨(18歳)といったラジカルな若手がクワドを増やすいっぽう(中国のボーヤン・ジンは今季GPFのフリーで4本のクワドを跳んだ)、チャンは国際ジャッジがこれからの五輪を含む大会で自分のスケーティングの全体の質を評価してくれることを願いつつ、地道に自分のプログラムに取り組んでいくつもりだ。

以上


このインタは他サイト(CBC)にも記事があがっています。→こちら

クワドについて上の記事では紹介されていないコメント部分をこちらから抜粋します。

「クワドには長い準備が必要で、複雑なステップの余地がなくなってしまう」
「したがって、クワドの助走でリンクをソロソロと横切る人間ばかり見るハメになるというわけだ」
「つまり4本ならばフリーの内2分半がそれに費やされるというわけ」

逆に、トロント・サンにはあった次のコメントはCBCの記事にはありませんでした。

「怪我もあり得るし、そのうち天井にぶつかるはず。そうなるしかないんだよ。そしたら多分ユヅは(フリーに)4つ目のクワドをいれるだろう。そしたらそこでおしまいだ。でも4本クワドを入れるということは彼にとってリスクが増すということ。リターンとリスクの係数がもっと大きくなる。」


というわけで、読了後のなんちゃって考察ポイント

・3回クワドを入れた選手のスケーティングの質は本当に落ちているか。
・全ての選手がクワドに長い助走を必要とするか。
・2分半をクワド4本の助走に取られるということは一本あたり軽く30秒以上…??
・クワドには狭い骨盤が必要か。
・フィギュアファンはもはやクワドしか見ていないか。
・平昌に向けたクワド競争はハビとゆづだけが参加しているのか。

私の結論は、パトリックは幸か不幸か極論に走りやすいタイプなんだなあということだったのでした…。