さて、Echoes of Life。幸いにして埼玉公演を全日現地で観ることができました。が、どう感想をまとめれば良いのやら今日まで正直途方に暮れておりました。単独ショーのテーマが深くなればなるほど、そして羽生くんの表現世界が広がれば広がるほどに、ブログ、難し…我が力、及ばぬ…とうなだれる羽目に。羽生くん、あなたはどんな高みまで行ってしまうのー!
そもそも羽生結弦のプログラムって1曲だけでも特濃につき語り尽くせないというのに、今回は(ピアノコレクションを個々にカウントすれば)16曲、アンコールを含めれば19曲ですよ???しかもその大半が新プロですよ???いやもう、自分の処理能力では全然追いつきません。
個人的には12月に長く休みを取ったのが祟って帰宅後は仕事やクリスマス準備に忙殺され、その上情報が怒涛のように投下されるのでそれらを追うので必死でもありました。
ストーリーやテーマを100パーセント理解せずに何か語っても良いのだろうか、という迷いもあります。ストーリーの細部の解釈を思いあぐね、ゲームやアニメなどの引用先にも踏み込み難く、という状態でEchoes of Lifeを語れるのか!と。今回、非日本語話者用にはストーリーブックの英訳版や英語のオーディオアプリまで用意されていたほどで、彼がどれだけ真剣に私たちにメッセージを届けようと心を砕いてくれたかが分かりますしね…(私は彼のそういった姿勢に心を打たれるし、彼が命をとても大切に思って日々生きていることが知れてシンプルに嬉しく思います)。
そういえばこのオーディオアプリ、一緒に日本に来て埼玉最終日に参戦できた次女もお世話になりました。かなり理解の助けになったようです。
しかし彼女は(長女もそうですが)、エンタメには詳しいしビッグネームのアーティストのライブも行ったりしているけれど、あくまで余暇に広く浅く楽しむだけで、誰かにハマるわけでもなくオタク気質もゼロ(ゲーム・アニメ・漫画には無関心)なら特に内省的なタイプでもありません。埼玉では羽生くんのスケートの素晴らしさに感銘を受け、あの複雑なプロジェクションマッピングにぴたりと合わせて動く技術に驚いたりしてはいましたが、ストーリー自体に入り込むということはなかったようです。
ところが、そんなふうに基本フラットな彼女のハートをがっつり捉えたのが、アンコールパートでした。彼の人懐っこくて明るいトーク(「すごくよく喋るのね!」「可愛い!」)や最後まで全力を振り絞ってのスケート、レットミの振り付けで味わった会場の一体感、などなど、終演後に会場外で落ち合った時はすっかりエキサイトして「よかった〜。好きになったかも〜♡」なんてキャッキャしていましたよ。特に「レットミ体操」はいたく気に入ったようで、今も家で2人おもむろに踊り出したりしています(笑)。羽生結弦は計り知れない可能性を秘めたクリエイターで超一流アスリートかつ素晴らしいアーティストだけれども、台本無しで観衆のボルテージを上げることのできる、ナチュラルボーン・エンターテイナーでもあるということを、我が娘を見ながら確信した母でありました。
次女はさておき(?)、現時点でEchoesにおける私のイチオシプロは、何を隠そうUtaiです!今回は、多分Utaiについてしか書きません(苦笑)。
あれはもう神の舞としか言いようがない。何よりあの衣装ですよ!このプロは何もかも良いんですが、衣装からして衝撃的です。実はずっと、長い丈の衣装はトレードマーク?のボディラインを隠してしまってもったいないから羽生くんには着てほしくないなあ、なんて思っていたのです。しかし、あの高貴なシルエットとデザインの衣装を見た瞬間、素敵――!という感想しか湧いてこず。とにかく羽生くんのプロデュースするものはおしなべてセンスが良い。音楽、衣装、セット、すべてがハイクラスでハイセンスで、受け手の五感を満足させてくれるんです。
そしてこの衣装と振り付けの共生関係がまた素晴らしい。特にシットツイズルです。ゴージャスで繊細な衣装によってこの技が持つ美しさが最上の形で開花したのではないでしょうか。空中浮遊しているような跳躍も、あの衣装だからこそ神がかって見えますよね。
そしてスケート。鶏蛇豚もそうでしたが、私、MIKIKO先生の直線的な振り付け、すごく好みかもしれません(今回も部分的に合作なのかもですが)。直線に進んだり下がったりの動きからは凛とした威厳を感じるし、その直線をどんなムーブが突っ切ったりどう左右に配置されるのかを見るのがとても面白い。直線上の動きでは連続ベスティと初めて見るストレートラインハイドロ(?)がもう倒れそうなほどかっこいい(笑)。ベスティの部分は一つ目と二つ目は普通のベスティより腰の下ろし方が浅いのが特徴ですね。ショートサイドで実施する3つ目は普通に深くエッジに乗ってカーブしているので、浅いのはストレートに進むためなのかな?と思いました。他にイナ、ランジ等も入っていますが、とにかく事前に漕がないのがすごい。途中で逆向きにターンする長距離連続ベスティなんてもっと助走付けてから入りません?やっぱりUtaiは衣装も振り付けも羽生結弦の神スケーティングありきですね。神の衣装でせっせとバッククロスなんてありえませんから(超真面目)。
以上とりあえずUtaiについては6割ほど語れたかな?という感じなのですが、今になってやっぱり感想を書こうと思ったのは、広島公演2日目の配信を見たからです。ジャンプははまらなかったけれど、前評判通りプログラムが深化していて全体として素晴らしかったし、何より彼の絶対に諦めず全てを全力でやり切る姿に感動してしまいました。その感動に力を借りた、背中を押された、というわけです。やはり羽生くんの演技からはいつも力をもらえますね。
以上。