明後日、稽古二回目です。 | 望月六郎的日記『中年勃起』

明後日、稽古二回目です。

5月24日

 

ガードマン、早く終わってのんびりしてます。

明日も仕事。で夜、劇団唐組公演『泥人形』観劇予定。

明後日2時からは、一週間ぶり、中瀬古健の一人芝居『駆け込み寺訴え』の稽古です。

 

太宰治の『駆け込み寺訴え』は新潮社の文庫本では『走れメロス』と一緒に収録されています。

遠い昔読んだ本なのですっかり忘れていたが、泣かせこの依頼を受けて読み返した。

この間のブログでも書いたが、最初の読後感は『こりゃあ、大変だな』だった。

 

仮に僕が一人芝居の原作探しをして、この小説にぶち当たったとしたら、正直、速攻で見送る。

 

理由は二つ。

まず、長い。

読むだけで50分。

前回の『葉桜と軍艦』の約2倍。記憶の限界を超えている気がする。

 

もう一つの理由は、ある種『ヘビー』であること。

 

キリストとユダが登場人物で、あとは十二使徒、マグダラのマリア。

ユダがキリストを売る行為と心情がユダの台詞で語られている。

 

中瀬古の挨拶文にも書いてあったが、『駆け込み寺訴え』は現代のパレスチナの惨状と一直線上にある物語だ。

連想しなくていい、と言っても何しろ場所は一緒だからな。

数千年に渡ってシナイ半島やらパレスチナ、シリア、ギリシャ、ペルシア、トロイetc.

あの辺りはずっと血まみれの大地だ。

 

2000年に渡って、ユダヤ教徒はキリスト教に糾弾され続けた。

僕ら日本人には理解し難い部分もあるが、オリエント、ヨーロッパの一番奥深い、宿痾のお話じゃないかな。

 

「僕には荷が重いな」

 

と思って、あっさり見送る。つまりアンタッチャブルにしときます。

 

しかし、今回は中瀬古健からの依頼なのだ。だったら、仕方ないかな…、と思う。

長いこともヘビーなことも、中瀬古が選んだんだしな、と頬被りできる、ことにしよう。

 

劇団ドガドガプラスが続行中の『セクシー女優事変』シリーズでは宗教が重要なテーマになっている。

全編通してのトリックスターは座長・丸山将吾が演じる『情縞仲人』だ。

 

第一作目、元一等協会の信者で牧師でもある『情縞』はヤバくて落ち目の一等協会を脱退した。

 

第二作目、物語はその数年前に遡る。まだ一等協会の信者である『情縞』はコロナ禍の新宿歌舞伎町を流離う。

そして少女達の現実と向かい合う。

少女達を新しいマシンに変身させて金を生み出す。巨大機構の歯車にしようと企んだが失敗した。

 

第三作目、脱退した『情縞』は新しい宗教を立教すべく、東京三多摩府中市を彷徨った。

 

さて第四作目は…どうしよう。

 

そして五作目、『完結篇』で『情縞』は神の啓示を受け、晴れて立教し、教祖、開祖となる運びです。

ほんと、出来るのかな…と、心配です。

 

とまあ、つまり僕は今宗教に大変興味を持っている訳です。

そんな環境で中瀬古の依頼を受けたのですから、はっきり言えば渡りに船、のような気分でもある。

 

人間は、神の存在を想って立ち向かい、宗教と出会う。

この場合、悩みの種は、『人間対神』みたいなもんだろう。

 

しかし、純粋な意味で、立ち向かうのが『神』だったなら『人間』は畏敬の念に打たれるだろう。

「相手はとんでもなくデカい、そして自分はちっぽけな存在だ」と受け入れられるし納得だってし易い。

 

しかしだ、教祖じゃない、その他大勢の人間の場合は、まず『神』と向かい合うなんて事は無い。

多分、絶対にない。

 

その場合、『神』についてをちっぽけな人間に語ってくれるのは…『誰か』…つまり『人』ですね。

 

キリストが神を讃え、終末を語り、救済を語り、愛を語る。

 

人間はいかに神を恐れ、慎ましい生涯を送るべきか、を語ったとして、そのキリストは神か人か?

 

十字架に架けられて三日後復活する。

それを見たなら、確かにイエス キリストは神だ。

だが、それ以前の彼は人にしか見えないだろう。

 

そんなこと考えながらの一週間でした。

どうやったら、一人芝居になるのかな?

そんな取り止めのないこと考えるのはとても楽しい。

僕は台本書くけど、いつもウンウン唸って、なかなか進まない。

しかし、今回は太宰治という大物が相手だが、本があって、これをどうするかが僕の勝負です。

つまり、演出ですね。

これは、とても楽しいなあ。

本来僕はそっち側のタイプなんだなあ、なんて思ってます。

 

シリーズ出演者の『つくし』と応援してくれてる『マック』さんがyoutubeで

『人妻死闘篇』を大絶賛してくれてます。

見て下さい。それじゃあ。

 

🔸前半戦🔸
https://x.gd/tksdamon_23
🔹後半戦🔹
https://x.gd/tksdamon_24

 

作品:【駆け込み訴え】 作・太宰治 演出・望月六郎

日時:7月5.6.日(19時開演)7日(14時開演)

場所:ミュージックバー道 東京都文京区湯島3-35-6 第一大久保ビル3F

料金:3000円(アフタードリンク付き)

 

作品への思い by 中瀬古健

ジェンダーレスや宗教問題が話題になる昨今、それらの改善策を急いで見出そうとする中で、どこか当事者の思いや理由が熟考されず、間違った答えが世間によって作り出されていると感じています。

神やジェンダーに挟まれ苦悩し自問自答し愛を求める太宰治の書いたユダの姿にどこか親近感を持ちました。またその苦悩する姿を見てもらいたいという気持ちが湧いてきました。宗教と愛と憎悪の物語のようですが、現代のブラック企業や民族の問題などにも通ずるものがあると思います。またエンターテイメント性もある作品だと思ったので、今回大きな挑戦をすることに決めました。

お客様に背徳感とやばいもの見ちゃった!という気持ちをもってもらえるよう頑張ります。