始動。中瀬古健と、一人芝居やります。 | 望月六郎的日記『中年勃起』

始動。中瀬古健と、一人芝居やります。

5月21日

 

二日前、日曜日二時に御徒町へ出掛け、地下鉄湯島駅まで歩いた。

目標は出口横、四階建てビルの3階のmusic bar「道」だ。

日曜は定休日なのだが、僕にはちょっとした使命がありました。

 

「道」のカウンター背後にはLPレコードがずらりと並んでいる。

もう一つの特徴は、月曜から土曜日の営業中、現在ドガドガプラス連続出演中の佐々木健、

かつて出演した中瀬古健、今は夜ヒル子と名をかえてブルース歌ってる比留間聡子がバーテンをやっている。

 

4階はお店のフリースペースで、ライブやイベント、ギャラリーに利用される。

僕は妻を連れ、先月のドガドガプラス公演前に、中瀬古健が出演する朗読の会で訪れました。

 

中瀬古は文化庁が指導する留学制度で中国に渡り、留学が済んでも数年にわたって芸能活動を続けた。

しかし、新型コロナの騒動を受け帰国。

その折、2020年六月初夏に渋谷、金王八幡宮の社務所広間で朗読会を開催した。

宮沢賢治、佐藤春夫の作品と、メインの出し物として太宰治の『葉桜と軍艦』が用意され、

「これを一人芝居風に演じたい。演出して貰えないか」と依頼を受け僕はもちろん引き受けた。

 

短編小説といえ、朗読とは違い、殆ど八割方覚えなきゃならない。

年老いた女性の独白体の小説で、その女性の若い頃、若い時に亡くなった彼女の妹、と

まあ最低でも三人分の声が必要だった。

 

名作を演出する喜びもある。

中瀬古は三者を実に巧みに演じ分けてくれて、結果として僕も大変嬉しい思いをしました。

 

4月のドガドガの公演『セクシー女優事変・人妻死闘篇』を見に来た中瀬古から

その日、新しい依頼を受けて勿論僕は快諾しました。

 

じゃあここで中瀬古から昨日貰った情報コピペします。

 

作品:【駆け込み訴え】 作・太宰治 演出・望月六郎

日時:7月5.6.日(19時開演)7日(14時開演)

場所:ミュージックバー道 東京都文京区湯島3-35-6 第一大久保ビル3F

料金:3000円(アフタードリンク付き)

 

作品への思い

ジェンダーレスや宗教問題が話題になる昨今、それらの改善策を急いで見出そうとする中で、どこか当事者の思いや理由が熟考されず、間違った答えが世間によって作り出されていると感じています。

神やジェンダーに挟まれ苦悩し自問自答し愛を求める太宰治の書いたユダの姿にどこか親近感を持ちました。またその苦悩する姿を見てもらいたいという気持ちが湧いてきました。宗教と愛と憎悪の物語のようですが、現代のブラック企業や民族の問題などにも通ずるものがあると思います。またエンターテイメント性もある作品だと思ったので、今回大きな挑戦をすることに決めました。

お客様に背徳感とやばいもの見ちゃった!という気持ちをもってもらえるよう頑張ります。

 

さてどんなものなのだろう、と2週間ほど前に僕は『書き込み寺訴え』を青空文庫で読みました。

読み始めると、10代中盤に読書した記憶が蘇った。

30男の独白体で、うねるように、身を捩るように、切ない。

中瀬子がやってみたい、と思う気持ちは伝わったけど、読後僕が一番感じたのは

「こりゃあ、大変だな」という感想でした。

 

そそとした文化的行為『朗読劇』にしちゃあ、情熱が過ぎる。

一人芝居として思い切り憑依して貰った方がお客さんだって感情移入ができる。

それは解っても、まず第一に、これだけの分量をたった一人で演じるのは相当な負担で間違いないのだ。

 

それから1週間、ガードマンに復帰した僕は、突っ立ちながら悶々と考えました。

 

果たして可能なのだろうか?

どうしたら出来るのかな?

どうしたら面白いのかな?

 

先週の日曜五時に中瀬古健が僕の家にやって来ました。

稽古場をどうするのか、も問題だった為、妻を交えて打ち合わせする為だった。

 

中瀬古自身も大変なことには気付いていた。

曰く、ただ読むだけで、50分掛かったそうだ。

やっぱりできそうにないかな、と思ったらしく、別の企画(太宰作品でした)も用意してきた。

「無理もないな」と僕も思いましたが1時間ほど僕が1週間考えた方法を披露しました。

 

僕の話が、映像として頭に浮かんだらしく、泣かせこの表情は見る見る晴れがましくなった。

「出来そうな気がしてきた」との発言もあって、最初の一歩は実に清々しく進めました。

その日は我が家のテーブルが一軒目はビールでしゃぶしゃぶ、二軒目はハイボールでビーフシチューと変化しました。

6時過ぎから10時過ぎまで世時間、実に楽しい時間でした。

 

この時点ではまだ情報解禁前でしたのでブログに書けませんでした。

 

2日前2時から6時までが最初の稽古だったわけです。

この先来週、再来週と暫くは毎日曜日に稽古です。少しづつ形にしていくつもりです。

稽古情報、この先もお送りします。それじゃあ。