本日小屋入りです。 | 望月六郎的日記『中年勃起』

本日小屋入りです。

11月20日

 

青天。しかし結構寒くなりました。

 

昨日は一時半から返し稽古。それからダンスの確認。

劇団の応援団長からおにぎり唐揚げの差し入れを頂いた後、五時半から通し稽古でした。

出来は上々、初日が楽しみです。

 

今回初参加は男性四人です。

51歳、演劇歴24年のベテラン。あとは三人は34歳、24歳、19歳。

皆さん、演劇のオーディションサイトから来てくれました。

 

僕らのチームは基本オーディション組で成り立っています。

今作品中の登場人物中も70%は超えています。継続性も充実していて5年越えの人員はザラです。

そんな訳でオーディションはドガドガにとって大切な行事なのです。

 

縁もゆかりも無かった人間が出会い、以降濃密な時間を過ごす。

世間には演劇志望者も多いでしょうし、劇団、団体、公演だって少なかない。

そんな中で生まれた関係だからある意味、結婚のようでもあり、つまり小さな奇跡のようですよね。

 

初参加の人間にとって稽古場、最初は慣れない時間と空間なんだろうけど、やがて居場所や関係性が生まれる。

どこまでやってもいいのか?こんなの許されるのか?きっとそんな不安もあるんでしょう。

昨日の稽古場最終通し稽古中、彼らが今までの殻を破った演技を披露した。

 

見守る演者から笑いが起きて、仕上がってきた芝居を改めて見直し、全体に緊張がみなぎる。

僕も彼らを少し知ることができました。

この子にどんな役柄がいいか、とかオーディションで考える。

でも一人あたり三十分程度の時間しかないから、想像するにも限界がある。

でも稽古場だとなんとなくの感じで見守る事も出来ます。

へえ、こんなところもあるんだな、と感心する事も可能だし、先輩からの大切な報告もある。

 

昨日のおにぎりの差し入れは劇団の応援団長、代田さんからでしたが、そのまま通し稽古見て貰った。

前回からチームに加わった『しょげ』が今回はいい意味はち切れている。

歌舞伎町のキッズ『みたらし餡子』が彼女の役柄なのだが、代田さんは『しょげ』の変化に気づいてくれた。

「これだから俳優さんは観ときゃなきゃ。ほんと分からないんだなあ」的な感想を漏らしていて、これ、僕にとっても嬉しかったです。

 

一昨日出演者のコビヤマ洋一から「女子大生見学させてもいいか?」の提案があったので、もちろんOKしました。

通し稽古、彼女は僕の妻の隣で見ていたのですが、途中色々妻に質問していたようです。

服装も地味な感じ、化粧っ気もない少女でしたが、中々頼もしいんだな、と思った次第です。

ドガドガの劇団員女子はみんなオーディション組なので、出会った時の初々しい感じが懐かしく思い出されました。

決して今がふてぶてしいという話ではなく、みんな本当に頼もしく成長してくれてます。

 

そんな訳で、66歳の俺に「まだまだ前進しなきゃな」と言っておこう。

『セクシー女優事変』を五連作のシリーズにしようと決めたのも、自分へ発破を掛けたい的気分の現れかも知れない。

少なくともあと三本新作書かなきゃならないしね。

劇団の合言葉「目指せ!浅草公会堂!」も叶えぬままじゃあ死にきれないもんな。

 

今週図書館から借りた本中の一冊のタイトルが、確か「ホスト狂い」で、昨日から読み出した

この新書に書かれている歌舞伎町の現実は2020年がスタートでした。

タイトル通り、ホストクラブにハマる女子をルポルタージュした本です。

ちょうど『代償戦争・リフレ&リスカ』篇に重なっていて、もっと早く読んどきゃ良かった、と思った。

ここの所連日のように、ホストクラブがSNSやテレビに取り上げられています。

どうやら事態は加速度的に進行しているようです。

 

『セクシー女優事変』シリーズ最終作は近未来篇にしようと企画しています。

しかし時代は僕の想像力を遥かに超えてしまうんじゃないかとハラハラもする。

追い越されちゃったら、その時はその時、改めて想像をめぐらせばいいんだから、的にいい加減に考えてはいます。

しかし、現実はやっぱりリアルだから(当たり前)あんまり悲惨な日本であって欲しくないな的、気分があります。

世の中、笑えないのは辛いよ。

 

コロナ禍になった頃『これからは現実を死ぬ気で笑い飛ばしてしていく他ない』的発言を座長丸山に伝えたことがあった。

つまり現在それを実践中なのです。

お芝居見に来る人は「リアルな現実と直面したい」的好奇心もあるだろう。

しかし、そんな現実から逃れたい…逃れられないのならせめて笑い飛ばしたい、的な感覚も持っているんじゃないかな。

笑い飛ばすには、冷静な思考と、タフな精神と、感動できる肉体が必要だ、とか思います。

 

敢えてはっきり言い放てば、10代の少女相手に売掛金何百万のホストクラブとか、そんな世界は間違っている。

でも問題なのは、ホストという存在ばかりじゃない。少女も問題。オジも問題。アダルトビデオも問題。

インターネットも問題。少年も問題。全部問題。…問題が絡み合ってがんじがらめになっているのが今の日本なんだろう。

 

いきなり話が飛ぶが、先日テーブルの上のメモ書き整理したんだけど、石坂洋次郎の名前の横に『青春卍固め』と書いてあった。

なんのことだか思い出せなかったが、きっとそんな気分だったんじゃないかな、俺。

僕はもう青春ってわけないから、きっと劇団員や常連出演者のこと考えていたのかな。

がんじがらめの世の中で、必死にお芝居に取り組んで、支え合って大笑いしている。叫んでる。

そんな気持ちの爆発が昨日の通し稽古から感じる事ができました。

 

これは、現代にあっては小さな奇跡なんじゃないかと思います。

お客様にも是非見守って頂きたいです。よろしくお願いします。

今日は一時に稽古場。ダンスの踊り込みを見学ご浅草東洋館に移動します。

それじゃあ。