単純な脳、複雑な「私」/池谷裕二
![](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51d0cRN9gLL._SL160_.jpg)
¥1,785
Amazon.co.jp
2日間、まさかの寝落ち―そんなこんなんで、3時起床の夕貴です。(笑)
本書は、日本橋リーラボで紹介いただいたことがあり、同席していたbradleyが買っていたので、そのまま横流ししていただきました。
高校生に脳科学の世界を講義したものを文書化したもので、高校生に分かるようにと噛み砕いていただいているにもかかわらず、本書は結構難しい。
―なぜか?
「脳」のことを考える「脳」という言葉遊びかい!?というような危うさを常に背負っていて、その錯誤を丁寧に取り除きながら話が進むために、文書での認知することと声とボディランゲージで認知することの差分だけ、理解に対して距離がある(んだと思う)。
実際問題として、本書の中でも「生物」に関する定義や「自由意思」に関する話では、哲学や思想にふれるような場面もあり、一方で純然たる科学としての脳の機能に関する話があり、量子論の話があり、「脳」を知るということはあらゆる学問からのアプローチが必要になってくるという現実もあらわになっている。―ゲーム理論に関する本でも紹介したような気がするが、近代までの学問が専門性特化だったのに対し、現代の学問は専門化した学問をつなぐ、統合していく方向へと進んでいるような気がする―そんなことを考えさせてくれるところもある。
と小難しい背景を考えながら、読み進めていってしまうのは夕貴の悪い癖であるが、読了後にタイトルに戻った時に、なるほど、言い得て妙というのはこういうことを言うんだなという気持ちになった。脳は割りかし単調な機能の組み合わせでしかなく、そこが複雑に作用するのは個々の単調なシステムの集合体がまるで意志を持っているかのように動くからで、脳の機能とアウトプットの多様さの間にある「奇妙」を端的にあらわしたタイトルだなぁと感じた。
ただし、本書は読んだしまうと、ちょっと自己不信(そう、『自己』です)に陥る可能性もあり(笑)、気分がよくなりそうな晴れた日にじっくり読まれることをお勧めします。
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本書は、日本橋リーラボで紹介いただいたことがあり、同席していたbradleyが買っていたので、そのまま横流ししていただきました。
高校生に脳科学の世界を講義したものを文書化したもので、高校生に分かるようにと噛み砕いていただいているにもかかわらず、本書は結構難しい。
―なぜか?
「脳」のことを考える「脳」という言葉遊びかい!?というような危うさを常に背負っていて、その錯誤を丁寧に取り除きながら話が進むために、文書での認知することと声とボディランゲージで認知することの差分だけ、理解に対して距離がある(んだと思う)。
実際問題として、本書の中でも「生物」に関する定義や「自由意思」に関する話では、哲学や思想にふれるような場面もあり、一方で純然たる科学としての脳の機能に関する話があり、量子論の話があり、「脳」を知るということはあらゆる学問からのアプローチが必要になってくるという現実もあらわになっている。―ゲーム理論に関する本でも紹介したような気がするが、近代までの学問が専門性特化だったのに対し、現代の学問は専門化した学問をつなぐ、統合していく方向へと進んでいるような気がする―そんなことを考えさせてくれるところもある。
と小難しい背景を考えながら、読み進めていってしまうのは夕貴の悪い癖であるが、読了後にタイトルに戻った時に、なるほど、言い得て妙というのはこういうことを言うんだなという気持ちになった。脳は割りかし単調な機能の組み合わせでしかなく、そこが複雑に作用するのは個々の単調なシステムの集合体がまるで意志を持っているかのように動くからで、脳の機能とアウトプットの多様さの間にある「奇妙」を端的にあらわしたタイトルだなぁと感じた。
ただし、本書は読んだしまうと、ちょっと自己不信(そう、『自己』です)に陥る可能性もあり(笑)、気分がよくなりそうな晴れた日にじっくり読まれることをお勧めします。