空の中 (角川文庫)/有川 浩

¥740
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塩の街でも、あと2作書くぞーっと言ってました通り。

自衛隊3部作の2作目です。

たぶん、塩の街が一番究極の状態で、空の中がSFさが一番満点ではないかと思う。空を飛ぶ人&空飛ぶイキモノの物語。

本作のお気に入りは、光稀さん♪ファイターパイロットな勇ましいかの人が夕貴のお気に入りである。―というのも、実は本物の元戦闘機乗りにお話を聞いたことがあって、その過去の経歴やら、なんやらを聞けば聞くほど、命かけて国防やってるという意味の重さを感じつつも、「飛行機乗り、ましてや戦闘機乗りになるには、努力だけではない才能が必要である―」ということを聞いていたせいかしら。空から選ばれた人しか乗れないんだという印象が光稀さんへのLOVEを一層強くしているような。。。(笑)

とそんな脱線は置いておいて。

本編では、空中にいるとあるイキモノ―個体として1つ、しかも世代交代すらしてないすっごーい長寿―と人間との未知との遭遇を背景に、人間という集団を描き出している―気がする。気がするのは、たぶん、本作も小説だから、SFチックな面白い本で終わらせていい気もする、という気持ちがあるから。

本作では、分裂した謎のイキモノの大きいほうとは政府交えておとなな人間との交友、小さいほうはこどもな人間との交友がストリー進行上平行する。個々のアプローチは、結構おとなは論理的に、こどもは感情的に交友を深めるという点で対照的。夕貴が興味を持ったのは、おとな陣営の交流―謎のイキモノが知識はあるが、それを体系的に(人間的に)理解できていないというポジショニングにすることで、あえて人間の集団としての思考のありようを第三者(=謎のイキモノ)に説明するために、自らの言葉で噛み砕くというシーンが登場する。

その様子をみると、人間てなんて不器用な生き物なんだと思いたくなる。途中でありがちな政府の先走りとか、謎のイキモノに対する反対運動とか、妙に人間の在り方としてリアルで事象が戦争で下とかではなく未知との遭遇な分だけ、夕貴の中では目立った。

それから、本編最後に、仁淀の神様という短編が入っているのだが、これがもう、泣かせる泣かせる。こういうのありかぁ~!!!っていうくらい。(笑)でもこの感動の加減は本編読んでないと出てこないという。。。何とも憎たらしい作り。

お空が好きな人は結構好きになれるんじゃないかなと思う逸品です。